例題:
「ある知能テストは,各種集団に実施したとき,平均値は変動するが,同じ年齢のものに適用する限り他の要因にかかわりなく,分散は同じであることが経験的にわかっている。いま 2 群に対して実施した結果,a 群 36 名の平均得点は 82.6 点,不偏分散は 15.3,b 群 43 名の平均得点は 84.5,不偏分散は 16.2 であった。2 群の母平均得点に差があるかどうか,有意水準 $5\%$ で両側検定しなさい。」
検定手順:
$a$ 群,$b$ 群のケース数を $n_a$,$n_b$,平均値を $\bar{X}_a$,$\bar{X}_b$,不偏分散を $U_{a}$,$U_{b}$ とする。
例題では, $n_a$ = 36,$n_b$ = 43,$\bar{X}_a = 82.6$,$\bar{X}_b = 84.5$,$U_{a} = 15.3$,$U_{b} = 16.2$ である。
例題では,「分散は同じであることが経験的にわかっている」ので通常の $t$ 検定を行う。
\[ U_e = \frac{(n_a-1)\ U_a + (n_b-1)\ U_b}{n_a+n_b-2} \] 例題では,$U_{e} = \displaystyle \frac{ ( 36 - 1 )\ 15.3 + ( 43 - 1 )\ 16.2 }{ 36 + 43 - 2 } = 15.79091$ である。
\[ t_0 = \frac{\left | \bar{X}_a-\bar{X}_b \right |}{\sqrt{U_e\ \left (\displaystyle \frac{1}{n_a}+\frac{1}{n_b} \right ) }} \] 例題では,$t_{0} = 2.1165$ である。
例題では,$\nu = 77$ である。
\[ t_0 = \frac{\left | \bar{X}_a-\bar{X}_b \right |}{\sqrt{\displaystyle \frac{U_a}{n_a}+\frac{U_b}{n_b} }} \]
例題では,$t (77,0.05) \lt t (60,0.05) = 2.00 \lt t_{0}$ であるから,$P \lt 0.05$ である(正確な有意確率:$P = 0.03753$)。
例題では,有意水準 $5\%$ で検定を行うとすれば($\alpha = 0.05$),$P \lt \alpha$ であるから,帰無仮説を棄却する。すなわち,「母平均値に差がある」。
演習問題:
「ある地区で行った 40 歳以上 65 歳未満の住民検診に来所した男子 42 名,女子 63 名の血色素量についての検査成績は,男子では平均値 15.2 g/dl,不偏分散 1.1,女子では平均値 12.7 g/dl,不偏分散 3.2 であった。男女の平均値に差はあるか,有意水準 $5\%$ で両側検定しなさい。」
問題1 帰無仮説はどれか。a,b のいずれかを解答欄に記入し,送信ボタンをクリックしなさい。
問題2 有意水準を 2$5\%$ として「等分散性の検定」を行った結果はどのようになるか。a,b のいずれかを解答欄に記入し,送信ボタンをクリックしなさい。
問題3 検定統計量 t_{0} を求めなさい。答えは小数点以下 4 桁目で四捨五入した値を解答欄に記入し,送信ボタンをクリックしなさい。
問題4 検定統計量 t_{0} は自由度がいくつの t 分布に従うか。答えは小数点以下 4 桁目で四捨五入した値を解答欄に記入し,送信ボタンをクリックしなさい。
問題5 有意確率は 0.05 より大きいか小さいか。a,b のいずれかを解答欄に記入し,送信ボタンをクリックしなさい。
問題6 有意水準 $5\%$ で検定を行うとき,帰無仮説は棄却できるかできないか。a,b のいずれかを解答欄に記入し,送信ボタンをクリックしなさい。
問題7 最終的な結論はどうなるか。a,b のいずれかを解答欄に記入し,送信ボタンをクリックしなさい。
R で計算してみる
応用問題: