マクネマー検定     Last modified: Mar 24, 2004

 対応のある場合の比率の差の検定を行う。


例題

 「内閣の支持率調査で,同じ対象者に 1 月と 4 月の 2 回調査をした結果は表 1 のようになった。 この 3 ヵ月間に支持率に変化があったといえるかどうか検定しなさい。」

表 1.同じ対象者に行われた 2 回の内閣支持率調査結果
4 月
 支持する   支持しない   合計 
 1 月 支持する 48 28 76
 支持しない  35 53 88
合計 83 81 164


検定手順

  1. 記号を以下のように決める。

    表 2.同じ対象者に行われた 2 回の内閣支持率調査結果
    条件 2
     特性を持つ   特性を持たない   合計 
     条件 1 特性を持つ $a$ $b$ $a+b$
     特性を持たない  $c$ $d$ $c+d$
    合計 $a+c$ $b+d$ $n$

  2. 前提

  3. 標本比率の差は,$\displaystyle \frac{ b - c}{n}$ である。帰無仮説のもとでは,$b = c$ である。
    これは,ケース数 $= b + c$,母比率 $= \displaystyle \frac{1}{2}$ の場合の二項検定(母比率の検定)である。
    $b + c$ が大きい場合には,$\chi^2$ 分布で近似できる。この検定法を特にマクネマーの検定と呼ぶ。

    例題では,$b = 28$,$c = 35$ である。1 月,4 月における比率はそれぞれ $0.463$,$0.506$ である。

  4. 状況に応じて以下のいずれかの方法により有意確率を求める。

  5. 帰無仮説の採否を決める。

     例題では,有意水準 $5\%$ で検定を行うとすれば($\alpha = 0.05$),$P \gt \alpha$ であるから,帰無仮説は棄却できない。すなわち,「支持率に変化があったとはいえない」。

・ R で計算してみる

演習問題

 上の例解の結果について考察しなさい。近似法であるマクネマー検定で,連続性の補正を行う場合と行わない場合のそれぞれの結果と,正確な方法である二項検定の結果を比較してどのようなことがいえるか。a,b のいずれかを解答欄に記入し,送信ボタンをクリックしなさい。

選択肢 a:連続性の補正は行う方がよい b:連続性の補正は行わなくてもよい
解答欄:    


マクネマー検定の拡張

● その1(SPSS で採用されている)
 対応のある二変数が順序尺度以上で,それぞれが 3 種類以上の値(カテゴリー)を持っていてもよい。このような場合には以下のようにして,拡張されたマクネマー検定が定義できる。

  1. 観測されたデータの組が $n$ 組あり,$( X_{i} , Y_{i} )$ であるとする($i = 1, 2, \dots, n$)。
  2. $X_{i} \gt Y_{i}$ である組の数を $n_p$ とする。
  3. $X_{i} \lt Y_{i}$ である組の数を $n_m$ とする。
  4. $n_p$,$n_m$ に基づいて,上述の二項検定を行う。
この定義からも分かるように,マクネマー検定の拡張は符号検定と同じものになる。

● その2(R で採用されている)
 セルの対称性という観点からもう一つ別の拡張がある。対称性の適合度検定(goodness of fit test of symmetry)とも呼ばれる。この方法は,変数が名義尺度であっても適用できる。

  1. 分割表のサイズを $M$ とする($M$ 行,$M$ 列)。
  2. 分割表のセルの観察値を $n_{ij}$ とする。$i, j = 1, 2, \dots, M$
  3. 次式で計算される $\chi^2_0$ が,自由度 $\displaystyle \frac{M\ (M-1)}{2}$ の $\chi^2$ 分布に従う。 \[ \chi^2_0 = \begin{array}{c} { } \\ {\sum \sum} \\ {\scriptsize i \lt j} \end{array} \frac{\left( n_{ij} - n_{ji} \right)^2} {n_{ij} + n_{ji}} \]


応用問題

 「ある意見への賛否の態度を 2 回調査した結果は表 3 のようになった。 変化があったといえるかどうか検定しなさい。SPSS と R による拡張をそれぞれ試し,比較しなさい。」

表 3.同じ対象者に行われた 2 回の調査結果
4 月
 支持する   どちらともいえない   支持しない   合計 
 1 月 支持する 13 6 1 20
 どちらともいえない  28 19 29
支持しない 47 21 32
合計 19 21 41 78

・ R で計算してみる


・ 計算プログラム [R]


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