例題:
「表 1 のような観察値が得られた。両群の母代表値に差があるかどうか検定しなさい。」
第 1 群の観察値 | 1.2,1.5,1.8,2.6 |
---|---|
第 2 群の観察値 | 1.3,1.9,2.9,3.1,3.9 |
検定手順:
例題では,$n_1 = 4$,$n_2 = 5$,$n = 9$ である。
例題では,表 2 のようになる。
観察値 | 1.2 | 1.3 | 1.5 | 1.8 | 1.9 | 2.6 | 2.9 | 3.1 | 3.9 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
順位 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 |
群別 | 1 | 2 | 1 | 1 | 2 | 1 | 2 | 2 | 2 |
例題では,
第 1 群に属する観察値に付けられた順位の和
$R_{1} = 1 + 3 + 4 + 6 = 14$
第 2 群に属する観察値に付けられた順位の和
$R_{2} = 2 + 5 + 7 + 8 + 9 = 31$
となる。
$U_{1} = n_1\ n_2 + \displaystyle \frac{n_1\ (n_1+1)}{2}-R_{1}$
$U_{2} = n_1\ n_2 + \displaystyle \frac{n_2\ (n_2+1)}{2}-R_{2}$
注:並べ替えたり,平均順位をつけたりするのは面倒くさい。$U$ 統計量を求める手順として別のやり方もある。
例題では,$U_{1} = 16$,$U_{2} = 4$ となる。
例題では,$U_{0} = 4$ である。
例題では,$5\%$ の有意水準で検定を行うとき,棄却限界値は $1$ である。
例題では,帰無仮説は棄却できない。すなわち,「$2$ 群の母代表値に差があるとはいえない」。
注:同順位がある場合には,統計数値表は使用できないので,「ケース数が大きい場合」の正規化検定を援用する。ただし,ケース数がある程度大きくなければ近似的な検定結果が得られるにすぎない。
\[ Z_0 = \frac{\left | U - E(U) \right |}{\sqrt{V(U)}} \]
注:同順位がある場合には,$Z_{0}$ を求める式中の分散 $V(U)$ を修正しなければならない。
同順位となる値が $m$ 種類あり,それぞれの同順位となる値の数(同順位の大きさ)を $t_{i}\ (i = 1,2,... ,m)$としたとき,分散 $V(U)$ は次式で表される。
\[ V(U) = \frac{n_1\ n_2}{12\ (n^2-n)} \left \{n^3-n-\sum_{i=1}^m (t_i^3-t_i) \right \} \]
演習問題:
「A,B 薬の治療効果を比較した結果が表 3 のように与えれれている。2 群の母代表値の差を有意水準 $5\%$ で両側検定しなさい。」
不変 | やや有効 | 有効 | 著効 | 合計 | |
---|---|---|---|---|---|
A薬投与群 | 9 | 12 | 6 | 3 | 30 |
B薬投与群 | 4 | 9 | 11 | 5 | 29 |
問題1 帰無仮説はどれか。a,b のいずれかを解答欄に記入し,送信ボタンをクリックしなさい。
問題2 「著効」であった $8$ 例に与えるべき平均順位を解答欄に記入し,送信ボタンをクリックしなさい。
問題3 検定統計量 $U_{0}$ を求め解答欄に記入し,送信ボタンをクリックしなさい。
問題4 検定統計量 $U_{0}$ の平均値 $E(U)$ を求め解答欄に記入し,送信ボタンをクリックしなさい。
問題5 検定統計量 $U_{0}$ の分散 $V(U)$ を求めなさい。答えは,小数点以下 4 桁目で四捨五入て解答欄に記入し,送信ボタンをクリックしなさい。
問題6 検定統計量 $Z_{0}$ を求めなさい。答えは,小数点以下 3 桁目で四捨五入て解答欄に記入し,送信ボタンをクリックしなさい。
問題7 有意確率は $0.05$ より大きいか小さいか。a,b のいずれかを解答欄に記入し,送信ボタンをクリックしなさい。
問題8 有意水準 $5\%$ で検定を行うとき,帰無仮説は棄却できるかできないか。a,b のいずれかを解答欄に記入し,送信ボタンをクリックしなさい。
問題9 最終的な結論はどうなるか。a,b のいずれかを解答欄に記入し,送信ボタンをクリックしなさい。
問題10 このデータに対して「独立性の検定($\chi^2$ 検定)」を行ってみなさい。結果はどうなったか。a,b のいずれかを解答欄に記入し,送信ボタンをクリックしなさい。
問題11 なぜそうなったか考えなさい。
応用問題: