No.14647 (μ-kσ) の区間推定  【masHARA】 2011/05/17(Tue) 00:45

平均値の区間推定の話は,頻繁に見かけるのですが,(平均+k・標準偏差)の値を区間推定しようとしております。
ある条件で試験片を作成した時,試験片の性能が平均値μ,標準偏差σの正規分布に従うとします。ただし,正確なμやσを知ることが出来ない状況です。
平均値μも大事なのですが,今,考えているのは,この性能の値の分布での,μ-kσの値です。
ここで,kは正の整数とします。下位2.5%の場合ならk=1.96,下位5%ならk=1.64で考え,信頼係数1-αで求めた信頼区間と,求められる性能の下限値を比べようというものです。
過去ログを探すと,「No.05290 平均の区間推定と分散の区間推定」
http://aoki2.si.gunma-u.ac.jp/lecture/mb-arc/arc041/05290.html
や「No.00411 規格値の決め方」
http://aoki2.si.gunma-u.ac.jp/lecture/mb-arc/arc038/00411.html
と似通った問いかと思います。
ただ,「No.00411」に対する回答,「No.00443」では分からない点があるため,こちらの質問に至りました。「No.00443」の解説では,k=6の場合を扱っており,
>(個々の値の分散)=(平均値の分散)+6×(分布の分散)
と考えたときに,
>(平均値の分散) = t(4,0.05)^2/n×σ(U)^2
となっております。
σ(U)^2は,上側5%の信頼区間ですので,母集団の真の標準偏差σは,σ(U)より小さいと考えて,この推定が間違っている確率が5%となる値です。t分布の方も,上側5%の値を使っていますので,
(真の平均値の分散) > t(4,0.05)^2/n×σ(U)^2
となるのは,5%よりも稀なケースになると思いますが,いかがでしょうか。
「No.00411」のように,下側5%から上側5%の危険率でμ+6σの信頼区間で求めようとした場合は,どうすれば良いものでしょうか。
現在は,とりあえず,試験片による平均値をm,不偏分散をs^2とすると,平均m,標準偏差sの正規分布を書いて,この分布で,下限値以下になる確率が何%かを見ています。
御教授を頂ければ幸いです。

No.14649 Re: (μ-kσ) の区間推定  【ひの】 2011/05/18(Wed) 12:59

誤差伝播の法則を適用すれば解けるのではないかと思いますが,私にもそれ以上は分かりません。求めた式が妥当かどうかはシミュレーションで確かめることができるでしょう。
はじめからブートストラップ法を使うという手もありますが,μ+6σともなると元データが相当に膨大でないとあまり信頼のおける値にならないでしょうね。

No.14650 Re: (μ-kσ) の区間推定  【masHARA】 2011/05/18(Wed) 19:11

ひの様
そうですね。まずは,シミュレーションしてみます。
6σは「No.00411 規格値の決め方」での場合で,6に拘る必要はないので,k=1.96でやってみます。
有難うございました。

No.14651 Re: (μ-kσ) の区間推定  【のね】 2011/05/18(Wed) 22:53

質問の内容から見て,求めているのは「予測区間」ではないですか。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%88%E6%B8%AC%E5%8C%BA%E9%96%93
間違っていたら無視してください。

No.14652 Re: (μ-kσ) の区間推定  【quaestio】 2011/05/19(Thu) 06:41

こんなのはどうでしょうか?

Tを自由度φ非心度δの非心t分布に従う確率変数とし,その100(α/2)%分位点と100(1-α/2)%分位点をそれぞれLとUとします。
また,Zを標準正規分布に従う確率変数,Yを自由度φのカイ二乗分布に従う確率変数とし,平均値と不偏分散はそれぞれm, s^2とします。

L < T < Uとなる確率は1-αですが,この不等式は次のように変形できます。
1-α = Pr(L < T < U)
= Pr(L < (Z+δ)/sqrt(Y/φ) < U)
= Pr(Lsqrt(Y/φ) < Z+δ < Usqrt(Y/φ))
= Pr(Lsqrt(s^2/σ^2) < (m-μ)/sqrt(σ^2/n)+δ < Usqrt(s^2/σ^2))
= Pr(Ls/sqrt(n) < m-μ+(δ/sqrt(n))σ < Us/sqrt(n))
= Pr(m-Us/sqrt(n) < μ-(δ/sqrt(n))σ < m-Ls/sqrt(n))
k = -(δ/sqrt(n))とおけば
1-α = Pr(m-Us/sqrt(n) < μ+kσ < m-Ls/sqrt(n))
が得られ,μ+kσの100(1-α)%信頼区間は
m-Us/sqrt(n) < μ+kσ < m-Ls/sqrt(n)
であることがわかる。

No.14653 Re: (μ-kσ) の区間推定  【kai】 2011/05/19(Thu) 08:10

許容区間(tolerance interval)という考え方もあります
母集団の”ある割合”のデータが含まれる範囲を”ある信頼度”で推定する方法になります.

http://www.itl.nist.gov/div898/handbook/prc/section2/prc263.htm

No.14655 Re: (μ-kσ) の区間推定  【masHARA】 2011/05/19(Thu) 11:17

のね様, quaestio様, kai様
御教授を賜り有難うございます。
「予測区間」,「許容区間」という,これまでに聞いたことのない言葉や,まだ,フムフムとすんなりとは理解できない数式に出会って,頭の中に「?」が並んでおります。
まずは,教えて頂きました情報について勉強させて頂きます。

● 「統計学関連なんでもあり」の過去ログ--- 044 の目次へジャンプ
● 「統計学関連なんでもあり」の目次へジャンプ
● 直前のページへ戻る