No.13668 感度の比較  【どらねこ】 2010/10/26(Tue) 00:35

 今,検査法AとBとで,ある病原体の検出感度が違うかどうか調べています。
 検査対象の疾患あり・なしが未知の場合で,検査法AとBも陽性は真に陽性と考えられるとき,次のように感度を比較するのは誤りでしょうか?

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          (検査法B)  (検査法B)
            陽性      陰性
(検査法A)陽性    35       10   45
(検査法A)陰性    25       30   55
            60       40   100

検査法Aの陽性率 45/100,検査法Bの陽性率 60/100

感度の比較
 B法に対するA法の感度 (45/100)/(60/100)=0.75
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 一般に感度の比較では,参照法を真の結果と仮定して,もう一方の検査法の感度を評価するようです(http://www.jarmam.gr.jp/situmon/pcr/pcr5.html)。例えばB法を参照法と仮定したとき,B法に対するA法の感度は35/60=0.58と計算します。私が示した方法で感度を比較した例を見たことがないので,質問させていただいた次第です。

 また,こちらの掲示板の過去ログ(http://aoki2.si.gunma-u.ac.jp/lecture/mb-arc/arc041/06168.html)によりますと,検査対象の疾患あり・なしが未知のデータに対してマクネマー検定を行うのは誤りのように読み取れるのですが,なぜ誤りなのでしょうか? 検定の目的が比率の差の検定なら,マクネマー検定を行ってもよいとも読み取れますが・・・

No.13670 Re: 感度の比較  【青木繁伸】 2010/10/26(Tue) 07:24

「私が示した方法で感度を比較した例を見たことがないので」ということですが,仮説を検証するためにはいろいろな 検定統計量が計算できます。そのなかで,より適切なもの,検定統計量の分布がわかるものが採用されるのでしょう。例えばあなたのデータのような場合は, 「対応のある場合の相対危険度」が定義されますが,それは c/b で表されます(この値が 1 かどうかを検定)。また,マクネマー検定では (b-c)^2/(b+c) を評価し,比率の差が 0 かどうかを検定しますし,その正確検定(二項検定)では b または c の値(二項分布)で b=c を検定します。

「すべての対象が疾患を有しているのですが」という所が問題視されているわけで,「検査対象の疾患あり・なしが未 知のデータに対してマクネマー検定を行うのは誤り」とは書かれていません。一般に,(2つの)母比率はわからないものです。その上で,差があるかどうかを 検定するのです。


No.13673 Re: 感度の比較  【どらねこ】 2010/10/26(Tue) 23:22

ご教授,ありがとうございます。

私が示した感度の比較法は,aとdの件数の影響を受けてしまうので,適切ではないんですね。また,陽性率の差は,マクネマー検定で評価すればよいことも理解できました。

申 し訳ありませんが,もう一つ,お教えください。相対危険度の意味がよくわからないのですが,「c/bが1かどうかを検定」とのことですので,私のデータの 場合,相対危険度を検出感度と読み替えて,「B法に対するA法の検出感度は c/b=10/25=0.4倍だった」と言ってよいのでしょうか?

No.13677 Re: 感度の比較  【ひの】 2010/10/27(Wed) 09:46

感度とはどういう意味かよく知らなかったのですが,Wikiで調べると,「医学における感度とは,臨床検査の性格を決める指標の1つで,ある検査について「陽性と判定されるべきものを正しく陽性と判定する確率」として定義される値である。」と書いてありました。
そうすると,「相対危険度を検出感度と読み替えて」というような勝手なことをしてはあなたにしか意味のない(つまり他人に意味が伝わらない)話になってしまいます。
Wikiに書かれた定義に従うと,

> 検査対象の疾患あり・なしが未知の場合で,検査法AとBも陽性は真に陽性と考えられるとき,
>検査法Aの陽性率 45/100,検査法Bの陽性率 60/100
>感度の比較
> B法に対するA法の感度 (45/100)/(60/100)=0.75

 ではなくて,A,Bとも感度は35/35, 35/35であり,感度の比も1になります。「検査法AとBも陽性は真に陽性」と決めたら,どちらの検査法も「陽性と判定されるべきものを正しく陽性と判定する確率」は自動的に1にならざるを得ません。

No.13678 Re: 感度の比較  【どらねこ】 2010/10/27(Wed) 12:13

恐れ入ります。

>「検査法AとBも陽性は真に陽性」
書き方が悪かったです。「検査法Aの陽性も,Bの陽性も,真に陽性」という意味です。病原体が検出できた(見えた)かどうかを問題にする場合,このように決めるのは,むしろ適切だと思うのですが・・・

「勝手な定義では他の人に伝わらない」というのは,おっしゃるとおりです・・・
だからこそ,不安になって質問させていただきました。

No.13679 Re: 感度の比較  【ひの】 2010/10/27(Wed) 13:08

なるほど,つまり少なくともどちらかの検査法で陽性となれば真の陽性(つまり「陽性と判定されるべきもの」)とするわけですね。
「陽性と判定されるべきもの」の数は不明でもこの場合70以上100以下。いずれにしても,同じ検体を調べての結果なのだから,「陽性と判定されるべきもの」の数はA,Bとも同じで,感度の分母は同じ。したがって感度の比は「感度の分子の比」に等しく,

Aの感度/Bの感度 = Aの陽性数/Bの陽性数 = 45/60

ということになるでしょう。
陰性のものを誤って陽性とすることがないという仮定なのだから,感度が陽性数に比例するのは当然ですね。

No.13685 Re: 感度の比較  【どらねこ】 2010/10/28(Thu) 02:13

しつこく質問してすみません。

陽性数がa+cとa+bでも,その差の検定では, (a+b)-(a+c)=b-c=0を検定することになると思います。最初,「結局,b-c=0を検定することになるから,マクネマー検定でよい」と単純 に考えたのですが,陽性数の期待値は (a+c+a+b)/2 となるので,
統計量は{[(a+c)-(a+c+a+b)/2]^2+[(a+b)-(a+c+a+b)/2]^2}/[(a+c+a+b)/2]
=(b-c)^2/(a+c+a+b) (自由度は1?)
つ まり,陰性のものを誤って陽性とすることがないと仮定すると,比率の差の検定にマクネマー検定は使用できないのでしょうか? それとも,最初の考えどお り,陽性数がa+cとa+bでも,感度の比較で問題となるのはcとbの件数だから,マクネマー検定を使用してよいのでしょうか?

ひのさま
ご教授,ありがとうございます。納得できました。

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