No.15627 観察期間が異なり、イベントが複数回起こる場合の解析  【脇田三日月】 2011/11/07(Mon) 12:56

初めて質問させていただきます。内科医です。
観察期間が異なる場合にもポアソン回帰分析を用いることはできるのでしょうか。
あるいはできないとしたら観察期間が異なり,イベントが複数回起こる場合の解析はどのように行うのでしょうか。
(喘息発作の回数など複数回起こるイベントに対するさまざまな因子の影響を評価するための多変量解析を行いたいと考えているのですが,観察期間が異なる場合でも可能なのでしょうか)

たとえば下記のようなデータで,糖尿病が心血管イベント数を増加するかポアソン回帰分析を用いて解析することはできるのでしょうか。
よろしければ,Rによるコマンドや参考文献なども教えていただければ幸いです。
Rも統計も初学者で恐縮ですが,何卒よろしくお願い申し上げます。

患者 糖尿病 観察期間 心血管イベント数
1  なし  2年  0回
2  なし  2年  1回
3  なし  2.5年  1回
4  なし  3年  2回
5  なし  4年  1回
6  あり  2年  2回
7  あり  2年  1回
8  あり  3年  4回
9  あり  3年  5回
10  あり  3.5年  3回

No.15628 Re: 観察期間が異なり,イベントが複数回起こる場合の解析  【青木繁伸】 2011/11/07(Mon) 15:03

病状の変化のない同じ人を2年しか追跡しなかったデータとその後2年,計4年間追跡したデータ,イベント数は後者は前者の2倍期待されることになりますよね。

No.15629 Re: 観察期間が異なり,イベントが複数回起こる場合の解析  【脇田三日月】 2011/11/07(Mon) 16:17

早速のお返事ありがとうございます。

そうですね。観察期間が異なるためイベント数を単純に目的変数にできず,たとえば1年間のイベント回数(上記の例での心血管イベント数/観察期間)を目的変数にしてポアソン回帰を使用しても,
(
年間心血管イベント数<-心血管イベント数/観察期間
糖尿病<-ifelse(糖尿病=="なし",0,1)
glm(年間心血管イベント数~糖尿病,family=poisson)
)
「2年間観察した症例」と「4年間観察した症例」では重みが違うため不適切のように思いますし,また,イベントが複数回起こるようなものはCox比例ハザードモデルも使用できないようなのでわからなくて困っています。

No.15630 Re: 観察期間が異なり,イベントが複数回起こる場合の解析  【脇田三日月】 2011/11/07(Mon) 16:23

何度もすみません。
そもそも,割り算した年間心血管イベント数は整数にならないのでポアソン回帰の目的変数にはできないのですね。

No.15631 Re: 観察期間が異なり,イベントが複数回起こる場合の解析  【青木繁伸】 2011/11/07(Mon) 19:02

> イベントが複数回起こるようなものはCox比例ハザードモデルも使用できないようなので

1人の患者について,複数のイベントを一つずつにわけて解析する方法があったかと。

http://aoki2.si.gunma-u.ac.jp/lecture/mb-arc/arc042/10729.html
から始まるスレッドに出てくる,
時間依存型比例ハザードモデル
http://www.osakac.ac.jp/labs/tujitani/PBC.pdf
ですかね?

No.15632 Re: 観察期間が異なり,イベントが複数回起こる場合の解析  【TY】 2011/11/07(Mon) 19:44

Cox比例ハザードモデルを複数回イベントに使う方法としてはAndersen-Gillなどがあります。
Googleでandersen gill "multiple event"で検索してトップにきたもののAbstractを見ましたが,その他の方法としてPrenticeらのモデルなども紹介されているようです。
http://www.emis.de/journals/RCE/V33/v33n1a04CastanedaGerritse.pdf

No.15633 Re: 観察期間が異なり,イベントが複数回起こる場合の解析  【脇田三日月】 2011/11/07(Mon) 20:20

青木先生,ありがとうございます。

教えていただいたスレッドと同じ内容だと思います。
恥ずかしながらスレッドの内容すべてを理解するのにはとても時間がかかりそうです。

たとえばある症例を3年間観察して,1年,1.5年の時点でイベントが発生したとすると

観察期間 イベント
1年  1
0.5年  1
1.5年  0

にように分解してからCox比例ハザードモデルを使用するということですね。

このような手法は知らなかったのですが,「観察期間が異なりイベントが複数回起こる」場合
主流なのでしょうか。
説明変数が時間に依存しない場合(性別など)でも複数のイベントをひとつひとつ分ける場合
「時間依存型比例ハザードモデル」と言って良いのでしょうか。
また,やはりポアソン回帰分析は観察期間が全例で観察期間を合わせないと使用できないのでしょうか。

質問ばかりで誠に申し訳ありません。

No.15634 Re: 観察期間が異なり,イベントが複数回起こる場合の解析  【脇田三日月】 2011/11/07(Mon) 23:39

TYさんありがとうございます!
教えてくださった内容がまさに僕の知りたかったことだと思います。

この文献にもあるように,確かにevent-free survivalで解析しているものはよく見かけますが,比例ハザードモデルをmultiple eventsに拡張して解析したものはあまり見たことはありません。
まだあまり一般的な方法ではないのでしょうか。

僕がこれを理解して,実際に解析できるようになるのにはとても時間がかかりそうですが,貴重な情報をありがとうございます。

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