例えば,薬物投与群と非投与群の母獣から生れた胎仔のうち,奇形を持つものの割合の平均値を比較するような場合を考える(各母獣の産む胎仔の数が異なるので,奇形を持つ胎仔の数の平均値は意味をなさない)。個々のデータが比率である場合,母平均値(母比率)を $p$ とすると分散は $\displaystyle \frac{p\ (1-p)}{n}$ になり,群間で $p$ が異なれば分散も異なる。このため,平均値の差の検定や一元配置分散分析の前提条件が満たされないことになってしまう。このような場合には,比率 $p_i=\displaystyle \frac{r_i}{n_i}$ に対して,$\arcsin(\sqrt{p})$ なる角変換を行うことで分散の不等性を解消できる(個々の $n_i$ が異なるための不等性は解消できないので $n_i$ が大幅に異なるような場合には重み付き平方和を使用するなどの工夫が必要である。また,変換後の変数は正規分布に従うわけではない)。$r_i=0$ のときは $p_i=\displaystyle \frac{1}{4\ n_i}$,$r_i=n_i$ のときは $p_i=1-\displaystyle \frac{1}{4\ n_i}$ として角変換する。角度の単位は度でもラジアンでもよい。
変数変換も参照のこと。