No.20423 t検定について  【ゆう】 2013/11/04(Mon) 21:58

t検定について質問させていただきます。
2条件で実験を行い,ひとりの被験者から複数の観測地を得た場合にどのようにt検定を行えばよいのでしょうか?
目標としては,条件間で有意差があることと,定数との間に有意差があることを示したいです。
一般線形モデルの一変量分散分析を行う(固定因子に条件,変量因子に被験者ID)というのが,解決策に近いような気がするのですが,t値はどうするのか(F値の平方根?),定数とはどう比較するのかがわかりません。

ご教授いただけますと幸いです。

No.20426 Re: t検定について  【斜界人】 2013/11/05(Tue) 18:46

・被験者n人
・一要因,二水準(条件)
・各被験者について各条件で一回ずつ観測値を得た
(各水準での観測値はn個。各被験者の観測値は二つ。被験者x条件組合せでは,各々ひとつの観測値)
で合ってますか?
条件で差があるかだけなら対標本t検定で足ります。

定数というのが回帰係数(回帰式の切片と傾き)のことなら被験者を変量効果として回帰分析です。各係数の標準誤差も求められるのでt検定も出来ます。大抵の分析ソフトは検定までやってくれるでしょう。

> 一般線形モデルの一変量分散分析を行う(固定因子に条件,変量因子に被験者ID)...
> ...t値はどうするのか(F値の平方根?)
これはこれで正しいです。根本の理論は同じなので,二水準なら分散分析=t検定だし,回帰分析の傾きのt検定と同じ結果になります。条件間で有意に異なるというのは,要因の回帰係数が有意である(傾きが0ではない)ことに等しいです。

No.20456 Re: t検定について  【ゆう】 2013/11/11(Mon) 12:17

斜界人様

返信が大変遅くなってしまい,誠に申し訳ございませんでした。
実験の方法ですが,
> 被験者n人
> 一要因,二水準(条件)
は,おっしゃる通りなのですが,各被験者から各条件でm個の観測値を得た(1人に各条件でm試行している),という感じです。
ですので,各条件(水準)の観測値はnxm個となります。

水準数が3つ以上だと,GLMの一変量分散分析(固定因子に条件,変量因子に被験者ID)を使うというのは見たのですが,2条件の場合は,t検定のようなことをするべきだと思うのですが,どうすれ良いか分かりませんでした。
上記の方法は2条件でも可能で,F値も出るので,それの平方根をすればt値になるでは?と思った次第です(自由度はどうするべきか,という問題は残るのですが)。

また,各条件の観測値が,ある値(定数)に比べて大きいか小さいかについても,1サンプルのt検定をそのまま当てはめるのも違うような気がして,ご相談差し上げた次第でした。

拙い説明で恐れ入りますが,ご教授頂けますと幸いです。

No.20457 Re: t検定について  【斜界人】 2013/11/11(Mon) 17:04

各条件で被験者ごとの平均値を求め,対標本t検定で良いでしょう。
条件ごとの理論値(定数)との比較も,各被験者の平均を使って一標本t検定でしょう。
つまり,m個のデータでひとつ分ということです。

分散分析を使うなら,試行という要因の扱いに注意して下さい。誤差として分離するか,興味は無くても固定要因に加えるなりして,試行による変動も除く必要があります。
自由度をkとすると t(k)^2 = F(1, k) です。

No.20458 Re: t検定について  【ゆう】 2013/11/11(Mon) 20:28

斜界人様

早速の返信を頂き,ありがとうございます。

> 各条件で被験者ごとの平均値を求め,対標本t検定で良いでしょう。
> 条件ごとの理論値(定数)との比較も,各被験者の平均を使って一標本t検定でしょう。
> つまり,m個のデータでひとつ分ということです。

実はこれをやるのに抵抗があるのです。理由は以下の3つです。
1.被験者数が少ない(被験者の性質上多くとれない)
2.平均してもよいという根拠がない
3.情報量が落ちてしまう

ですので,できればそのままのかたちで検定できないかと思った次第です。
GLMの一変量分散分析(固定因子に条件,変量因子に被験者ID)...では,データをそのまま扱えるので,これをt検定にも適用できるような方法はないかと質問させていただきました。

お時間を割いていただき恐れ入りますが,何卒よろしくお願い申し上げます。

No.20468 Re: t検定について  【斜界人】 2013/11/12(Tue) 17:56

おそらく,あなたのデータは,
http://aoki2.si.gunma-u.ac.jp/R/type-of-test.html
のSAB(RBFpq)のような状態です。一元配置のつもりが実は,条件を要因A,試行を要因Bとした対応あり二元配置と同じになってしまっています。擬似的でもSABタイプとして扱う必要があります。

> 2.平均してもよいという根拠がない
> 3.情報量が落ちてしまう
SAB分散分析の計算方法を見れば平均するのと同じことだと分かります。
http://aoki2.si.gunma-u.ac.jp/R/SAB.html
平均して問題ないし,条件の検証に必要な情報も落ちません。t検定で失うのは条件’以外’の他の情報です。

二番目の引用ページの一番下の例題

A1.B1 A1.B2 A1.B3 A2.B1 A2.B2 A2.B3
S1 4 3 6 3 5 5
S2 4 4 6 4 6 4
S3 5 4 4 3 7 4

ここでAは条件(2条件),Bは試行(各3回ずつ),Sは被験者(3人)だと思えば良いでしょう。
二元配置分散分析(固定効果は条件Aと試行B,両方within-subject,変量効果はS)では,AはF=1, df=(1, 2), p=0.42265となっています。二水準なので差の平均の検定と同じになります。

各水準各被験者の平均を求め,

> mdat
A
S 1 2
1 4.333333 4.333333
2 4.666667 4.666667
3 4.333333 4.666667

これを使って対標本t検定を行なうと 

Paired t-test

data: mdat[, 1] and mdat[, 2]
t = -1, df = 2, p-value = 0.4226
alternative hypothesis: true difference in means is not equal to 0
...(snip)

と同じ結果を得ます。結局,要因Aのみに注目するなら,どちらを使っても同じです。

尚,二水準のときはt検定を使わなねばならないとか,分散分析は駄目ということはありません。条件間の差だけに注目するならt検定でも構わないし,何か他の情報も得たいなら分散分析表も価値があるでしょう。

> 1.被験者数が少ない(被験者の性質上多くとれない)
そういうものとして受け入れるしかないと思います。

No.20470 Re: t検定について  【ゆう】 2013/11/12(Tue) 23:39

斜界人様

丁寧なご回答を頂き,大変感謝いたしております。
確かに,SABタイプのようなデータだと思います。
被験者を1要因とする頭はありませんでした。
2要因の反復測定ですね。

> 平均して問題ないし,条件の検証に必要な情報も落ちません。t検定で失うのは条件’以外’の他の情報です。

そうなのですね。私の勉強不足でした。
たくさんの(各試行の)データをまとめてから検定するので,検定の精度が落ちるように思っていました。

ということは,1サンプルのt検定(定数との比較)についても,各被験者で平均して行うべき,ということかと思います。

被験者が少ないため,有意差が出ないので悩み直しです...

お忙しいところ大変丁寧にご教示頂き,誠にありがとうございました。

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