No.16269 一様性の検定  【サイン】 2012/01/25(Wed) 05:37

統計学勉強中の者です。初歩的な質問になりますが,よろしくお願い致します。

一様性の検定で,サイコロが一様分布になるかどうかを検定するというものがありますが,青木先生のお書きになった結論では,帰無仮説を採択し,「サイコロの目の出方は等しくないとはいえない」となっています。

これは,「サイコロの目の出方は等しい」というのとは違うと考えて良いのでしょうか?
そのように考えると,一様性(「サイコロの目の出方が等しい」)を主張したい場合,それを言い切ることができず「結局一様性の検定はなんの役に立つのだろうか?」と疑問に思ってしまいます。

帰無仮説を採択した場合には,実用的な結論は期待できないということなのでしょうか?
これに関しては,以下のような記述が見つかりました。
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「仮説H0が棄却できないときには,なんら積極的な結論を引き出すことが出来ない。」
確率・統計 (理工系の数学入門コース 7) :岩波 p125
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「Never use the unfortunate expression “Accept the null hypothesis.”」
http://oku.edu.mie-u.ac.jp/~okumura/blog/node/2492
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また,ネットで検索をかけると,帰無仮説を採択したのち,「サイコロの目の出方は等しい」と結論されているものがあり,混乱します。これは誤りなのでしょうか?

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一様性の検定を行っているサイト:
http://kusuri-jouhou.com/statistics/kai.html
”サイコロの目の出方は一様であるということができる”と結論

青木先生の説明:
http://aoki2.si.gunma-u.ac.jp/lecture/GoodnessOfFitness/nominalscale.html
”サイコロの目の出方は等しくないとはいえない”と結論

No.16270 Re: 一様性の検定  【青木繁伸】 2012/01/25(Wed) 08:04

上っ面だけではなく,検定について丁寧な説明を読み,理解すべきでしょう。
どのような教科書でも,ちゃんと書かれていると思います。ちゃんと書かれていないのはちゃんとした教科書ではないと判定して差し支えないでしょう。
http://aoki2.si.gunma-u.ac.jp/lecture/Kentei/kentei.html から始まるページでも,丁寧に読んでください。

No.16271 Re: 一様性の検定  【サイン】 2012/01/25(Wed) 12:31

お返事いただきありがとうございます。

一通り目を通させていただきました。
自分でまとめてみたのですが,正解かどうかを知りたいので,お手数ですが判定いただけると幸いです。

1.「サイコロの目の出方は一様であるということができる」という結論は誤りか?

http://aoki2.si.gunma-u.ac.jp/lecture/Kentei/kekka.html
”「2 群の母平均に差がない」といってはいけない”
とあるのと同様で,「サイコロの目の出方は一様でないとはいえない」とするのが正しい。(つまり,私がはじめに書いたリンク先の結論は誤り)
なぜなら,「一様である」とすると,統計が足りずに帰無仮説を棄却できなかった場合を考えていないことになるから。

2.一様性の検定は何の役に立つのか?

一様性の検定は,作業仮説(対立仮説)が「一様分布でない」なので,「一様分布であるかどうか」を確かめるのではなく,「一様分布でない」ことを確かめるのが目的。
帰無仮説を採択した場合,積極的な結論は出せず,「一様分布でないとはいえない」という(作業仮説を主張したい場合は不幸な)結論しか出せない。

そういう意味で,
Never use the unfortunate expression “Accept the null hypothesis.”
というように言われている。

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プログラムで作成した擬似乱数が「一様分布であるか」をテストしようとした

というのが事のはじまりなのですが,これは「不良品のテストで検出にはひっかからなかった」という意味で,それなりに意味のある結論は出せていると見なして良いのでしょうか?これが通用するなら,作業仮説が必ずしも述べたい結論ではないという理解になりますが。

よろしくお願いいたします。

No.16274 Re: 一様性の検定  【青木繁伸】 2012/01/25(Wed) 18:46

あなたの纏めで正しい。

> プログラムで作成した擬似乱数が「一様分布であるか」をテストしようとした

その検定の条件(サンプルサイズ,有意水準)のもとでは帰無仮説が棄却できなかった戸しか言えない。
別の検定を使ったり,サンプルサイズを増やしたり,有意水準が緩くなったりすると,帰無仮説は棄却されるかも知れない。

サンプルサイズを増やせば,ほんのちょっとの違いでも検出してしまう。だから,「どれくらいの違いなら検出しよう」,「どくのくらいの違い以内なら同等と見なそう」という事前評価が必要。なんでもかんでも検定するから問題が生じる。

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