問:χ2 検定をするとき,期待値の小さい桝目があるといけないと聞きましたが。
以下のいずれかに該当する分割表に対してχ2 検定(独立性の検定)を行ったり,χ2 値から導き出される関連性の指標を用いる場合には注意が必要である(Cochran 1954)。
- 期待値が 1 未満の桝目が 1 つでもある。
- 期待値が 5 未満の桝目が全体の桝目の数の 20% 以上ある。
このような場合には,カテゴリーを併合する。あるいは,カテゴリーが併合できないような場合には,他の検定手法の適用の可能性を検討すべきである。
カテゴリーを併合するのも一つの手ではありますが,その欠点としては
- 情報量を落としてしまうことになる。
- カテゴリーの併合は実際問題として不可能な場合もある。
というようなこともあります。Exact test を使わないまでも,χ2 検定以外の方法の検討もなさるといいと思います。例えば,列または行方向に順序がついているようなときは,マン・ホイットニーのU検定や,クラスカル・ウォリス検定等も使えます。これらは,「期待値が小さい」などという文句は言いません。
参考文献:
Cochran, W. G.: Some methods for strengthening the common chi^2
tests. Biometrics, 10, 417-451, 1954.
Last modified: May 15, 2002
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