Cutler - Ederer 法による生命表     Last modified: Nov 07, 2002

 生命保険数理法による生命表を求める(臨床生命表とも呼ばれる。例数が少ないときには,Kaplan - Meier 法による生命表を使用すること)。


生命表の作成

 Cutler - Ederer 法では,生存期間をいくつかの区間に区分して各区間での生存率を求め,それに基づいて累積生存率を求める。

  1. 生存時間を $k$ 個の区間に分割し(),各区間における生存数と死亡数について表にまとめる。

    表 1 のように,色の付いたセルの数値($n_1$ と $d_{i}$ ,$u_{i}+w_{i}$ ,$i = 1, 2, \dots, k$ )のみがまず埋められ,残りのセルは計算によって求める。

  2. 区間 $i$ の開始時に生存しているケース数を $n_i$,区間 $i$ の終了までに死亡したケース数を $d_{i}$,区間 $i$ の途中で打切られているケース数を $w_{i}$,区間 $i$ の途中で追跡不能となったケース(脱落例)数を $u_{i}$ とする。

    \[ n_i = n_{i-1} - ( d_{i-1} + u_{i-1} + w_{i-1} ),  i \gt 1 \] \[ n'_{i} = n_i - \frac{u_{i} + w_{i}}{2} \]

  3. 区間 $i$ での死亡率 $q_{i}$ と生存率 $p_{i}$ は( 1 ),( 2 )式で定義される( $i = 1, 2, \dots , k$ )。

    ( 1 )式でわかるように,本法では打ち切り例脱落例を同等に扱っている。

    \[ q_i = \frac{d_i}{n'_i} = \frac{d_i}{n_i-\left ( \displaystyle \frac{u_i}{2}+\frac{w_i}{2} \right )} \tag{1} \] \[ p_i = 1-q_i \tag{2} \]

  4. 区間 $i$ 終了時の累積生存率 $P_{i}$ は( 3 )式で定義される。

    \[ P_i = p_1\ p_2 \cdots p_i \tag{3} \]

 表 1 および図 1 に例を示す。

表 1.Cutler - Ederer 法による生命表
 区間   $i$   $n_i$   $d_{i}$   $u_{i}+w_{i}$   $n'_i$    $q_{i}$     $p_{i}$     $P_{i}$    $SE(P_{i})$ 
0〜 1 37 3 8 33.0 0.09091 0.90909 0.90909 0.05004
10〜 2 26 2 3 24.5 0.08163 0.91837 0.83488 0.06813
20〜 3 21 3 1 20.5 0.14634 0.85366 0.71270 0.08735
30〜 4 17 4 4 15.0 0.26667 0.73333 0.52265 0.10356
40〜 5 9 1 0 9.0 0.11111 0.88889 0.46458 0.10711
50〜 6 8 2 0 8.0 0.25000 0.75000 0.34843 0.10729
60〜 7 6 3 0 6.0 0.50000 0.50000 0.17422 0.08909
70〜 8 3 1 0 3.0 0.33333 0.66667 0.11614 0.07600
80〜 9 2 0 0 2.0 0.00000 1.00000 0.11614 0.07600
90〜 10 2 1 0 2.0 0.50000 0.50000 0.05807 0.05595
100〜 11 1 0 0 1.0 0.00000 1.00000 0.05807 0.05595
110〜 12 1 0 0 1.0 0.00000 1.00000 0.05807 0.05595
120〜 13 1 0 1 0.5 0.00000 1.00000 0.05807 0.05595

figure

図 1.Cutler - Ederer 法による生存率曲線

生存率の比較

 Cutler - Ederer 法では,各区間ごとの生存率に 2 群間で差があるかどうかを検定することができる。

  1. 区間 $i$ における 累積生存率の標準誤差 $SE ( P_{i} )$ は( 4 )式で求められる。

    \[ SE(P_i) = P_i \sqrt{\sum_{j=1}^i\frac{q_j}{n_j-\displaystyle \frac{u_j}{2}-\frac{w_j}{2}-d_j}} \tag{4} \]

  2. ある区間における A 群,B 群の累積生存率を $P_{a}$,$P_{b}$,それぞれの標準誤差を $SE_{a}$,$SE_{b}$ としたとき,( 5 )式で定義される $Z_{0}$ が標準正規分布に近似できることを利用する。

    \[ Z_0 = \frac{\left |\ P_a-P_b\ \right |}{\sqrt{SE_a^2+SE_b^2}} \tag{5} \]

参考文献

  1. 富永祐民: 治療効果判定のための実用統計学 − 生命表法の解説 − . 蟹書房, 東京, 1980.

  2. Cutler, S. J. and Ederer, F.: Maximum utilization of the life table method in analysing survival. J. Chron. Dis. 8 , 699 - 712, 1958.


演習問題


応用問題


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