独立変数 independent variable

 説明変数(explanatory variable),予測変数(predictor)とも呼ばれる。回帰分析において,ある 1 個の変数 $Y$ の予測値 $\hat{Y}$ が,$p$ 個の変数 $X_i\ (i=1, 2, \dots, p)$ によって $\hat{Y}=b_0+b_1\ X_1+b_ 2\ X_2+\dots+b_p\ X_p$ という重回帰式で定義される場合,$X_i$ を独立変数(リグレッサー regressor),$Y$ を従属変数(リグレッサンド regressand)と呼ぶ。例えば実験などでいくつかの実験条件によって結果が変化するような場合,結果(従属変数)は実験条件(独立変数)に「従属」して決るが,実験条件は結果とは「独立」に自由に変えられるという意味を含んでいる。説明変数という呼びかたは,従属変数の変動を「説明」することから,予測変数という呼びかたは,従属変数を「予測」するための変数であることからつけられたものである。判別分析においては,あるケースがどの群に属するかを「予測」する。例えば 2 群の判別の場合に,$n_1$,$n_2$ を各群のケース数としたとき,一方の群に $\displaystyle \frac{n_2}{n_1+n_2}$,もう一方の群に $\displaystyle \frac{-n_1}{n_1+n_2}$ という数値を与えたときの重回帰分析と,通常の線形判別分析とは等価であることが導ける。このため解析プログラムによっては,判別分析の場合にも独立変数,従属変数という呼びかたをしている。ただし,判別分析においては「独立変数」よりは「説明変数」と呼んだほうが適切かもしれない。あるケースがどの群に属するかは,例えば臨床所見から医師が鑑別診断を下すように,統計学とは別の観点から(やや経験学的に)決められる「外的基準」である。このようなことから,「従属変数」を基準変数(criterion variable)と呼ぶ場合もある(回帰分析の場合にも独立変数が「外的基準」であることに変りはない)。

詳しくは,回帰分析判別分析を参照のこと。


Last modified: May 16, 2002
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