順序尺度以上の変数について,2 群の代表値の差を検定する。
元のデータが正規分布に従うと仮定できる場合に最適である。
例題:
「表 1 のデータにおいて,二群の代表値に差があるかどうか,$5\%$ の有意水準で検定しなさい。」
第 1 群の観察値 | 1.2,1.9,2.5,6.7 |
---|---|
第 2 群の観察値 | 1.5,3.1,10.5 |
検定手順:
\[ Z_i = \Phi^{-1}\left ( \displaystyle \frac{i}{n+1} \right ) \] $\Phi^{-1}$ は,正規分布の累積密度関数の逆関数(確率から $Z$ 値を求める)である。
例題では,表 2 のようになる。
データ | 順位 | 群 | $\displaystyle \frac{i}{n+1}$ | $z_{i}$ | $z_{i}^{2}$ |
---|---|---|---|---|---|
1.2 | 1 | 1 | 0.125 | -1.15 | 1.32 |
1.5 | 2 | 2 | 0.250 | -0.67 | 0.45 |
1.9 | 3 | 1 | 0.375 | -0.32 | 0.10 |
2.5 | 4 | 1 | 0.500 | 0.00 | 0.00 |
3.1 | 5 | 2 | 0.625 | 0.32 | 0.10 |
6.7 | 6 | 1 | 0.750 | 0.67 | 0.45 |
10.5 | 7 | 2 | 0.875 | 1.15 | 1.32 |
合計 | 3.74 |
\[ S = \sum_{i\ \in\ \textrm{第1群}} z_i \] 例題では,$S = -1.15 - 0.32 + 0.00 + 0.67 = -0.79$ である。
\[ V = \frac{n_1\ n_2}{n^2-n} \sum_{i=1}^n z_i^2 \] 例題では,$V = \displaystyle \frac{4 \cdot 3 \cdot 3.74}{49 - 7} = 1.07$ である。
\[ Z_0 = \frac{|\ S\ |}{\sqrt{V}} \] 例題では,$Z_0 = \displaystyle \frac{|\ -0.79\ |}{\sqrt{1.07}} = 0.76372$ (正確な値は $0.7665842$)である。
例題では,$P = \Pr\{|Z| \geqq 1.96\}= 0.05$ ゆえ,$P = \Pr\{|Z| \geqq 0.77\}\gt 0.05$ である(正確な有意確率:$P = 0.4433$)。
例題では,有意水準 $5\%$ で検定を行うとすれば($\alpha = 0.05$),$P \gt \alpha$ であるから,帰無仮説は棄却できない。すなわち,「$2$ 群の代表値に差があるとはいえない」。
得られた検定統計量から正規偏差を計算して検定するため,いずれかの群のケース数が $20$ 以上でなければ検定結果は不正確である。
演習問題:
応用問題: