★ 分散分析の検定-両側か片側か- ★

 95 分散分析の検定-両側か片側か-  nyanta  2002/10/01 (火) 21:25
  98 Re: 分散分析の検定-両側か片側か-  青木繁伸  2002/10/02 (水) 06:54
   102 Re^2: 分散分析の検定-両側か片側か-  SIZMI  2002/10/02 (水) 10:36
    104 Re^3: 分散分析の検定-両側か片側か-  青木繁伸  2002/10/02 (水) 11:22
   99 Re^2: 分散分析の検定-両側か片側か-  nyanta  2002/10/02 (水) 09:14
    103 Re^3: 分散分析の検定-両側か片側か-  青木繁伸  2002/10/02 (水) 11:11
     105 Re^4: 分散分析の検定-両側か片側か-  青木繁伸  2002/10/02 (水) 11:40
      107 Re^5: 分散分析の検定-両側か片側か-  nyanta  2002/10/02 (水) 13:48


95. 分散分析の検定-両側か片側か-  nyanta  2002/10/01 (火) 21:25
分散分析の検定方法についてお尋ねします.
分散分析では,両側検定が定義されていますが(これ自体は納得しているつもり),それでは,なぜ統計ソフト(EXCELしかり,このサイトのプログラムしかり)では片側検定で検定を進めているのでしょうか?
http://aoki2.si.gunma-u.ac.jp/lecture/TwoWayANOVA/TwoWay4.html
「注:意味的に両側検定である。形式的には F 分布の片側確率を使う片側検定である。」とは,一体どういうことなのでしょうか.

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98. Re: 分散分析の検定-両側か片側か-  青木繁伸  2002/10/02 (水) 06:54
> 分散分析では,両側検定が定義されていますが(これ自体は納得しているつもり),それでは,なぜ統計ソフト(EXCELしかり,このサイトのプログラムしかり)では片側検定で検定を進めているのでしょうか?
> http://aoki2.si.gunma-u.ac.jp/lecture/TwoWayANOVA/TwoWay4.html
> 「注:意味的に両側検定である。形式的には F 分布の片側確率を使う片側検定である。」とは,一体どういうことなのでしょうか.

2群の平均値を比較するならば,どちらが大きい・小さいと言うように方向性が考えられます。
3群以上の場合だと,ある順番に並んでいるという対立仮説でない限り,方向性は考えられません。よって,片側検定はできません。3群以上の平均値の比較は,群間分散が群内分散に比べて大きければ(F>>1ならば)平均値が同じではないと言うことになります。そして,これはF分布においては片側確率なのです(群内分散が群間分散より大きいつまり,F<1とはならないのです)


このような関係は,カイ二乗分布を使う3群以上の比率の差の検定の場合にも同じことが言えます。カイ二乗検定も片側確率(上側確率)を使いますが,両側検定です。

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102. Re^2: 分散分析の検定-両側か片側か-  SIZMI  2002/10/02 (水) 10:36
関連して便乗させてください。
共分散分析による2本の回帰直線の傾斜と位置の検定についてです。

先生の解説文書(PDF)では「片側検定は定義できない」とされています。
これは3本以上の回帰直線の比較では御指摘のとおり当然だと思います。

ところで,次の書籍に,2本の回帰直線の傾斜及び位置の検定に
片側t検定を用いている例があります。

 「生物資源統計学」山田・北田著,成山堂書店

この書籍の例は,帰無仮説が「2本の回帰直線の傾斜(位置)には差がない」というもので,本来は両側t検定(=F検定)を用いるのが正しいようです。

ここで質問ですが,帰無仮説が「傾斜1 > 傾斜2ではない」であれば,片側t検定を用いることは妥当でしょうか。

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104. Re^3: 分散分析の検定-両側か片側か-  青木繁伸  2002/10/02 (水) 11:22
> ここで質問ですが,帰無仮説が「傾斜1 > 傾斜2ではない」であれば,
> 片側t検定を用いることは妥当でしょうか。

