さて,お待ちかねの(?)オリオン座です。四つの星が作る長方形とその中に一直線に並ぶ三ツ星があるので,たいていの人は知っていると思います。
星図では,左手に獅子の毛皮を楯に,右手に棍棒を持ち襲いかかってくる牡牛に立ち向かっている姿が描かれています。
オリオン座には二つの一等星があります。一つはオリオンの右肩にある赤っぽい星で,名前はベテルギウスといいます。もう一つは左足先にある青白い星で,名前はリゲルといいます。岐阜県の一部では,赤い星と青白い星の対比で,「平家星」,「源氏星」と呼ぶそうです。
オリオンのベルトの位置にある「三ツ星」は同じくらいの明るさの青白い星です。ベルトからは短剣が下がっていますが,これを「小三ツ星」と呼びます。この真ん中の星は光がにじんだように見えると思います。それは,M42というガス星雲があるからです。そして,その北には「馬の首星雲」という暗黒星雲があります。もっとも,どんなに大きな望遠鏡で見ても肉眼ではこのような華麗な姿を見ることはできないのが残念です。
オリオンは,海神ポセイドンとアマゾンの女王エウリュアレの間に生まれた勇者です。狩猟の名人でしたが,それを鼻にかけていたようで,女神ヘーラがそれを憎んで蠍を遣わし,オリオンは敢えない最期をとげたと伝えられています。その蠍は功績を讃えられ,夏の夜空の代表として輝いています。オリオンはこの苦手の蠍が沈む頃に出てくるということになっていますが,広い地球上の特定の場所・時期により,両者が共に見られます。
オリオンが死んだ原因については,もう一つの伝説があります。オリオンは月の女神アルテミスと恋仲になりましたが,アルテミスの兄アポロン(太陽の神)はオリオンを嫌い,オリオンが川を泳いで渡っているときにアルテミスに「あの川を渡っている鹿が射てるか」とそそのかしました。アルテミスも弓が得意でしたので,だまされてオリオンを射殺してしまいました。事実を知ったアルテミスは嘆き悲しみ,せめて自分の通り道(白道)の近くに星座として置いてくれと兄に頼んだのだということです。