相関係数の統合(1)     Last modified: May 16, 2002

 各研究の,サンプルサイズ($n$),相関係数($r$)がわかっているとき,これを統合して effect size $r$ を得る方法は簡単といえば簡単。

  1. 各相関係数の単純平均
  2. Fisher の $Z$ 変換値の平均を逆変換する
  3. サンプルサイズを重みとする各相関係数の重みつき平均
  4. サンプルサイズを重みとする Fisher の $Z$ 変換値の平均を逆変換する

 4. が最もよく使われる。なお,スネデカー・コクランの本には,「複数の相関係数の同等性の検定」とそれに引き続いて,「統合した点推定値」が書いてありますね。それでは「サンプルサイズ − 3」の重み付けをするようになっています。


 例題として用いるデータは以下のような,サンプルサイズ($n$),(変換された)相関係数($r$)である。

    n    r
1 131 0.51
2 129 0.48
3 111 0.60
4 119 0.46
5 155 0.30
6 121 0.21
7 112 0.22
8 145 0.25
 R で書いてみると以下のようになる。

# 相関係数の統合 effect size r
{
n <- c(131, 129, 111, 119, 155, 121, 112, 145)
r <- c(0.51, 0.48, 0.60, 0.46, 0.30, 0.21, 0.22, 0.25)
Z <- atanh(r)
print(data.frame(n, r, Z))
cat("単純平均 =", mean(r), "\n")
cat("Fisher =", tanh(mean(atanh(r))), "\n")
cat("重みつき平均 =", sum(n*r)/sum(n), "\n")
cat("重みつき Fisher =", tanh(sum(n*atanh(r))/sum(n)), "\n")
}


結果は以下の通り。3列目は Fisher の $Z$ 変換値。

    n    r         Z
1 131 0.51 0.5627298
2 129 0.48 0.5229843
3 111 0.60 0.6931472
4 119 0.46 0.4973113
5 155 0.30 0.3095196
6 121 0.21 0.2131713
7 112 0.22 0.2236561
8 145 0.25 0.2554128

単純平均 = 0.37875 
Fisher = 0.3882532 
重みつき平均 = 0.374262 
重みつき Fisher = 0.3832525 


 なお,研究結果が相関係数で表されていないときは,それぞれの結果を相関係数に変換する公式がある。(これらは,容易に納得できるものもあるし,導出過程がわからないものもありますね ^_^; )

点双列相関係数 $r_{pb}$

\[ r = 1.25\ r_{pb} \]

独立2群の平均値の差の検定における $t$ 値

\[ r = \sqrt{\frac{t^2}{t^2+df}}=\eta \]

一元配置分散分析における $F$ 値

\[ r = \sqrt{\frac{F}{F+df_e}} \]

二元配置分散分析における $F$ 値

\[ r = \sqrt{\frac{F_a\ df_a}{F_a\ df_a+F_b\ df_b + F_{ab}\ df_{ab}+df_e}} \]

分割表のカイ二乗値

\[ r = \sqrt{\frac{\chi^2}{\chi^2+N}} = \mathrm{contingency\ \ coefficient} \]

$2\times 2$ 分割表のカイ二乗値(符号を付けること)

\[ r = \sqrt{\frac{\chi^2}{N}} = \phi\ \mathrm{coefficient} \]

マン・ホイットニーの $U$ 統計量

\[ r = 1-\frac{2\ U}{n_1\ n_2} \]

effect size $d$

\[ r = \frac{d}{\sqrt{d^2+\displaystyle \frac{4\ (N-2)}{N}}} ≒ \frac{d}{\sqrt{d^2+4}} \]

有意確率 $P$ 値

$p \Rightarrow Z$ の後,

\[ r = \frac{Z}{\sqrt{N}} \]


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