要素の個数が有限個の集合のことを有限集合 という。
一般に,有限集合 $A$ に属する要素の個数を $n ( A )$ で表すことにしよう。
根元事象が全て同じ程度に確からしいとき,事象 $A$ の確率を $\displaystyle \frac{n ( A )}{n ( \Omega )}$ で定義し,これを $\Pr\{A\}$ と書く。
このように確率を定義すると,明らかに次の事柄が成り立つ。
\[ 0 \leqq \Pr\{A\} \leqq 1 \] 特に,
\[ \Pr\{\Omega\} = 1, \Pr\{\phi\} = 0 \]
\[ \Pr\{\bar{A}\} = 1 - \Pr\{A\} \]
余事象の確率 |
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\[ \Pr\{A \cup B\} = \Pr\{A\} + \Pr\{B\} \]
加法定理(排反の場合) |
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\[ \Pr\{A \cup B\} = \Pr\{A\} + \Pr\{B\} - \Pr\{A \cap B\} \]
加法定理(一般の場合) |
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III,IV を 確率の加法定理 と呼ぶ
一般に,事象 $A$ が起こったという条件のもとで事象 $B$ の起こる確率を,$A$ のもとでの $B$ の 条件付き確率 といい,$\Pr\{B\ |\ A\}$ で表す。ただし,$\Pr\{A\} \ne 0$ とする。
\[ \Pr\{B\ |\ A\} = \frac{n ( A \cap B ) }{ n ( A ) } = \frac{\Pr\{A \cap B\} }{ \Pr\{A\} } \tag{1} \]
条件付き確率 |
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\[ \Pr\{A \cap B\} = \Pr\{A\}\ \cdot\ \Pr\{B\ |\ A\} \tag{2} \]
V を 確率の乗法定理 という。
一般に,2 つの事象 $A$,$B$ があって,$A$ が起こった場合と,起こらなかった場合とで $B$ の起こる条件付き確率が等しいとき,事象 $B$ は事象 $A$ と 独立 であるという。
このとき,$\Pr\{B\ |\ A\} = \Pr\{B\}$ であり,( 3 )式がなりたつ。( 3 )式は $A$ と $B$ について対称なので,事象 $A$ が事象 $B$ と独立なら,事象 $B$ も事象 $A$ と独立である( $A$ と $B$ は 互いに独立 である )。
これに対して,$\Pr\{B\ |\ A\}\ne \Pr\{B\}$ のとき,$A$ と $B$ は互いに 従属 である。
\[ \Pr\{A \cap B\} = \Pr\{A\} \ \cdot\ \Pr\{B\} \tag{3} \]
独立事象がともに起こる確率 |
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これは,もう一つの 確率の乗法定理 である。
2 種類の薬剤 A,B がある。A 薬は 70% の患者に有効であり,B 薬は 60% の患者に有効である。また,A 薬,B 薬共に有効な患者は 50% であるとする。
A 薬が無効であった患者に B 薬を投与すると何% の患者に有効となるか。
また,B 薬が無効であった患者に A 薬を投与すると何% の患者に有効となるか。
解答:
A 薬が有効であるという事象を $A$,無効であるという事象を $\bar{A}$ とし,B 薬についても同様に $B$,$\bar{B}$ とする。
問題は条件付確率 $\Pr\{B\ |\ \bar{A}\}$ および $\Pr\{A\ |\ \bar{B}\}$ を求めることである。
条件としてわかっていることは,
$\Pr\{A\} = 0.7$, $\Pr\{B\} = 0.6$ および $\Pr\{A \cap B\} = 0.5$
である。
ところで,$\bar{A}$,$\bar{B}$ について
\[ \Pr\{\bar{A}\} = \Pr\{\bar{A} \cap B\} + \Pr\{\bar{A} \cap \bar{B}\} \] \[ \Pr\{\bar{B}\} = \Pr\{A \cap \bar{B}\} + \Pr\{\bar{A} \cap \bar{B}\} \] と分解することができる。ここで,
\[ \begin{align*} \Pr\{\bar{A} \cap \bar{B}\} =& \Pr\{\overline{A \cup B}\} \\[5pt] =& 1 - \Pr\{A \cup B\} \\[5pt] =& 1 - ( \Pr\{A\} + \Pr\{B\} - \Pr\{A \cap B\}) \\[5pt] =& 1 - 0.7 - 0.6 + 0.5 \\[5pt] =& 0.2 \end{align*} \] となる。乗法定理の ( 1 ) 式により,
\[ \begin{align*} \Pr\{B\ |\ \bar{A}\} =& \frac{\Pr\{\bar{A} \cap B\}} {\Pr\{\bar{A}\}} \\[5pt] =& \frac{ \Pr\{\bar{A}\} - \Pr\{\bar{A} \cap \bar{B}\}} { \Pr\{\bar{A}\} } \\[5pt] =& \frac{ ( 1 - 0.7 ) - 0.2 } { 1 - 0.7 } \\[5pt] =& \frac{1}{3} \end{align*} \] 同様にして,
\[ \Pr\{A \ |\ \bar{B}\} = \frac{1}{2} \]
演習問題:
「ある大学では,学生の 60% が男子である。また,学生の 30% の者が自動車通学をしている。男子学生のうち自宅通学の者は 50% である。」
問題1 男子学生で自動車通学をしている学生は大学全体の何パーセントいるか。a,b,c のいずれかを解答欄に記入し,送信ボタンをクリックしなさい。
問題2 男子学生で自宅通学をしている者は大学全体の何パーセントいるか。a,b,c のいずれかを解答欄に記入し,送信ボタンをクリックしなさい。
応用問題-1:
23 人について誕生日を調べたとき,誕生日が同じ人が 1 組以上いる確率を求めなさい。 答えは小数点以下 5 桁目で四捨五入した値を解答欄に記入し,送信ボタンをクリックしなさい。
応用問題-2:
一般に,$n$ 人について表を作りなさい。解答は後でみなさい