確率の基本的性質と定理     Last modified: Nov 11, 2002

 要素の個数が有限個の集合のことを有限集合 という。

 一般に,有限集合 $A$ に属する要素の個数を $n ( A )$ で表すことにしよう。

 根元事象が全て同じ程度に確からしいとき,事象 $A$ の確率を $\displaystyle \frac{n ( A )}{n ( \Omega )}$ で定義し,これを $\Pr\{A\}$ と書く。

 このように確率を定義すると,明らかに次の事柄が成り立つ。


例題

 2 種類の薬剤 A,B がある。A 薬は 70% の患者に有効であり,B 薬は 60% の患者に有効である。また,A 薬,B 薬共に有効な患者は 50% であるとする。
 A 薬が無効であった患者に B 薬を投与すると何% の患者に有効となるか。
 また,B 薬が無効であった患者に A 薬を投与すると何% の患者に有効となるか。

解答

 A 薬が有効であるという事象を $A$,無効であるという事象を $\bar{A}$ とし,B 薬についても同様に $B$,$\bar{B}$ とする。

 問題は条件付確率 $\Pr\{B\ |\ \bar{A}\}$ および $\Pr\{A\ |\ \bar{B}\}$ を求めることである。

 条件としてわかっていることは,

  $\Pr\{A\} = 0.7$, $\Pr\{B\} = 0.6$ および $\Pr\{A \cap B\} = 0.5$

である。

 ところで,$\bar{A}$,$\bar{B}$ について

\[ \Pr\{\bar{A}\} = \Pr\{\bar{A} \cap B\} + \Pr\{\bar{A} \cap \bar{B}\} \] \[ \Pr\{\bar{B}\} = \Pr\{A \cap \bar{B}\} + \Pr\{\bar{A} \cap \bar{B}\} \] と分解することができる。ここで,

\[ \begin{align*} \Pr\{\bar{A} \cap \bar{B}\} =& \Pr\{\overline{A \cup B}\} \\[5pt] =& 1 - \Pr\{A \cup B\} \\[5pt] =& 1 - ( \Pr\{A\} + \Pr\{B\} - \Pr\{A \cap B\}) \\[5pt] =& 1 - 0.7 - 0.6 + 0.5 \\[5pt] =& 0.2 \end{align*} \] となる。乗法定理の ( 1 ) 式により,

\[ \begin{align*} \Pr\{B\ |\ \bar{A}\} =& \frac{\Pr\{\bar{A} \cap B\}} {\Pr\{\bar{A}\}} \\[5pt] =& \frac{ \Pr\{\bar{A}\} - \Pr\{\bar{A} \cap \bar{B}\}} { \Pr\{\bar{A}\} } \\[5pt] =& \frac{ ( 1 - 0.7 ) - 0.2 } { 1 - 0.7 } \\[5pt] =& \frac{1}{3} \end{align*} \] 同様にして,

\[ \Pr\{A \ |\ \bar{B}\} = \frac{1}{2} \]


演習問題

 「ある大学では,学生の 60% が男子である。また,学生の 30% の者が自動車通学をしている。男子学生のうち自宅通学の者は 50% である。」


問題1 男子学生で自動車通学をしている学生は大学全体の何パーセントいるか。a,b,c のいずれかを解答欄に記入し,送信ボタンをクリックしなさい。

選択肢 a:18% b:30% c:与えられた情報だけでは答えられない。
解答欄:    

問題2 男子学生で自宅通学をしている者は大学全体の何パーセントいるか。a,b,c のいずれかを解答欄に記入し,送信ボタンをクリックしなさい。

選択肢 a:30% b:40% c:与えられた情報だけでは答えられない。
解答欄:    

応用問題-1

 23 人について誕生日を調べたとき,誕生日が同じ人が 1 組以上いる確率を求めなさい。 答えは小数点以下 5 桁目で四捨五入した値を解答欄に記入し,送信ボタンをクリックしなさい。

解答欄:    

応用問題-2

 一般に,$n$ 人について表を作りなさい。解答は後でみなさい


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