No.14318 視聴率の計算  【とも】 2011/02/14(Mon) 14:35

視聴率に興味があり,朝日新書から出ている「視聴率の正しい使い方」という本を読みました。
2つの番組の視聴率を比較する際,その24ページに「互いに従属な%の差の検定」と
「互いに独立な%の差の検定」の2つの検定法があることが書かれていました。
「互いに独立な%の差の検定」を行う際は,下記の式が使用されることが書かれていました。
  pとq:2つの番組の視聴率
  lとm:サンプル数
  pp=(p*l+q*m)/(l+m);
  B=2*sqrt( pp*(100-pp)/((l*m)/(l+m)) )
  A=abs(p-q)
  A => Bなら有意差あり
  A < Bなら有意差なし

この式がどのように導かれたかは,自分でもう少し考えたいと思っています。
ただ,実は,その本の中で実際の数値を使った例がいくつか出ているのですが,この式を使って計算しても同じ答えにならないものがあるのです。
そこで,そもそもこの式が正しいのかどうか知りたいと思うようになりました。
お手数をお掛けしますが,まずはこの式が正しいのかどうか,また,この式の導き方を理解するのに良い資料がありましたら,是非,ご教授ください。
よろしくお願いいたします。

No.14319 Re: 視聴率の計算  【青木繁伸】 2011/02/14(Mon) 18:24

2*sqrt( pp*(100-pp)/((l*m)/(l+m)) ) の部分の 2 は,正確には 1.96 ですが,その影響は小さいとは思いますね。この計算式は視聴率が % で表現されているときの計算式ですね。

> この式を使って計算しても同じ答えにならないものがあるのです。

違った答えになる具体例と結果を示せば明瞭な解答が出るでしょう。

なお

>   A => Bなら有意差あり
>   A < Bなら有意差なし

というような方式は,あまり好ましくない(そもそも,有意水準がほぼ 5 % のときにということを言及して欲しいものです。まあ,その本の読者に検定だの有意水準だのいってもはじまらないということで省略しているんでしょうけど)。

A/B の値を計算して,その値によって判定するのが普通(有意水準5%で両側検定するときには,その値が1.96より大きければ有意な差があると結論する。1.96より小さければ,有意な差で*あ*る*と*は*言*え*な*い*と結論する。)

以下などを参照(式を導く過程なんかは書いてないけど)
http://aoki2.si.gunma-u.ac.jp/lecture/Hiritu/diff-p-test.html

No.14324 Re: 視聴率の計算  【とも】 2011/02/15(Tue) 10:49

青木先生,
お返事有り難うございます。

>> この式を使って計算しても同じ答えにならないものがあるのです。
> 違った答えになる具体例と結果を示せば明瞭な解答が出るでしょう。

各値は,p=42.9,q=39.3,l=600,m=600です。
本に書いてある値は A=3.6,B=4.6ですが,僕が計算するとA=3.6,B=5.68 となります。

> A/B の値を計算して,その値によって判定するのが普通

こうする場合は,
  B=sqrt( pp*(100-pp)/((l*m)/(l+m)) )
とするということで良いでしょうか?

> 以下などを参照(式を導く過程なんかは書いてないけど)
> http://aoki2.si.gunma-u.ac.jp/lecture/Hiritu/diff-p-test.html

大変参考になりました。有り難うございます。

せっかくの機会ですので,「互いに従属な場合」についても質問させてください。
本に書いてある「互いに従属な%の差の検定」の場合は,
  pとq:2つの番組の視聴率
  n:調査サンプル数
  B=20*sqrt( (p+q)/n )
  A=abs(p-q)
  A => Bなら有意差あり
  A < Bなら有意差なし
と書いてあります。
これは,青木先生のホームページでは「Welch の方法によるt検定」
http://aoki2.si.gunma-u.ac.jp/lecture/Average/t-test.html
を参考にすれば良いと思うのですが,如何でしょうか?
あと,この場合も A/B の値を計算するようにした方が良いですね。

No.14325 Re: 視聴率の計算  【青木繁伸】 2011/02/15(Tue) 11:40

> p=42.9,q=39.3,l=600,m=600です。
> 本に書いてある値は A=3.6,B=4.6ですが,僕が計算すると
> A=3.6,B=5.68 となります。

あなたが正しいですね。

> > A/B の値を計算して,その値によって判定するのが普通

> こうする場合は,
>   B=sqrt( pp*(100-pp)/((l*m)/(l+m)) )
> とするということで良いでしょうか?

そうです。検定統計量は abs(p-q) / sqrt( pp*(100-pp)/((l*m)/(l+m)) ) です。

> 本に書いてある「互いに従属な%の差の検定」の場合は,
> :
> と書いてあります。
> これは,青木先生のホームページでは「Welch の方法によるt検定」
> http://aoki2.si.gunma-u.ac.jp/lecture/Average/t-test.html
> を参考にすれば良いと思うのですが,如何でしょうか?

違います。
その本に書いてある「互いに従属な場合」というのは,例えば世論調査などで「賛成が p%, 反対が q%,その他が xx%」のようなとき,p と q に差があるかどうかというような場合でしょう?
これは,若干特殊(?)ですね。

その本の元になっているのは,
西平重喜 1985 統計調査法(改訂版) 培風館
ではないでしょうかね(A と B を計算して比較するというスタイルがそっくり)。その本の 142 ページからに説明があります。その式がどのように導かれるかの説明もありますので(独立な場合についても140 ページから),参照すると良いでしょう。

No.14327 Re: 視聴率の計算  【とも】 2011/02/15(Tue) 12:20

青木先生,

お忙しい中,すぐのお返事,有り難うございます。僕の計算が正しいことが分かり,ホッといたしました。

また,「互いに従属な%の差の検定」に関するコメント,有り難うございます。「Welch の方法によるt検定」の式だけを見ると似ていると思ったので,参考になると思いました。

> これは,若干特殊(?)ですね。

きっとテレビの視聴率を扱うので,「互いに従属な%の差の検定」が必要になっているのだと思います。「同じ曜日で同じ時間帯」の二つの異なる番組の視聴率を比較する際は,「互いに従属な%の差の検定」という扱いになるのでしょう。

本のご紹介も有り難うございます。早速,注文しました。こんな本があるのですね。式の導き方も書いてあるとのことですので,大変助かります。
それにしても,統計の世界は奥が深いですね。
今回は,本当に有り難うございました。

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