Jan 06, 1997

あけまして　おめでとうございます

　彗星の撮影に関しては使用できる機材によって違います。私は望遠鏡を持っていないので，最も簡単な固定撮影について書いてみます。

• 必要機材

  カメラ

  なるべく明るいレンズ（F1.8 以下のものが望ましい）。
  焦点距離は 50mm 程度のいわゆる標準レンズ。広角レンズや望遠レンズ（28mm, 35mm, 80mm, 100mm 程度）も場合によっては有効ですが，明るいレンズは高価ですね。
  バルブ露光のできるもの（シャッター速度が選べ，シャッターダイアル等に "Ｂ" があるもの）。

  レリーズ

  ストッパーのついているもの。

  三脚

  風も予想されるので，頑丈なものが望ましい（いわゆるパチパチ三脚でもよいけど，手で揺すっても揺れないもの）。

  フィルム

  なるべく高感度のもの（ISO-1600 以上が望ましい。最も感度の高いものは ISO-3200 くらいのもあります。感度が高いと短い露出でくらい星まで写りますが，粒子は荒くなります）。
  　ネガフィルムかポジフィルムかは後々の利用の仕方にも依りますが，ポジフィルムの方が色の再現性はよいです。しかし，コンピュータで画像処理するときは，ネガフィルムの方がよいそうです。

• 撮影方法

  　対象物をファインダー視野に入れて，シャッターを切るだけです。

  　露出時間は対象物の赤緯により以下のようにします。

  • 0 度〜±20度　　２０秒程度
  • ±20度〜±40度　３０秒程度
  • ±40度〜±60度　４０秒程度
  • ±60度〜±80度　５０秒程度
  • ±80度以上　　　８０秒程度

• ヒント

  　上の露出時間は大まかな目安です。彗星はそうそうお目にかかれるものではないし，やり直しもきかないので事前にテスト撮影をするとよいでしょう。固定撮影で星座を撮影しても結構いけてる写真ができますよ。

  　彗星のように，輪郭がはっきりしていなくて暗い対象ですと，上の露出時間より多めにしてもよいと思います（星は線状に写ります）。

  　北極星を中心にして地上の対象物（木や建物など）が一緒に写るようにして数十分露出すると星の日周運動が撮影できます。夜空が暗いところでは数時間もかけると，理科の教科書にあったような立派な写真ができます。

  　「明るいレンズを使用する」と書きましたが，レンズを開放で使うと周辺部と中央部の露出がアンバランスになったり，周辺部の星が点として写らないなどの欠点があります。彗星の場合にはこのような欠点はある程度無視できますが，レンズをやや絞って使うとよいとかもしれません（当然，暗い星は写りにくくなります）。

  　天文に関する月刊誌（「天文ガイド」や「スカイウォッチャー」など）の投稿写真のページの撮影データも参考になるでしょう。

私が普通のカメラを使って撮影した彗星の写真

• ヘール・ボップ彗星の写真のページ
• 百武彗星の写真のページ