相関係数の統合(2)     Last modified: May 16, 2002

  1. effect size r に関する meta-analysis の目的は

    1. population effect size の決定

    2. 一様性の決定

  2. sampling error について   Schmidt-Hunter 法 (Hunter et al. 1982)

    1. sampling error variance  $s^{2}_{e}$

      \[ s^2_e = \frac{\left (1-r^2_w\right )^2}{N} \] $r_{w}$:各相関係数の重みつき平均
      $k$: 研究の数
      $N$: サンプルサイズの合計

    2. observed variance  $s^{2}_{r}$

    3. population variance (residual variance) $s^{2}_{res}$

      residual standard deviation       $s_{res} = \sqrt{s^2_{res}}$

     以上3つの量において,次式が成り立つ。

    \[ s^2_{res} = s^2_r-s^2_e \]  望ましいのは,$s^{2}_{res} = 0$ となること。あるいは,一様性の指標 $\displaystyle \frac{s^{2}_{r}}{s^{2}_{e}} \times 100(\%$) が 100% になること。

  3. population effect size は,データが一様である場合にのみ信頼できる。

    一様性については以下の基準を考える。

    1. Hunter らは,sampling variance が,少なくとも 7$5\%$ 以上であればよいとした。

    2. 一様性の検定もある(スネデカー・コクランの本にあるものと同じようなものか?)

    3. population variance (residual variance) の値そのものの大きさ。(これが一番重要)

    no06 の例では,

      observed variance   $s^{2}_{r} = 0.01985$
        sampling error variance   $s^{2}_{e} = 0.00548$
        population variance (residual variance)  $s^{2}_{res} = 0.1437$
    であり,$s^{2}_{e}$ は,$s^{2}_{r}$ の 28% に過ぎないことがわかる。
    注:本文中の数値と後述の R による計算結果があわない!? どうも,ミスプリントのようだ。

      $s^{2}_{r} = 0.0199359$
    統計量 effect size $r$ $s^{2}_{e}$ %
    単純平均 0.379 0.005737 28.8
    Fisher 0.388 0.005640 28.3
    重みつき平均 0.374 0.005783 29.0
    重みつき Fisher 0.383 0.005692 28.5
    一様性の検定では,カイ二乗値$ = 28$, $d.f. = 7$ で,帰無仮説は棄却される。

    注:スネデカー・コクランの本にあるものによると,これとはちょっと違うが同じような結果になる。

          カイ二乗値 ・・・・・・・      27.38226
        自由度 ・・・・・・・・・             7
        P値 ・・・・・・・・・・     0.0002844  **
        母相関係数の推定値 ・・・     0.3831321
     以上の結果から一様性は疑わしいので,meta-analysis により系統的な変動要因について検討することになる。

  4. クラスター分析によって相関係数のクラスターを作るとよい。

    どうも普通のクラスター分析と違うみたいだが,むりやり普通の方法を採用してみると(相関係数の値を目で見ただけでもわかるが),

                        平方距離(Ward 法)
          0     0.0409    0.0818     0.123     0.164     0.204     0.245     0.286
          +----+----+----+----+----+----+----+----+----+----+----+----+----+----+
    
        1 |
          |---|
        2 |   |
          |   |-----------------------------------------------------------------|
        4 |   |                                                                 |
              |                                                                 |
        3 ----|                                                                 |
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        5 -|                                                                    |
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        6 ||--------------------------------------------------------------------|
          ||
        7 ||
          |
        8 |
    のようになる。データ 1,2,3,4 と 5,6,7,8 の二つのクラスターがあると考えられる。

  5. 各クラスターのデータについて,今までと同じ分析を行う。

     ここで示された数値が合わない(全体の分析と同じく)。Hunter et al. (1982)を見ないとダメか(^_^;)。どうも,本文のミスプリントみたいだ。

  6. また,各クラスターに共通する特性を検討することにより,moderator variable の存在についての知見が得られる。


参考文献

  1. Hunter, J. E., Schmidt, F. L., & Jackson, G. B. (1982).
    Meta-analysis. Cummulating research findings across studies.
    Beberly Hills, CA: Sage.


 上の解析を R で書くと次のようになる。

# 相関係数の統合 effect size r -- 2
{
n <- c(131, 129, 111, 119, 155, 121, 112, 145)
r <- c(0.51, 0.48, 0.60, 0.46, 0.30, 0.21, 0.22, 0.25)
Z <- atanh(r)
print(data.frame(n, r, Z))
k <- length(r)
N <- sum(n)
s2.r <- var(r)*(k-1)/k
func <- function(str, r) {
	x <- ((1-r^2)^2*k)/N
	cat(str, "=", r, "  s2_e =", x, "  % =", x/s2.r*100, "\n")
}
func("単純平均", mean(r))
func("Fisher", tanh(mean(atanh(r))))
func("重みつき平均", sum(n*r)/sum(n))
func("重みつき Fisher", tanh(sum(n*atanh(r))/sum(n)))
}
結果は以下のようになる。
    n    r         Z
1 131 0.51 0.5627298
2 129 0.48 0.5229843
3 111 0.60 0.6931472
4 119 0.46 0.4973113
5 155 0.30 0.3095196
6 121 0.21 0.2131713
7 112 0.22 0.2236561
8 145 0.25 0.2554128

単純平均 = 0.37875   s2_e = 0.005737441   % = 28.77939 
Fisher = 0.3882532   s2_e = 0.005640208   % = 28.29166 
重みつき平均 = 0.374262   s2_e = 0.005782804   % = 29.00694 
重みつき Fisher = 0.3832525   s2_e = 0.00569157   % = 28.54929 


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