このほかにも両者の相違点は数多く,それらは表 1 のようにまとめられる。
パラメトリックな手法 | ノンパラメトリックな手法 | |
---|---|---|
対象とする統計量 | 平均値 | 代表値 |
分散 | 散布度 | |
積率相関係数 | 関連性係数,順位相関係数 | |
度数 | ||
尺度水準 | 間隔尺度,比例尺度 | 名義尺度,順序尺度 間隔尺度,比例尺度 |
母集団の分布型 | 正規分布を仮定 等分散性を仮定 | 不問 |
標本サイズ | 小さすぎてはいけない | 不問 |
検定目的 | パラメトリック | ノンパラメトリック | |
---|---|---|---|
名義尺度 | 順序尺度以上 | ||
適合度 | $\chi^2$ 検定 | $\chi^2$ 検定 1 標本コルモゴロフ・スミルノフ検定 | |
独立性 | 相関係数の検定 | $\chi^2$ 検定 フイッシャーの正確確率検定 | $\chi^2$ 検定 フイッシャーの正確確率検定 |
比率の差 | $\chi^2$ 検定 フイッシャーの正確確率検定 マクネマー検定 コクランの $Q$ 検定 | $\chi^2$ 検定 フイッシャーの正確確率検定 マクネマー検定 コクランの $Q$ 検定 | |
母比率 | 二項検定 | 二項検定 | |
対応のない2標本の 代表値の差 | 平均値の差の $t$ 検定 | マン・ホイットニーの $U$ 検定 2 標本コルモゴロフ・スミルノフ検定 ファン・デル・ワーデン検定 中央値検定 | |
対応のある2標本の 代表値の差 | 平均値の差の $t$ 検定 | 符号検定 符号付順位和検定 | |
対応のないK標本の 代表値の差 | 一元配置分散分析 | クラスカル・ウォリス検定 中央値検定 | |
対応のあるK標本の 代表値の差 | 乱塊法 | フリードマンの検定 |
ここで注意しなければならない点は,パラメトリックな手法はかなり制限(前提条件)が多く,ノンパラメトリックな手法はそのような制限が少ないからといって,ノンパラメトリックな手法を乱用してはいけないということである。
もし,パラメトリックな手法を適用できる条件がそろっているにもかかわらずノンパラメトリック検定を用いると,後述する検出力(対立仮説が正しいときに帰無仮説を棄却できる確率)が低下するという問題が生ずる。
しかし,逆に言えば,パラメトリックな手法を用いるための前提条件が完全に満たされないときに,ノンパラメトリックな手法を適用して帰無仮説が棄却されたとすれば,その結果はより妥当性を持つであろう。
演習問題:
応用問題: