No.21473 Bonferroni法の間違い?  【還暦を過ぎたおじさん】 2014/12/07(Sun) 12:19

いつもお世話になっています。以下の内容について3つの質問をさせて頂きます。宜しくお教え賜りますようお願い申し上げます。

教師の生徒に対する生活上の指導の有無と生徒の悩みの有無との関係を検討するため,対象者の生徒に質問紙調査を行い,150名から回答を得ました。まず,生徒が教師から生活上の指導を過去に「受けた」か「受けていない」かについて質問し,前者は30名,後者は120名という結果が得られました。次に,このような対象者に対して,悩みについて具体的な9項目を提示して「あり」「なし」で回答を得ました。2変数間の独立性の検定には,Fisherの正確確率検定を用いました。その結果,9項目についてのP値(2項目が同じP=0.027で,他はP>0.05)が得られました。しかし,9回の検定を行っていますので,論文の脚注には「Bonferroni法で有意水準を0.006(0.05/9)に調整した上で検定を行った。」と記載して,統計学的有意性(P<0.006を有意あり)を判断した結果,いずれも有意性なしとしました。

(1)これについて,ある邦文雑誌に論文を投稿しましたところ,「Bonferroni法の使用法が間違っている。分数が違います。調整法に関してお調べ頂いた方が良いです。」とのコメントを一方のレフリーの先生から頂戴しました。

この場合,どこが間違っていたのでしょうか。9ではなく,別の数で割らなければならなかったのでしょうか。あるいは,今回の場合には調整をする必要はなかったのでしょうか。

(2)今回の場合はデータを集めた後に2群に分けて分割表を作成し,Fisherの正確確率検定を行いましたので,「独立性の検定」と記載しましたが,正しかったのでしょうか。あるいは「比率の差の検定」とすべきでしたでしょうか。
http://aoki2.si.gunma-u.ac.jp/lecture/Cross/warning2.html

(3)「受けた」群と「受けていない」群で「はい」と回答した者の割合は,9項目の全てにおいて「受けた」群の方が高値でした。このような場合の統計学的な検定方法はありませんでしょうか。

No.21474 Re: Bonferroni法の間違い?  【青木繁伸】 2014/12/07(Sun) 20:55

> (1)これについて,ある邦文雑誌に論文を投稿しましたところ,「Bonferroni法の使用法が間違っている。分数が違います。調整法に関してお調べ頂いた方が良いです。」とのコメントを一方のレフリーの先生から頂戴しました。

> この場合,どこが間違っていたのでしょうか。9ではなく,別の数で割らなければならなかったのでしょうか。あるいは,今回の場合には調整をする必要はなかったのでしょうか。


「ある邦文雑誌に論文を投稿」どこの学会誌でしょうか?

その査読者と直接に会話すればよいと思いますね。
通常,査読の場合は会話はできないので,あなたの考えを編集委員会に伝え,それに対して査読者の回答があなたに届くという,まだるっこしいことにはなるでしょうが,ちゃんとしたことをやるためには,それもやむを得ないことでしょう。
それで,査読者が負けということになると(そんなことが積もると)その査読者の権威も落ちるということになるでしょう。

No.21475 Re: Bonferroni法の間違い?  【scdent】 2014/12/08(Mon) 14:41

>(3)「受けた」群と「受けていない」群で「はい」と回答した者の割合は,9項目の全てにおいて「受けた」群の方が高値でした。このような場合の統計学的な検定方法はありませんでしょうか。

「受けた」群と「受けていない」群で「はい」と回答した者の割合が理論的に同じだと考えたとき,「受けた」群の方が「はい」と回答した者の割合が9問とも高い確率は,
(1/2)^9 = 0.00195 ,両側でもその2倍の0.00391となり,これが検定におけるp値に相当すると思います。

(両側とは,これに,「受けた」群の方が「はい」と回答した者の割合が9問とも低い確率も加えたものです)

ただし,この確率は9問の設問の間に類似性がない(独立あるいは相関性がないなどと言うようです)場合に求まるものです。

さらに,「受けた」群の方が悩みの大きさが多いとか,あるいは「受けた」群の方が女子の方が多いとかという偏りがある場合,「受けた」「受けない」間の比較をしているのか,悩みの大小間での比較をしているのか,あるいは男女間での比較をしているのかわからないのではないでしょうか。

つまり,このような調査(断面研究または横断研究)では因果関係はわからないと言うのが普通の考え方だと思います。
なお,No. 21463の禁煙取り組み運動の話題も同じような問題をかかえているように思います。

「還暦を過ぎた」に触発されて・・・

No.21476 Re: Bonferroni法の間違い?  【還暦を過ぎたおじさん】 2014/12/08(Mon) 19:26

青木先生,ご回答頂きましてありがとうございます。
投稿した学会誌名について,当初はこの掲示板に記載しようと思ったのですが,やはり掲示板という性格から不適当であると判断して記載しませんでした。また,学会誌名を記載しますと,学会の編集委員会や事務局から私の個人名を特定され,不利益を被る可能性も否定できません。そのような訳で何卒ご容赦賜りたくお願い申し上げます。

先生のご回答は,少なくとも上記に記載した内容の場合には,私の調整法は統計学的に間違っていなかったと理解して宜しいでしょうか。理解力が乏しくて申し訳ございません。この点に関しては,私の調整法が間違っていなかった場合,査読者宛に間違っていると指摘された根拠を尋ねたく思います。

scdent先生,ご回答頂きましてありがとうございます。
今回の場合,項目間に類似性や偏りがあると思われます。従って,9項目の全てにおいて「受けた」群の「はい」の割合が高くても,「受けた」群と「受けていない」群の「はい」の割合を比較することは出来ないことから,「受けた」群の方が「受けていない」群よりも悩みが多いとはいえない,と理解して宜しいでしょうか。青木先生への重ねての質問と同様に,理解力の欠乏による重ねての質問をお許し下さい。

還暦の2年前頃より(昨年,還暦でした),統計学を勉強し始めましたが,難しくて困っています。周りに統計学の専門家がいらっしゃれば助かるのですが,そのような方もおられず,この掲示板は私のような者には大変助かっている存在です。青木先生におかれましては,この掲示板を末永く継続して頂きますようお願い申し上げます。

No.21477 Re: Bonferroni法の間違い?  【scdent】 2014/12/09(Tue) 09:51

すみません。先生ではありません。

> 「受けた」群の方が「受けていない」群よりも悩みが多いとはいえない,と理解して宜しいでしょうか。

この調査では,おそらく,「受けた」群の方が「受けていない」群よりも悩みが多いとはいえないし,悩みが多いともいえないし,同じくらいともいえない,と思うのです。

しかしながら,この調査の結果を示して,方法的には適切な検定や推定を行えば,それを利用して「こうなのだろう,こうなのかも知れない」等と類推するのは自由です。

そして,この調査された結果をみて,その欠陥を補った新しい調査方法が生まれるかもわかりません。それでも社会貢献のひとつになるのではないでしょうか。

還暦から色々調べながら統計を勉強され社会への貢献を模索されているご様子に頭が下がります。

No.21478 Re: Bonferroni法の間違い?  【還暦を過ぎたおじさん】 2014/12/09(Tue) 11:10

scdent先生,再度のご回答を頂戴しまして有り難うございます。
私にとりまして,お教え頂いた方は全て「先生」だと思っておりますので,そのようにお呼びさせて下さい。

約40年前,大学へ入って推測統計学という単位が必修でした。その当時はまだ電卓さえも普及していませんでしたので,全てが手計算でした。時には,大学にあった手回し式計算機や計算尺を使用した記憶もあります。統計学の勉強は40年振りですので,あの当時の統計学に比べ現在の統計学は本当に難しく思っています。ここは昔話をする場所ではありませんので,この辺で。本当にありがとうございました。

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