対応のある $k$ 個($k \geqq 3$)の名義尺度変数において,処理間の差(比率の差)の検定を行う(2 つの対応のある比率の検定(マクネマー検定)を拡張した検定である)。各データは 2 値型の変数でなければならない。
例題:
「10 人の被検者を対象として,3 種類の状況の下である作業に成功するかどうかを調べたところ,表 1 のような結果であった(成功の場合 1,失敗の場合 0 で表した)。状況により成功の比率が違うかどうかを検定しなさい。」
被検者 | 状況 1 | 状況 2 | 状況 3 |
---|---|---|---|
1 | 0 | 0 | 0 |
2 | 0 | 0 | 0 |
3 | 0 | 0 | 0 |
4 | 0 | 0 | 1 |
5 | 0 | 1 | 1 |
6 | 0 | 1 | 1 |
7 | 0 | 1 | 1 |
8 | 1 | 1 | 1 |
9 | 1 | 1 | 1 |
10 | 1 | 1 | 1 |
検定手順:
組 | 処理 1 | 処理 2 | $\dots$ | 処理 $k$ | 合計 |
---|---|---|---|---|---|
1 | $R_{11}$ | $R_{12}$ | $\dots$ | $R_{1k}$ | $L_{1}$ |
2 | $R_{21}$ | $R_{22}$ | $\dots$ | $R_{2k}$ | $L_{2}$ |
$\vdots$ | $\vdots$ | $\vdots$ | $\vdots$ | $\vdots$ | $\vdots$ |
n | $R_{n1}$ | $R_{n2}$ | $\dots$ | $R_{nk}$ | $L_{n}$ |
合計 | $G_{1}$ | $G_{2}$ | $\dots$ | $G_{k}$ |
例題では,自由度が $2$ の $\chi^2$ 分布に従う。
$\chi^2$ 分布表,または $\chi^2$ 分布の上側確率の計算を参照すること。
例題では,自由度 $2$ の $\chi^2$ 分布において,$\Pr\{\chi^2 \geqq 5.99\}= 0.05$ であるから,$P = \Pr\{\chi^2 \geqq 6.5\}\lt 0.05$ である(正確な有意確率:$P = 0.03877$)。
例題では,有意水準 $5\%$ で検定を行うとすれば($\alpha = 0.05$),$P \lt \alpha$ であるから,帰無仮説を棄却する。すなわち,「条件により成功の比率は異なる」といえる。
演習問題:
応用問題: