No.15255 のべ数の扱い  【smit】 2011/08/25(Thu) 20:32

リサーチの対象人数20人で,のべ60例の患者さんの治療中の血圧や術中合併症の有無などを統計処理する場合,ある対象者AとBさんが一人で10例分ずつ存在する場合(他は一人で1例として),どのようなアプローチをすることが適切でしょうか?
1.一派ひとからげに60例の平均を取ることはよいのでしょうか?あるいは,例えば,血圧の平均値を出す場合,まずAとBさんのそれぞれの平均値を算出して1例分とした後,42人の平均を取るべきでしょうか?
2. また,血圧変動の大きい順に並べて中央値で二群に分け,術中合併症の有無やその治療に関する相関関係などを調べる場合,60例で処理するべきか,42例で 処理すべきか,いかなるアプローチが適切でしょうか?(42例の場合は,血圧のようにA,Bさんの合併症の平均値を出すわけにはいきませんので,困ります が.)

以上,よろしくお願いいたします.

No.15256 Re: のべ数の扱い  【青木繁伸】 2011/08/25(Thu) 20:43

「一派ひとからげ」というのは,「十把一絡げ」のことでしょうが,それはさておき。

基本的には, 統計学の対象とするデータは,独立でなくてはなりません。同じ人のデータが入っていたり,ある人と別の人のデータが必ず組で入っていたりというのは困りま す。全ての人について,ある時点の前後のデータのような場合は,対応のあるデータとして扱われるので問題はありません。一部の人のデータが水増しの形で 入っているのが問題なのです。

> まずAとBさんのそれぞれの平均値を算出して1例分とした後,42人の平均を取るべきでしょうか?

まあ,そのようにすると一見適切なように見えますけど,A さん B さんのデータはほかの人のデータに比べて正確すぎる(誤差が 1/√サンプルサイズ になる),ことになってしまいます。まあ,平等に扱えなくなるということですね。

> 血圧変動の大きい順に並べて中央値で二群に分け,術中合併症の有無やその治療に関する相関関係などを調べる場合,60例で処理するべきか,42例で処理すべきか

いずれの場合も,「なぜ,一部の人については複数のデータが得られてしまうのか」ということをよ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜く考えてみるべきです。
他の1個しかデータを得られない人と比べたとき,複数個のデータのどの一つを取るのが意味があることなのかということです。
初回データということも,最終回データということもあるだろうし,それ以外の選択肢もあるだろう。

なんでもかんでも,取れるだけデータを取ればよいというものではない。

No.15257 Re: のべ数の扱い  【smit】 2011/08/25(Thu) 21:33

青木先生,早々のご返事に感謝いたします.(国語のご指導まで感謝いたします.十把一絡げ,です.)
この 質問のA,Bさんは,異なる日に10回ずつ治療があり,日によって治療内容,治療時間も異なります.(日毎の体調もありますので,データも少しずつ変動し ています.)よって,一人常に1例というわけにはまいりません.ちなみに収縮期血圧に関して,60例の術中の5分ごとの血圧値の平均とSDから術中のCV 値(変動係数)を算出して順に並べて二群に分けますと,A,Bさんはいずれも両群に出現します.治療内容による違いがあるのかもしれません.詳細の検討は 必要ですが,やや煩雑です.
 それぞれの日で,独立して完結したデータとも言えますので,60例で処理した方が煩雑さは減るかもしれません.同一 人ですが,日毎の違いを考えますと,それぞれのデータに意味があると思われます.独立したデータとして60例で検討して良さそうにも思えますが,いかがな ものでしょうか?

 あるいは初回のみの20例に絞って検討する方がベターでしょうか?

 ご指導をよろしくお願いいたします.

No.15258 Re: のべ数の扱い  【青木繁伸】 2011/08/25(Thu) 22:32

> 独立して完結したデータとも言えますので,60例で処理した方が煩雑さは減るかもしれません.同一人ですが,日毎の違いを考えますと,それぞれのデータに 意味があると思われます.独立したデータとして60例で検討して良さそうにも思えますが,いかがなものでしょうか?

そのようなことを許すモデルに当てはめて,日ごとの変動要因を独立変数として考えるならそれでよいでしょう。

通常の古典的検定では,データの独立性が大前提です。

No.15261 Re: のべ数の扱い  【smit】 2011/08/26(Fri) 11:07

青木先生,ありがとうございます.ちょっと消化できておりません.

>> 独立して完結したデータとも言えますので,60例で処理した方が煩雑さは減るかもしれません.同一人ですが,日毎の違いを考えますと,それぞれのデータに 意味があると思われます.独立したデータとして60例で検討して良さそうにも思えますが,いかがなものでしょうか?

> そのようなことを許すモデルに当てはめて,日ごとの変動要因を独立変数として考えるならそれでよいでしょう。

その許されるモデルというのはどういうものを指すのでしょうか?ちょっとよくわかりません.
あと,初回のみの20例に絞って検討する考え方がすっきりとわかりやすいでしょうか?
よろしくお願いいたします.

No.15262 Re: のべ数の扱い  【青木繁伸】 2011/08/26(Fri) 21:57

> 初回のみの20例に絞って検討する考え方がすっきりとわかりやすいでしょうか?

ということだと思いますよ。

投稿しても,必ず指摘されると思います。

No.15264 Re: のべ数の扱い  【smit】 2011/08/27(Sat) 18:15

 青木先生,ご指導ありがとうございます.
 今後,初回に絞って症例を収集て増やそうと思います.

  重ねて恐縮ですが,必要な症例数についてお伺いしたいです.動物実験などでは,倫理的な問題もあって,1群のn数が10前後での論文をよく見かけますが, 臨床論文では千差万別のような印象です.(最近は必要なn数を計算するソフトもあると聞きますが,実のところよく理解できていません.)
 必要症例数の基本的な考え方とその算出法をご教授いただけましたら幸いです.

No.15265 Re: のべ数の扱い  【青木繁伸】 2011/08/27(Sat) 21:13

吉田さんの本もあるけど,手始めに以下なども。
http://aoki2.si.gunma-u.ac.jp/lecture/Kentei/sample-size.html

No.15281 Re: のべ数の扱い  【smit】 2011/08/29(Mon) 22:25

青木先生,ありがとうございます.少し自分で学んで試してみます.また,よろしくお願いいたします.

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