No.14187 kaplan-meier法による生存率を達成できる確率  【Y.H】 2011/01/22(Sat) 12:49

Kaplan-meier法による生存率を「達成できる確率」について考えています。
たとえばAさんの5年生存率が35%と推定された場合,Aさんが実際に35%の生存グループに入れる確率は,Aさんが長く生存するほど上昇し,生存5年目には100%に達するはずです。この上昇する変量の求め方を以下のように考えましたが,方法として正しいでしょうか。

例として,http://aoki2.si.gunma-u.ac.jp/lecture/Survival/k-m.html の表1をお借りします。変数の定義もお借りします。加えて,今求めようとする変量を「生存達成率」A[i] と呼ぶことにします。

1) tの単位を月とすると,この群の5年生存率は P[31](=0.34544)。
2) 観察開始時点でのAさんにとっての5年生存達成率 A[0] は 0.34544。
3) 仮にAさんが4月を超えて生存した場合,
  p[3](=0.97143)というリスクは乗り越えたことになるので,t[3]における
  5年生存達成率 A[3] = P[31] ÷ p[3] = 0.35560 に上昇。
4) 仮にAさんが6月を超えて生存した場合,
  p[6](=0.96875)というリスクは乗り越えたことになるので,t[6]における
  5年生存達成率 A[6] = 0.35560 ÷ p[6] = 0.36707 に上昇。
5) つまりAさんがP[31]を達成できる確率は
  A[i] = P[31](1/p[1])(1/p[2]) … (1/p[i])
  なお A[31] = 1.0

以下は,実際にA[i]を演算した結果です。
i   t[i]       p[i]    P[i]    A[i]
1 0 + 1.00000 1.00000 0.34544
2 1 + 1.00000 1.00000 0.34544
3 4 0.97143 0.97143 0.35560
4 4 + 1.00000 0.97143 0.35560
5 5 + 1.00000 0.97143 0.35560
6 6 0.96875 0.94107 0.36707
7 6 + 1.00000 0.94107 0.36707
8 8 0.96667 0.90970 0.37973
9 9 + 1.00000 0.90970 0.37973
10 9 + 1.00000 0.90970 0.37973
11 9 + 1.00000 0.90970 0.37973
12 11 + 1.00000 0.90970 0.37973
13 15 0.96000 0.87331 0.39555
14 16 + 1.00000 0.87331 0.39555
15 19 0.95652 0.83534 0.41353
16 19 + 1.00000 0.83534 0.41353
17 21 0.95238 0.79557 0.43421
18 23 + 1.00000 0.79557 0.43421
19 24 0.94737 0.75369 0.45833
20 29 0.94444 0.71182 0.48529
21 30 0.94118 0.66995 0.51563
22 32 0.93750 0.62808 0.55000
23 32 + 1.00000 0.62808 0.55000
24 33 + 1.00000 0.62808 0.55000
25 35 + 1.00000 0.62808 0.55000
26 36 0.91667 0.57574 0.60000
27 37 + 1.00000 0.57574 0.60000
28 38 0.90000 0.51816 0.66667
29 44 0.88889 0.46059 0.75000
30 55 0.87500 0.40302 0.85714
31 56 0.85714 0.34544 1.00000
32 61 0.83333 0.28787
33 61 0.80000 0.23030
34 64 0.75000 0.17272
35 74 0.66667 0.11515
36 95 0.50000 0.05757
37 125 + 1.00000 0.05757

No.14188 【追加】kaplan-meier法による生存率を達成できる確率  【Y.H】 2011/01/22(Sat) 12:56

演算結果が不揃いで見にくくなってしまいましたので,png画像にしたものを追加します。


No.14189 Re: kaplan-meier法による生存率を達成できる確率  【青木繁伸】 2011/01/22(Sat) 15:40

piの累積がPiなのですから,ある時点をスタートとしてその後の累積生存率も同じように計算されるものでしょう。これから何年生きられるかは,今までにどれだけのリスクを生き延びてきたかではなく,これから先どのようなリスクがあるかではないですか?

No.14194 Re: kaplan-meier法による生存率を達成できる確率  【Y.H】 2011/01/23(Sun) 00:49

お返事ありがとうございます。それから不揃いだったスペースや改行を整形してくださったのでしょうか,感謝いたします。

「これから何年生きられるか」(生存期間の長さ)ではなく,特定の期間を生存できるかどうかの確率を考えたいと思っています。特定期間を5年とすると,たとえば2000年元日に癌と診断されたAさんが,2005年元日に生きているかどうかの確率です。
2000 年元日の時点では,向こう5年間のことは未知なので,2005年元日に生きているかどうかの確率は,表1をモデルに用いると,p[1:31]を累積乗した 結果であるP[31](=0.34544)と言えると思います。これが「これから先どのようなリスクがあるか」という評価であり,ここまでのプロセスが通 常のkaplan-meier推定だと思います。

ここで,Aさんが順調に生き延びて2001年元日を迎えた時のことを考えます。この1年 間,つまり表1でいう t[1:12] の期間に起こりえた死亡・打ち切りイベントは,Aさんには起こらなかったことになります。従って,Aさんが2005年元日に生きているかどうかについて 「これから先のリスク」を評価する場合,もはやp[1:12]は考慮せず,p[13:31]の累積乗(=0.37973)になると思います。
同様に,2002年元日を迎えた時は,p[1:19]は考慮せず,p[20:31]の累積乗(=0.45833)になると思います。

これが,最初の投稿で便宜上「生存達成率」A[i]と名づけていた推定量です。
5) の式で,P[31]に対してp[1:i]を除しているのは,P[31]の因数p[1:31]のうちp[1:i]を考慮しないという意味の計算になります。

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