★ paired t-testを使う場合の補正方法 ★

2545. paired t-testを使う場合の補正方法 井下田寛 2004/03/02 (火) 20:13
└2546. Re: paired t-testを使う場合の補正方法 青木繁伸 2004/03/02 (火) 21:13
 └2586. Re^2: paired t-testを使う場合の補正方法 井下田寛 2004/03/04 (木) 11:59
  └2590. Re^3: paired t-testを使う場合の補正方法 青木繁伸 2004/03/04 (木) 13:31
   └2594. Re^4: paired t-testを使う場合の補正方法 井下田寛 2004/03/04 (木) 15:03


2545. paired t-testを使う場合の補正方法 井下田寛  2004/03/02 (火) 20:13
親切丁寧なコメントに惹かれてついつい質問したくなりました。

paired t-testを使って検定を行った(*に詳細を説明します。)ところ,レフェリーから次のような指摘をいただきました。


トラップAと個々のトラップB(3個:B1,B2,B3)の間でpaired t-testを行いました。7回の回収を行っているため,2つのトラップの捕獲数で1つのペアを各回収日ごとに作ると(例えばAとB1),7ペアからなるデータセットができます(2×7)。同様にAとB2,AとB3でもデータセットができます。これらのデータセットについて検定を行いました。

レフェリーのコメント
「対照との比較対象が1組であればそのままつかえるが,複数組との比較を行う場合には第1種の過誤率が上昇する。複数組との比較を行うケースについてpaired-t testを使う場合の補正方法については統計に詳しい人に相談せよ。」

補正方法をご存じないでしょうか?よろしくお願いします。

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2546. Re: paired t-testを使う場合の補正方法 青木繁伸  2004/03/02 (火) 21:13
こういうデータですか
     トラップA トラップB1 トラップB2 トラップ3
1回目   測定値   測定値    測定値   測定値
2回目   測定値   測定値    測定値   測定値
3回目   測定値   測定値    測定値   測定値
4回目   測定値   測定値    測定値   測定値
5回目   測定値   測定値    測定値   測定値
6回目   測定値   測定値    測定値   測定値
7回目   測定値   測定値    測定値   測定値
トラップAとB1,トラップAとB2,トラップAとB3という組み合わせで,計3回の検定。トラップAのデータは重複して使う。

基本的な質問ですが,トラップAとB1(トラップAとB2,トラップAとB3も)は,なぜ,対応のあるデータなんでしょうか?7回の測定(観察)は条件がそれぞれ違うのでしょうか?7回は単に繰り返しなのでしょうか。

もう一つ,B1,B2,B3 はそれぞれ対応というか関連があるわけではないのですね。

対応のあるデータで,paired t-test を使うのが適切だとして,3回検定を行ったことについて多重性の調整は,一番簡単にはボンフェローニ法を採用して,3つの検定のおのおのを最終的に望んでいる有意水準の3分の1で行うつまり,α=0.05で検定したいなら,3つの検定をそれぞれα=0.05/3=0.01667で行うことです。

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2586. Re^2: paired t-testを使う場合の補正方法 井下田寛  2004/03/04 (木) 11:59
迅速・丁寧なご返事ありがとうございます。
仕事のスケジュールの関係でネットを見るのが遅れました。

paired t-testの補正方法を教えていただきありがとうございました。ただ残念ながら,補正を行ったところほとんど有意差が検出されず,
こちらが意図する結果と異なる結果になってしまいました。
トラップB1が害虫の発生源となる木に近かったため,異常に多くの
虫が捕獲されたことが原因だと思います。異常の理由から,今後の
解析からトラップB1をオミットして検定を行ってみようと考えて
います。

以下,青木さんの質問にお答えします。
> こういうデータですか
>      トラップA トラップB1 トラップB2 トラップ3
> 1回目   測定値   測定値    測定値   測定値
> 2回目   測定値   測定値    測定値   測定値
> 3回目   測定値   測定値    測定値   測定値
> 4回目   測定値   測定値    測定値   測定値
> 5回目   測定値   測定値    測定値   測定値
> 6回目   測定値   測定値    測定値   測定値
> 7回目   測定値   測定値    測定値   測定値
はい。上記のデータの通りで間違いありません。

> トラップAとB1,トラップAとB2,トラップAとB3という組み> 合わせで,計3回の検定。トラップAのデータは重複して使う。
はい。上記の通り検定を行いました。

> 基本的な質問ですが,トラップAとB1(トラップAとB2,トラッ> プAとB3も)は,なぜ,対応のあるデータなんでしょうか?
トラップAは裸地,トラップB1〜3は森林内に設置しました。
裸地と森林内の捕獲数の違いを検出したかったので対応させました。

> 7回の測定(観察)は条件がそれぞれ違うのでしょうか?
> 7回は単に繰り返しなのでしょうか。
調査は設置場所以外の条件をまったく同じにし,単に7回繰り返しました。

> もう一つ,B1,B2,B3 はそれぞれ対応というか関連があるわけではないのですね。
B1〜3は設置場所が森林内という意味では関連があります。

ありがとうございました。

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2590. Re^3: paired t-testを使う場合の補正方法 青木繁伸  2004/03/04 (木) 13:31
> ありがとうございました。

まだ問題は片づいていません。

> paired t-testの補正方法を教えていただきありがとうございました。ただ残念ながら,補正を行ったところほとんど有意差が検出されず,こちらが意図する結果と異なる結果になってしまいました。
> トラップB1が害虫の発生源となる木に近かったため,異常に多くの虫が捕獲されたことが原因だと思います。異常の理由から,今後の解析からトラップB1をオミットして検定を行ってみようと考えています。

検定結果をみてその後の検定方法(解析方法)を変えるというのは,あまり勧められることではありません。

> > 基本的な質問ですが,トラップAとB1(トラップAとB2,トラッ> プAとB3も)は,なぜ,対応のあるデータなんでしょうか?
> トラップAは裸地,トラップB1〜3は森林内に設置しました。
> 裸地と森林内の捕獲数の違いを検出したかったので対応させました。

そういうのは,対応のあるデータとは言いません。
トラップ A とトラップB1についてそれぞれ7つの測定値を得たわけですから,独立二標本です。対応のない平均値の差の検定を行うべきです。

> B1〜3は設置場所が森林内という意味では関連があります。

それも,そういうのは関連のあるデータとは言いません。
対応のあるデータ,独立なデータの説明については,
http://aoki2.si.gunma-u.ac.jp/lecture/Kentei/dependent.html
http://aoki2.si.gunma-u.ac.jp/lecture/Kentei/independent.html
を見てください。

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2594. Re^4: paired t-testを使う場合の補正方法 井下田寛  2004/03/04 (木) 15:03
> > トラップAは裸地,トラップB1〜3は森林内に設置しました。
> > 裸地と森林内の捕獲数の違いを検出したかったので対応させました。
>
> そういうのは,対応のあるデータとは言いません。
> トラップ A とトラップB1についてそれぞれ7つの測定値を得たわけですから,独立二標本です。対応のない平均値の差の検定を行うべきです。

ご指摘はもっともです。勉強になります。上記のご指摘にしたがい,Dunnettの検定法を使ってコントロール群(トラップA)と処理群(トラップB1〜3)の間で平均値の比較を行いました。

もしまだ問題が残っているようでしたらお知らせください。

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