情報化社会が進むにつれ,情報の持つ役割が人間の日常生活にとって重要なものになりつつある。現象そのものが単純であり,だれもが直接理解できるものであれば,特に難しい方法を使う必要なはい。しかし,容易に理解できない現象を調べたり,一部の人にしか理解できないことを他の人にも分かってもらうためには,表現するものを大勢の人が理解できる共通の土俵にのせなければならない。科学における代表的な表現は数字である。しかし,多くの情報を同時に数字の組として表しても直感的に理解できにくい。
数字をグラフによって表すのが グラフィカル手法 である。人間のパターン認識能力は大変優れているので,適切に用いられたグラフィカル手法の結果は理解しやすい。しかし,一方で注意しておかなければならないのは,グラフから受ける印象が実際のデータが持つ情報と一致しているか という点である。不適切にグラフを使うと情報が正確に伝わらない。また,同じデータでも図の表現方法によって理解の容易さは異なる。ちなみに,これを逆手に取ると 統計学で嘘をつく方法 を身につけることもできる。
グラフ表現の実際的な効用は,平易に,数字の視覚化,理解の容易さ,客観性,直感的把握の容易さ,簡単化,対比してみせること,読む労力からの解放,興味の増すこと,万国共通,発見的可能性,および,記憶の容易さなどである。現代はプレゼンテーションの能力が重要視される。上手なグラフィカル表現ができるようにするためには,グラフの作成法を身につけると共に,グラフを見る力を養う必要がある。
グラフ表現法は,大まかに,記述的グラフ と 解析的なグラフ に分けられる。前者はデータを記述する,あるいは他の手法で習得されたものを表現し直すグラフであり,棒グラフ,ヒストグラム,散布図,顔型グラフ,レーダーチャートなどが含まれる。後者は,数値解析手法とも比肩しうるデータ解析,結果の解釈に直結するグラフであり,デンドログラム,三角多項式グラフなどがある。
演習問題:
応用問題: