対応のあるデータ(対応のある標本)とは,以下のようなものである。
例えば,各被検者について,静寂な環境とうるさい環境の下である作業を行わせ,単位時間当たりの出来高を比較するような場合である。
条件 1 | 条件2 | 条件 3 | $\dots$ | |
---|---|---|---|---|
対象 1 | $X_{11}$ | $X_{12}$ | $X_{13}$ | $\dots$ |
対象 2 | $X_{21}$ | $X_{22}$ | $X_{23}$ | $\dots$ |
対象 3 | $X_{31}$ | $X_{32}$ | $X_{33}$ | $\dots$ |
: | : | : | : | $\dots$ |
表 2. 2つの条件の下で測定されるデータの例
被検者 条件1 条件2 青山 ○○ ○○ 赤木 ○○ ○○ 白川 ○○ ○○ 黒田 ○○ ○○ 要点:同じ被検者に必ず条件1と条件2の下で,一回ずつ。 同じ被検者が何回も測定されることはない。 条件は3種類以上あってもよい。
例えば,ある薬が効くか効かないかを実験するとき,上のようなデータのとり方では,前に処方された薬の効き目が残っていることも考えられる。そこで,性,年齢,病気の程度などの項目について,よく似ている人の組を作っておき,片方には A という薬,もう一方には B という薬を与え,その成績を比較するような場合である。
対象 1 | 対象 2 | 対象 3 | $\dots$ | |
---|---|---|---|---|
ペア 1 | $X_{11}$ | $X_{12}$ | $X_{13}$ | $\dots$ |
ペア 2 | $X_{21}$ | $X_{22}$ | $X_{23}$ | $\dots$ |
ペア 3 | $X_{31}$ | $X_{32}$ | $X_{33}$ | $\dots$ |
: | : | : | : | $\dots$ |
対応のあるデータと対応のないデータには別々の統計手法が用意されているので,適切な手法を選択しなくてはならない。例えば,2つの比率の差を検定する場合には,対応のないデータは二群の比率の差の検定,対応のあるデータはマクネマー検定を用いる。
演習問題:
応用問題: