No.02603 m×lの正確確率計算について  【北 和弘】 2007/02/05(Mon) 10:08

はじめまして。心理学を専攻している者です。青木先生に質問したいことがございます。これまでも何度か登場しているので すが,対応のない場合のm×lの正確確率計算についてです。ここに5×8の分割表があります(行が条件となる群で,A, B,・・・5群。列がパーソナリティのタイプでa, b・・・の8種類)。各群のタイプの比率の差を検定したいと考えています。期待値が低いセルがあるため,先生のプログラム(http://aoki2.si.gunma-u.ac.jp/exact/exact.html)を用いて正確確率計算を行ったのですが,セルが多いためか,うまく処理できませんでした。そこでNo.1492のhttp://aoki2/si.gunma-u.ac.jp/lecture/Hiritu/を 参考にして,比較したい2群を取り上げました。たとえばA群のタイプの比率と全体のタイプの比率を比較するため,A群における「aタイプ」と「その他のタ イプ」,全体における「aタイプ」と「その他のタイプ」,というように2×2のテーブル表になるようセル合併し,正確確率計算を求めました。その際,多重 比較における多重性を避けるため,有意水準をボンフェローニ法によって,0.05/8=0.00625に修正しました。これを「B群」と「全体」,「C 群」と「全体」・・・と繰り返します。
質問1)このようなやり方は妥当といえるのでしょうか。まずは全体の正確確率計算を求め,そこで有意差がなければいけないのでしょうか。
質問2)このやり方では,全体の中にA群の数値も含まれるため,「A群の比率」と「全体の群の比率」ではなく,「A群の比率」と「その他の群の比率」にわけて検討するべきなのでしょうか。
質 問3)心理学の統計を専門とする先生に質問してみたところ, 「A群の比率」と「その他の群の比率」とセルを合併して検討すればいいとのことで,特に有意水準の修正については仰られませんでした。一方で青木先生の 「セルの併合は情報の損失をもたらす。結論としては,カテゴリーの併合をする必要のない検定法を選ぶべきなのである」(青木,2005, p15)の指摘も読みましました。
お忙しいところとは存じますが,ご教授いただければ幸いです。

No.02604 Re: m×lの正確確率計算について  【青木繁伸】 2007/02/05(Mon) 10:26

全体とその中の一部を比較する問題については,
http://aoki2.si.gunma-u.ac.jp/lecture/mb-arc/arc023/124.html
などを参照して頂くとおわかりのように,そのような比較はしてはいけません。
一対比較をするときには,2群のあらゆる組み合わせを行うのか,どれか基準となる群とそれ以外のあらゆる群の組み合わせを行うのか,目的によっていずれかを選ぶべきでしょう。

A群とそれ以外というように検定を行うのもよいとは思いますが,上のようにした方が結論が明確になると思います。

多重比較を行う際に,「全体の正確検定を行って,有意ならば下位検定を行う」というように段階を踏む必要はないという説の方が優勢かな?インターネット上の
http://aoki2.si.gunma-u.ac.jp/exact/exact.html
は,計算速度の点で優れたものではないので,R や SPSS, SAS などに含まれている正確検定を行うといいかもしれません。
自分のコンピュータに R をインストールしなくても,以下の URL でR を 使用(試用)できます。
http://r.nakama.ne.jp/Rweb-jp/

No.02605 Re2: m×lの正確確率計算について  【北 和弘】 2007/02/05(Mon) 11:10

ご返事ありがとうございます。全体とその一部の比率の差の問題について了解しました。
質問1)先生のコメ ント>一対比較をするときには,2群のあらゆる組み合わせを行うのか,どれか基準となる群とそれ以外のあらゆる群の組み合わせを行うのか,目的によってい ずれかを選ぶべきでしょう。A群とそれ以外というように検定を行うのもよいとは思いますが,上のようにした方が結論が明確になると思います。
「2群のあらゆる組み合わせ」,「基準となる群とそれ以外のあらゆる群」がよくわかりません。これと「A群とそれ以外の検定」とはどのように異なるのでしょうか。
質 問2)もしかりに全体の正確確率計算を求めて有意差が認められた場合,下位検定はどのように行うのが妥当でしょうか。各群の比率の差,具体的には,A群に aタイプの比率が有意に異なるのかといったことを検討したいと考えています。先に述べたような,「A群におけるaタイプ」と「A群におけるa以外のタイ プ」,「A以外の群におけるaタイプ」と「A以外の群におけるa以外のタイプ」とセルを2×2表に合併して,正確確率計算を求めることでいいのでしょう か。その際に,やはり有意水準の修正は必要でしょうか。
質問3)Rを用いてみたいのですが,初心者なので使い方がわかりません。どのような計算式(プログラム)を用いるのがいいのでしょうか。
お手数とは存じますが,ご教示いただけると幸いです。

No.02606 Re: m×lの正確確率計算について  【青木繁伸】 2007/02/05(Mon) 11:53

1) 全ての組み合わせでどこに差があるか知りたいのか,基準になる群と比較したときにどの群と差があるか知りたいのかということです
A, B,Cの3群あったとしてA群とそれ以外,B群とそれ以外,C群とそれ以外,とやってそれぞれ差があったという場合,A,B はほとんど同じで,C が飛び離れているという場合もあるし,A,B,Cそれぞれが違うという場合もあり,どれか特定できない。特定するためには,A:B, A:C, B:C をやればわかります。

2) 「aタイプの比率が有意に異なるのか」ということなら,最初から「a タイプとそれ以外」に分けておけばよいのではないでしょうか。多重比較なら2×2になりますね。
「やはり有意水準の修正は必要でしょうか」というのは,多重比較についての修正(ボンフェローニ)ということなら必要です。

3) R で Fisher の正確検定を行う方法は,
http://aoki2.si.gunma-u.ac.jp/lecture/Cross/Fisher-r.html
を参照してみてください

No.02607 Re3: m×lの正確確率計算について  【北 和弘】 2007/02/05(Mon) 13:27

お忙しいところ,ご返事ありがとうございます。おかげさまで少しずつわかってきました。もう少しお尋ねしたいことがあります。
質 問1)2についですが,A群で検討したいのは,a,b,・・・hタイプまであるので,「A群におけるaタイプとそれ以外」の2×2,「A群におけるbタイ プとそれ以外」の2×2,・・・「A群におけるhタイプとそれ以外」の2×2まで,計8回比較を行います。次にB群に移り,「B群におけるaタイプとそれ 以外」の2×2,・・・「B群におけるhタイプとそれ以外」の2×2まで,B群では計8回比較を行います。これを同様にC群,D群,E群まで行うと,計 40回比較を行ったことになります。
このような場合,ボンフェローニの有意水準は,0.05/8となるのでしょうか,それとも0.05/40となるのでしょうか。
ひつこくて申し訳ありませんが,よろしくお願いいたします

No.02609 Re: m×lの正確確率計算について  【青木繁伸】 2007/02/05(Mon) 15:49

群の比較と同じですから,a と a 以外,b と b 以外,。。。というふうにはやらない方がいいと思いますよ。
2606では,私は,「a と a 以外」の比較しか行われないと思いましたのでああいうふうに書きました。b と b 以外,。。。というふうにつづくとは,想定していません。

No.02612 Re4: m×lの正確確率計算について  【北 和弘】 2007/02/05(Mon) 22:44

ご返事ありがとうございます。理解が不足しているため,もう少し質問させてください。
質問1)「a と a 以外,b と b 以外,。。。というふうにはやらないほうがいい」のはどうしてでしょうか。多重比較の多重性によるものと考えればよろしいのでしょうか。
質問2)K×lのテーブル表において,正確確率計算によって有意差が認められた後,多重比較をしたい場合には,どのような方法があるのでしょうか。
質問3)これまでと重複するかもしれませんが,もしK×lの正確確率計算が困難な場合,それを2×lのテーブル表に合併し,それから正確確率計算をするのは構わないでしょうか。そしてその後,多重比較をすることは可能でしょうか。
よろしくお願いいたします。

No.02614 Re: m×lの正確確率計算について  【青木繁伸】 2007/02/05(Mon) 22:57

2606 で述べたのとは別に,各群の分布の差ととらえる方が良いだろうと思うからです。

あなたのやりたいことは,残差分析でできるのかも知れない(私はお勧めできませんが)

No.02619 Re4: m×lの正確確率計算について  【北 和弘】 2007/02/06(Tue) 11:15

お返事ありがとうございます。くどいようですが,
質問1:つまり,群の分布に有意差があるかどうかわかるとしても,どこに差があるのかみるための多重比較を行うのは困難ということでしょうか。
質問2:残差分析があるということですが,お勧めできない理由を教えていただけると幸いです。

No.02620 Re: m×lの正確確率計算について  【青木繁伸】 2007/02/06(Tue) 11:21

> どこに差があるのかみるための多重比較を行うのは困難

ということだと私は思うんです。

残差分析がお勧めできない理由

m×l 分割表に対して m×l 個の検定統計量が出てきます。

No.02623 Re5: m×lの正確確率計算について  【北 和弘】 2007/02/06(Tue) 14:51

ひつこい質問に応じていただき,感謝しております。これまでのことをまとめると,2606 1)を参考にすればいいと思われたので,次のような検討方法を考えてみました。
た とえば,行にA群,B群,・・・E群までの5群,列にaタイプ,bタイプ,・・・8タイプであるとすれば,「群ごと全ての組み合わせで,どこにタイプの分 布の差があるのか」を知るためには,A群とB群,A群とC群,・・・D群とE群の10通り,2×8のテーブル表にして,カイ二乗値(あるいは正確確率計 算)を求める(しかし,それ以上の下位検定は困難である)。
質問1)このような方法は妥当といえるでしょうか。
質問2)10通り検討することから,多重比較についての修正(ボンフェローニ法)が必要となるのでしょうか。その際は,有意水準は,0.05/10となるのでしょうか。

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