van der Waerden 検定     Last modified: Nov 07, 2002

 順序尺度以上の変数について,2 群の代表値の差を検定する。
 元のデータが正規分布に従うと仮定できる場合に最適である。


例題

 「表 1 のデータにおいて,二群の代表値に差があるかどうか,$5\%$ の有意水準で検定しなさい。」

表 1.架空データ
第 1 群の観察値 1.2,1.9,2.5,6.7
第 2 群の観察値 1.5,3.1,10.5


検定手順:

  1. 前提

  2. 群をこみにして小さい方から順位をつける。

  3. 小さい方から $i$ 番目のケースの正規分布のパーセント点 $z_{i}$ を求める。
    正規分布表,または正規分布のパーセント点の計算を参照すること。

    \[ Z_i = \Phi^{-1}\left ( \displaystyle \frac{i}{n+1} \right ) \] $\Phi^{-1}$ は,正規分布の累積密度関数の逆関数(確率から $Z$ 値を求める)である。

    例題では,表 2 のようになる。

    表 2 van der Waerden 検定の計算表
    データ 順位 $\displaystyle \frac{i}{n+1}$ $z_{i}$ $z_{i}^{2}$
    1.2 1 1 0.125 -1.15 1.32
    1.5 2 2 0.250 -0.67 0.45
    1.9 3 1 0.375 -0.32 0.10
    2.5 4 1 0.500 0.00 0.00
    3.1 5 2 0.625 0.32 0.10
    6.7 6 1 0.750 0.67 0.45
    10.5 7 2 0.875 1.15 1.32
    合計 3.74

  4. 第 $1$ 群のデータに対するパーセント点の合計 $S$ を求める。

    \[ S = \sum_{i\ \in\ \textrm{第1群}} z_i \] 例題では,$S = -1.15 - 0.32 + 0.00 + 0.67 = -0.79$ である。

  5. $S$ の分散

    \[ V = \frac{n_1\ n_2}{n^2-n} \sum_{i=1}^n z_i^2 \] 例題では,$V = \displaystyle \frac{4 \cdot 3 \cdot 3.74}{49 - 7} = 1.07$ である。

  6. $Z_{0}$ は,正規分布に従う。

    \[ Z_0 = \frac{|\ S\ |}{\sqrt{V}} \] 例題では,$Z_0 = \displaystyle \frac{|\ -0.79\ |}{\sqrt{1.07}} = 0.76372$ (正確な値は $0.7665842$)である。

  7. 有意確率を $P = \Pr\{|Z| \geqq Z_{0}\}$ とする。
    正規分布表,または正規分布の上側確率の計算を参照すること。

    例題では,$P = \Pr\{|Z| \geqq 1.96\}= 0.05$ ゆえ,$P = \Pr\{|Z| \geqq 0.77\}\gt 0.05$ である(正確な有意確率:$P = 0.4433$)。

  8. 帰無仮説の採否を決める。

    例題では,有意水準 $5\%$ で検定を行うとすれば($\alpha = 0.05$),$P \gt \alpha$ であるから,帰無仮説は棄却できない。すなわち,「$2$ 群の代表値に差があるとはいえない」。

 得られた検定統計量から正規偏差を計算して検定するため,いずれかの群のケース数が $20$ 以上でなければ検定結果は不正確である。

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