マルチステージモデル multi - stage model     Last modified: Sep 01, 2015

 このモデルは,正常な細胞はいくつかの段階を経て癌細胞になると仮定する。ある段階から次の段階 $i$ への変化が起きる割合は,$\lambda_i = \alpha_i + \beta_i\ D$ で表せるとする( $\alpha_i > 0,\ \ \beta_i \geqq 0 ,i = 1, 2, \dots, k$ )。正常細胞が $k$ 段階全てを経過し癌細胞になる確率は( 9 )式のようになる( $c \gt 0$ )。

\[ P = 1-\exp\left \{ -\ c\ \prod_{i=1}^k\ (\alpha_i+\beta_i\ D) \right \} \tag{9} \]  ( 9 )式の $\{ \}$ 内は $D$ の多項式となるので,( 10 )式のようにも表せる( $b_i \geqq 0$ )。$k = 1$ の場合にはワンヒットモデルに一致する2)

\[ P = 1-\exp \left ( -\sum_{i=0}^k\ b_i\ D^i \right ) \tag{10} \]  このモデルは,発癌メカニズムを考慮していることや疫学データにもよく適合することから,現在ではもっともよく使用されている。


注 2: $b_i = 0$ のとき( 6 )式に一致。$b_i$ は後述の自然発癌率を表現する。


・ 直前のページへ戻る  ・ E-mail to Shigenobu AOKI