片側検定はあり得ます。
t 分布を使っていることに注意。

二群の平均値の差の検定を一元配置分散分析の公式を使ってF分布を使って計算することができます。それは,なぜかというと,二群の場合の一元配置分散分析のF値の第一自由度は1,第二自由度は n-2 です。この F 値を F0 とおいておきます。同じデータに二群の平均値の差の t 検定(等分散を仮定する方)を行ったときの t 値を t0 とおきます(自由度は n1+n2-2=n-2)。
t0 と F0 の関係は,t0 =±√F0 となります(±がつくことに注意。どちらかを取る)

先ほどのコメントの最後に3群以上の比率の比較をカイ二乗分布を使って行うことを書きましたが,2群のときの比率の比較をカイ二乗分布を使って行うと両側検定しかできないが,正規分布を用いる二群の比率の比較では片側検定もできる。これは,(z値) = ±√(カイ二乗値)の関係があるからです。

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99. Re^2: 分散分析の検定-両側か片側か-  nyanta  2002/10/02 (水) 09:14
早速のご指南,ありがとうございます.それでは,念のために確認いたしますと,たとえば,EXCELの分析ツール(このサイトの計算プログラムも)などで,片側検定の5%を使って求めても,それは意味的に「すでに」両側検定になっているのであって,これをあえて両側検定に換算する(たとえば,乱暴なやり方ではありますが,「P値が0.025以下でないと両側検定の危険率5%にはならない」と考える)というようなことはする必要がない,むしろ「そんなことをするのは誤りである」と思って良いのでしょうか.検定の結果得られたP値を,そのまま「両側検定」のP値として捉えて良いということでしょうか.

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103. Re^3: 分散分析の検定-両側か片側か-  青木繁伸  2002/10/02 (水) 11:11
何冊かの統計学の教科書を見比べてみましょう。
そして,もし例題があったら,それを Excel で計算してみましょう。
一元配置分散分析においては,片側検定というのはあり得ないのです。

===
なお,Excel の ftest という関数のオンラインヘルプは間違っています。
http://aoki2.si.gunma-u.ac.jp/lecture/stats-by-excel/part5.html を参照。
(ztest 関数の説明も間違っています)
Excel の問題点いろいろ
http://aoki2.si.gunma-u.ac.jp/lecture/mb-arc/arc018/429.html#431
http://aoki2.si.gunma-u.ac.jp/lecture/mb-arc/arc002/148.html#157
http://aoki2.si.gunma-u.ac.jp/lecture/mb-arc/arc018/215.html
http://aoki2.si.gunma-u.ac.jp/lecture/mb-arc/arc006/400.html

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105. Re^4: 分散分析の検定-両側か片側か-  青木繁伸  2002/10/02 (水) 11:40
> なお,Excel の ftest という関数のオンラインヘルプは間違っています。

蛇足

ftest という関数は,二群の分散が等しいかどうかの検定を行う関数です。
二つの分散のどちらが大きい・小さいという方向性があるので,この場合は F 分布を使っても片側検定がありうるのです。

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107. Re^5: 分散分析の検定-両側か片側か-  nyanta  2002/10/02 (水) 13:48
分散分析において,F分布の片側検定を用いている件,納得いたしました.ありがとうございましました.ついでに,EXCEL分析ツールの様々なエラーも実際に体感いたしました.なんだか,お粗末な話ですね.
統計処理って,この手法を使用している人の多くは統計学の初心者であり,必要に迫られて独学で学んでいるのではないでしょうか.様々な教科書や解析ソフトがあるわけですが,これらに書かれてあることがマチマチなのは,使用者としてはなかなか由々しき問題です.一体,何を信じればいいものか.そして,その様々な教科書や,もしくは「当時は真実とされていたこと」をいまだに頭から信じ込んでいる査読者を相手に,「統計的手法が合ってる,間違ってる」の物議を醸し出さなければないないのですから,本当に厄介さ指標は天下一品.
たとえば,私のいる分野では「分散分析を行っていない多重比較検定は意味が無い」と却下されてしまうのですが,一方で,このサイトでお奨めの「統計的多重比較法の基礎」によれば,「分散分析と多重比較は別物であり,併用してはいけない」とまで書かれていたりする・・・.『これは一体どうしたものやら・・・』と頭を抱えてしまいます.

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