重相関係数の検定 Last modified: May 16, 2002
重回帰分析における分散分析と同じである。
例題:
「標本の大きさが 26 のデータで,ある変数(従属変数)を 3 個の独立変数で予測したとき,重相関係数は 0.586 になった。母重相関係数が 0 であるかどうか検定しなさい。」
検定手順:
- 前提
- 帰無仮説 $H_0$:「母重相関係数 $= 0$」。
- 対立仮説 $H_1$:「母重相関係数 $\ne 0$」。
- 有意水準 $\alpha$ で両側検定を行う(片側検定は定義できない)。
- 標本の大きさ(データの組数)を $n$,独立変数の個数を $p$ 標本重相関係数を $R$ とする。
例題では,$n = 26$,$p = 3$,$R = 0.586$ である。
- 次式で検定統計量 $F_0$ を計算する。
\[
F_0 = \frac{R^2\ /\ p}{(1-R^2)\ /\ (n-p-1)} = \frac{R^2\ (n-p-1)}{(1-R^2)\ p}
\]
例題では,$F_0 = 3.83524519$ となる。
- $F_0$ は,自由度が $(p, n - p - 1)$ の $F$ 分布に従う。
例題では,自由度は $(3, 22)$ になる。
- 有意確率を $P = \Pr\{F \geqq F_0\}$とする。
$F$ 分布表($\alpha = 0.05$,$\alpha = 0.025$,$\alpha = 0.01$,$\alpha = 0.005$),または $F$ 分布の上側確率の計算を参照すること。
例題では,自由度 $(3, 22)$ の $F$ 分布において,$\Pr\{F \geqq 3.05\}= 0.05$ であるから,$P = \Pr\{F \geqq 3.83524519\}\lt 0.05$ である(正確な有意確率:$P = 0.02382658$)。
- 帰無仮説の採否を決める。
- $P \gt \alpha$ のとき,帰無仮説は棄却できない。「母重相関係数が $0$ でないとはいえない」。
- $P \leqq \alpha$ のとき,帰無仮説を棄却する。「母重相関係数は $0$ ではない」。
例題では,有意水準 $5\%$ で検定を行うとすれば($\alpha = 0.05$),$P \lt \alpha$ であるから,帰無仮説を棄却する。すなわち,「母重相関係数は $0$ ではない」と結論する。
演習問題:
応用問題:
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