No.13177 交互作用がある場合の多重比較  【yoshi】 2010/07/29(Thu) 16:49

条件A(N=7)と条件B(N=7)において(AとBの被験者は同一ではない ―被験者間因子),30分間の運動をしたと き,5分ごとに心拍数を記録したとします(被験者内因子:水準7)。2要因分散分析(条件→対応なし,時間→対応あり)をかけた結果,条件x時間の交互作 用が有意になりました。条件間の差に興味があるので,多重比較をしたいと思います。通常この場合の多重比較は,先日のお話から,「各時間の水準において, 1要因の分散分析を行え」ということでしたが,この例の場合,条件が2つしかなく,分散分析ができません。この例においては,各時間水準において,t検定 をして,条件間の差をみてもいいのでしょうか?

No.13179 Re: 交互作用がある場合の多重比較  【青木繁伸】 2010/07/29(Thu) 16:56

> 条件が2つしかなく,分散分析ができません。この例においては,各時間水準において,t検定をして,条件間の差をみてもいいのでしょうか?

独 立 k 標本(k > 2)の場合は分散分析(一元配置分散分析のことでしょうが),独立二群の場合は t 検定ということになっているわけですが,独立 2 標本に分散分析を適用しても,P 値は同じになるのです(検定統計量は F と t ということになり,数値は違うものの,この場合は F = t^2 という関係式と, F 分布の自由度が 1, df2,t 分布の自由度が df2 という関連があるので,P 値が同じになる,つまり,両者は等価の検定であるということです。FAQ ですが)。

# 関係ないですが,「2要因分散分析をかける」とか「調査をかける」とかいうのは,耳障り,目障りです。いつの頃から「○○をかける」という用語法が広まったんでしょうねえ。

No.13180 Re: 交互作用がある場合の多重比較  【yoshi】 2010/07/29(Thu) 17:00

青木先生 早速のご回答ありがとうございます。それでは,この例の場合には,各水準ごとにt検定をかけてもよい,ということですね(結果は同じわけですから)。今後,「かける」という言葉を使わないように気をつけます。ご指摘いただきありがとうございました。

No.13182 Re: 交互作用がある場合の多重比較  【ひの】 2010/07/29(Thu) 17:18

余談の方に反応。

># 関係ないですが,「2要因分散分析をかける」とか「調査をかける」とかいうのは,耳障り,目障りです。いつの頃から「○○をかける」という用語法が広まったんでしょうねえ。

 「かける」というのはやまとことばの基本語の一つなのでしょうね。辞書(広辞苑)によると実に様々な意味が分類記載されています。

>すべてを託する。手にゆだねる。竹取「さりともつひに男あはせざらむやはと思ひて頼みを―・けたり」。「医者に―・ける」「神仏に願を―・ける」

>議題にする。問題として取り上げてそこで処理する。「会議に―・ける」「裁判に―・ける」

 このあたりが意味用法としては近いと思うのですが,この場合は「○○をかける」ではなくて,「○○にかける」とすべきでしょうね。「○○をかける」という形式は,

>かぶせる。おおう。源夕霧「わけゆかむ草葉の露をかごとにてなほ濡れ衣を―・けむとや思ふ」。「布団を―・ける」「メッキを―・ける」

 との混同でしょうか。「2要因分散分析にかける」とか「調査にかける」にすればいいのかな?この場合も,自分が分析するのではなく機械(ソフト)にゆだねる,自分の手で調査するのではなく他者に依頼して調査してもらう,というニュアンスになりますね。

No.13183 Re: 交互作用がある場合の多重比較  【yoshi】 2010/07/29(Thu) 17:33

ひの様 レスポンスありがとうございます。「かける」ではなく,「をかける」がいけなかったのですね。日本語を正しく使わなければなりません。

No.13185 Re: 交互作用がある場合の多重比較  【ひの】 2010/07/29(Thu) 18:36

 私は感想を述べただけで,言葉の問題は正しいとか正しくないとか一概には言えないと思っています。

  「データを分散分析にかける」という表現は,サンプルをブラックボックスの測定器に放り込んで測定結果が出るのを待つ,というのに近い用法で,神様からご 託宣を授かるかのような人まかせのニュアンスを感じます。しかし「データに分散分析をかける」とするともう少し能動的なニュアンスになるので,使われるよ うになったのじゃないかと推測します。

検索してみると過去にも話題になっていますね。
http://aoki2.si.gunma-u.ac.jp/lecture/mb-arc/arc039/01189.html

  なお,ググッてみると"調査にかける"は約240,000件,"調査をかける"は約1,820,000件のヒット数でした。しかも"調査にかける"のほう は「調査にかける費用」とか「調査にかける時間」というような表現がかなり混じっているので,「調査をかける」のほうがかなり多数派のようです。
 "分散分析にかける"は約5,990件,"分散分析をかける"は約9,770件,"分散分析する"は約74,800件でした。

No.13186 Re: 交互作用がある場合の多重比較  【yoshi】 2010/07/29(Thu) 18:45

なるほど。ありがとうございました。

No.13187 Re: 交互作用がある場合の多重比較  【青木繁伸】 2010/07/29(Thu) 18:51

辞典には「かける」が数十種類掲載されていますね。
「〜する」といえばよいところを「〜をかける」というのが特徴でしょう。この「かける」の解説は見あたらなかった。
飲食店などの店員などが「〜です」というところを「〜になります」というとか,「〜でよろしいでしょうか」というところを「〜のほうでよろしいでしょうか」,「〜します」を「〜していきます」などというのと出所は似ているのでしょう。

● 「統計学関連なんでもあり」の過去ログ--- 043 の目次へジャンプ
● 「統計学関連なんでもあり」の目次へジャンプ
● 直前のページへ戻る