母数 $\theta$ を持つ母集団 $f ( x )$ から抽出された $n$ 標本から,統計量 $\omega_{n} = \omega(X_{1},\dots,X_{n})$ が計算されるとする。
未知母数 $\theta$ の値を $\theta_{0}$ と定めれば $\omega_{n}$ の分布も一義的に決まる。
つまり,$\omega_{n}$ の値が $\omega_{n} \lt \omega_{1} ,\omega_{n} \gt \omega_{2}$ となる確率は $\omega_{1} ,\omega_{2}$ により決まる。
逆に,$\Pr\{\omega_{n} \lt \omega_{1}\}= \Pr\{\omega_{n} \gt \omega_{2}\}= \displaystyle \frac{\alpha}{2}$ となるように $\omega_{1} ,\omega_{2}$ を決めることもできる。
図 1.母数と統計量の関係 |
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図 2,3 中の曲線 $L_{1}$ と $L_{2}$ は対数正規分布の平均値を様々に変えたときに,分布の下側と上側の確率がそれぞれ $\displaystyle \frac{\alpha}{2} = 0.025$ である点の軌跡を結んだものである。
$\theta_{0}$ が変化すると,$\alpha$ が与えられているとき $\omega_{1}$ ,$\omega_{2}$ が決まり,$L_{1}$ ,$L_{2}$ の曲線が得られる(図 2)。
図 2.母数と統計量の存在範囲(1) |
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今度は逆に,ある $\omega_{0}$ が与えられると,$\theta = \theta_{U}$ のとき $\Pr\{\omega_{n} \lt \omega_{0}\} = \displaystyle \frac{\alpha}{2}$,$\theta=\theta_{L}$ のとき $\Pr\{\omega_{n} \gt \omega_{0}\} = \displaystyle \frac{\alpha}{2}$ となるような $\theta_{U} ,\theta_{L}$ が決まる(図 3)。
図 3.母数と統計量の存在範囲(2) |
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つまり,$\omega_{0}$ を $( 1 - \alpha )$ の確率で出現させる $\theta$ は,$\theta_{L} \lt \theta \lt \theta_{U}$ の範囲内にあることになる。
この区間を $100\ ( 1 - \alpha ) \%$ 信頼区間 という。
$100\ ( 1 - \alpha )$ を 信頼率 または 信頼係数 と呼ぶ。
信頼率としては通常,$95\%$,$99\%$ などが用いられる。
演習問題−1:
「ある機械で生産される製品から $n$ 個の製品を抽出したところ不良品が $m$ 個あった。この機械で作られる製品中の母不良率 $p$ の $100\ (1-\alpha)\%$ 信頼区間を求めよ。」
演習問題−2:
「あるテレビ番組を見たかどうか 300 人に聞いたところ,30 人が見たと答えた。全国では何%が見たか,信頼率 $95\%$ で区間推定せよ。」
応用問題: