統計手法の多くは(1)母分布が正規分布であること,(2)各群の分散が等しい ことを仮定している。対数正規分布,二項分布,ポアソン分布などに従う変数はいずれの条件も満たさないので生のデータを使用して分析ができない。このような変数に数学的な変換をほどこし,新しく得られる変数が条件を満たすようにするための方法である。ただし,変数変換によって分析結果の解釈は必ずしも容易になるとは限らない。また,そもそも母分布について何の知見もないにもかかわらず,ある分布を仮定した変数変換を行うことはナンセンスである。逆に,理論的にある母分布が仮定できるなら,分析手法の要求する仮定にかかわらず変数変換を行わなければならない。いずれにせよ,変数変換を濫用してはならない。正規性,等分散性の仮定が満たされないような場合には,ノンパラメトリックな手法を検討したほうがよいであろう。
対数変換,角変換,平方根変換,プロビット変換,逆数変換,順序尺度化も参照のこと。