Oct 31, 2000
「バオバブを育てる」などと言ったら,星の王子さま(注1)は「きみは,とんでもないことを考えるね...」と言うだろうか。
インターネット上で電脳植物園をオープンしていると,いろいろな縁が生まれる。バオバブのページをきっかけに,バオバブの種が手にはいるという幸運が舞い込んだのは,「今世紀最後の6月24日」のことだった(注2)。
発芽には温度が必要だろうと言うことで,とりあえずは大切に保管した。
7月19日
梅雨も明けたので,6つある種のうち3つを職場で播いた。
写真は種を播く前に,記念写真を撮ったもの。ちょうどディジカメがなかったので,イメージスキャナのガラスの上に種をばらまいて,スキャンした(この方法は他の人のページから教わった特殊技法?)。種は腎臓型で長さが1.5センチくらい。
7月21日
残りの3つは自宅へ持ち帰って播いた。
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種の入っていた袋に書いてある説明によると,発芽に要する温度などは書いてあるものの,どれくらいの日数で発芽するかは書いていなかった。
バオバブの芽は,いつまでたっても出なかった。....お盆に帰省するときに,留守中の水やりを家人に頼むために,職場で播いたビニールポットも家に持って帰って,大事に見守っていたのに,帰省から帰っても,まだ芽は出ていなかった。...腐ってしまったかと思い,ちょっとほじくってみたが変化がなかった。
9月1日
9月になったし,どうなっているのか,もう一回ほじくってみた。おお!一つの種から1ミリくらいの白い根が出始めていた。おや,おおごとだ。根を傷めないようにそっと埋め直して,水をかけておいた。...芽生えの予感(^_^)
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9月2日
ジャジャジャ〜ン。芽が出た。まだ固い殻をつけている。おそるおそる触ってみると,かなり堅い。これでは,無事に双葉が展開できるか心許ない。殻を少しでも柔らかくするように,ときどき殻に水を掛けたりしたがいっこうにとれそうにない。...どうなるんだろう。
9月3日
ほっておいても,いっこうにらちが明かないので,少々強引だけど殻をピンセットなどを使って,無理矢理はがしてやった。ちょっと,双葉に傷がついて。...いいのか悪いのか。
9月4日
再び職場へ持ってきて,窓際に置いた。一日中見ていても飽きない気がするので...。もう本葉が覗いている。
9月8日
本葉は3枚になった。
9月10日
かなりしっかりしてきた。成長が速いことに,びっくりする。
9月12日
残りの種はどうなったか。
未だに発芽しないのは,どうも,あの固い殻が諸悪の根元のようである,とにらんだ私は,一大決心をする。すなわち,固い殻の一部を削ってやろうということ。アサガオの種も,ナイフで小さな傷をつけて,一晩水につけておけばふくらんで発芽しやすくなる。ということで,バオバブの種をほじくり出して,ナイフで傷をつけようとするが,刃が立たない。仕方ないので,砥石でこすってやることにした。そして,種の内部が直径0.5ミリくらい見える程度に殻をといだ。
その結果,数日後に見事に4本そろって芽を出したのだが,この写真を撮る前日に1本の苗が幹の途中から腐ってしまった。そういうわけで,写真には3本しか写っていない。後一つの種は,...ほじくってみたら,腐ってた。9月の上旬は毎日雨というような天気が続いたので,そのせいかもしれない。
双葉がいたんでいるのは,殻がうまく脱げないので,強制的に除去したためもある。
9月13日
長男はずいぶん立派になった。(とりあえず男ということにしておく)
9月18日
次男,三男,四男も職場に持ってきて,同じように鉢に植え替えて窓辺へ並べた。(とりあえず男ということにしておく)長男とはずいぶん差がある(この後,おいぬかれてしまうのだが)。
左より,長男,次男
左より,三男,四男
9月28日
次男以下も順調に大きくなっている。
10月26日
一ヶ月のスキップ。途中で1鉢(次男)を同僚の生物の先生に差し上げた。
写真は,長男(一番背が低くなってしまった。トホホ。でも,一番ハンサム)
長男は樹高25センチ。三男,四男は33センチほど(根本から成長点まで)。
ん!
2ヶ月で約30センチとは,一年で180センチ...うっ!2年で天井に届く!
やはり,星の王子さまがいうとおり,「バオバブは危険だ!」
三男坊
四男坊
注1:とってもすばらしいサイトがあります。「青いキツネのホームページ:星の王子さま総覧」へジャンプ
注2:「今世紀最後の○○」というのを,テレビなどでよく見聞きしますね。これはそのパロディーです。