No.09926 論文における分析結果の表記の仕方について  【MAGI】 2009/05/24(Sun) 21:54

いつも参考にさせていただいてます.これまで,度々こちらでご教示をいただき,調査で得られたデータの分析方法を選別しま した.Mann-Whitney検定の結果二群間の差があることを論文で表記する際,統計ソフトの結果内容のうち,p値以外にどの項目を表記すればいいで しょうか.小生が使っているのは,StatView5.0で,群分け変数,U値,U値棄却域値,z値,二群の例数,順位合計,平均順位が得られますが,す べてを表記すべきなのか,これとこれといった範囲があるのでしょうか.同じく,Kruskal-Waillis検定では,自由度,群数,同順位数,H統計 量,p値,各群の例数,順位合計,平均順位が得られます.同じ領域(医療福祉)の先行研究では,あまり使われていない方法のようで,またまた基本的な質問 とは存じますがよろしくご教示お願いします.

No.09928 Re: 論文における分析結果の表記の仕方について  【青木繁伸】 2009/05/24(Sun) 22:10

1) 二群の例数,2) U値 の順序ですかね。他はまあ,あってもいいけど無駄でしょう。

Kruskal-Waillis検定では
自由度 これは,群の数が記されていると自明ですね
群数 同じく
同順位数 まあ,不要でしょう
H統計量 この中では第2位の重要度かな
p値 第1位の重要度でしょう
各群の例数 まあ,第3位かな
順位合計 不要
平均順位 不要

> 同じ領域(医療福祉)の先行研究では,あまり使われていない方法のようで,

使われるべき所に使われない(たぶん,一元配置分散分析などが代用されているのかな?)なら,問題でしょうけど,適用が必要ないところで使われていないのなら,何の問題もないでしょう。

No.09936 Re: 論文における分析結果の表記の仕方について  【MAGI】 2009/05/25(Mon) 22:34

いつも対応ありがとうございます.次の表現で問題ないでしょうか.医療専門職の情緒的消耗感の性差をMann- Whitney検定で分析した結果,男性22例の中央値12.0,女性43例の中央値15.0で,p=.0042,U値267.5000で,女性の方が情 緒的消耗感が高く統計的な有意差が認められた.医療専門職の情緒的消耗感について,A群,B群,C群についてKruskal-Waillis 検定を用い分析した結果,A群42例の中央値12.0,B群6例の中央値14.5,C群14例の中央値16.5,p=.0156,H統計量8.219であ り,情緒的消耗感は,A群<B群<C群の順に高く統計的な有意差が認められた.

No.09937 Re: 論文における分析結果の表記の仕方について  【青木繁伸】 2009/05/25(Mon) 22:47

細かいことではありますが,検定統計量,P値の順のほうが良さそうに思います。
「p=.0042,U値267.5000で」 は 「U値267.5,p=0.0042で」のように。
整数部が0のとき,0を省略するのはお行儀がよくないですね。また,小数部の下位けたの0は表示しない方が良いでしょう(コンピュータの出力をそのままコピーペーストするのはよくないと言うことです)。
更 に細かく言えば,Kruskal-Wallis 検定は,「A群<B群<C群」を検定するものではありませんから,「情緒的消耗感は,A群<B群<C群の順に高く統計的な有意差が認められた」というの は,正確な記述ではありません。順序関係を検定するならば,ヨンキー検定などを行う必要があるでしょう。

No.09951 Re: 論文における分析結果の表記の仕方について  【波音】 2009/05/27(Wed) 18:25

さらに細かいことになってしまうのですが,

P = 0.00123 と p = 0.00123

という書き方(大文字か小文字か)は結局どちらのほうがよいのでしょうか?p値とP値,あるいは検定統計量でもt値とT値という両方をみますが,,,

なぜかpは小文字,tも小文字で記されていないと違和感を感じてしまうのですが(^_^;)

No.09954 Re: 論文における分析結果の表記の仕方について  【青木繁伸】 2009/05/27(Wed) 21:50

折笠さんの文書だと
http://www.ibaraki-kodomo.com/toukei/p.html

> 1. P値のPは国際基準では,イタリックの大文字で書くことになっているが,雑誌によって規定は異なる。

と書かれていますけど,「国際基準」が何かについては,明示されていない。

http://aoki2.si.gunma-u.ac.jp/lecture/mb-arc/arc001/250.html

LaTeX で $P = 0.123$ みたいな表記をしたときには,そのように見える。単に P = 0.123 としたときには,別の見え方になります。
国際基準(組み版の常識?)に従うためには,LaTeX ユーザは,自分でどちらかに決めないといけないのです。
なお,このようにフォントまで指定した出力のできない統計ソフトではその出力は実に様々なのはいうまでもありません。大文字・小文字の区別も明確ではない。

t 値か T 値かを間違う人が多いのはなぜだろうかと,ずいぶん長く不審に思っていましたが,T 値と書くのは SPSS がそう書いているからなのではないかと,つい最近気づきました。Excel が使う用語(訳語)がいいかげんであるというのはたくさんの例(重決定とか)がありますが SPSS の場合にもそのようなことがあるんですね。


No.09957 Re: 論文における分析結果の表記の仕方について  【波音】 2009/05/28(Thu) 00:39

確かに科学雑誌(あるいは学会誌)によって表記がマチマチのようですが,ある分野によっては,そもそも大文字か小文字かといったこと自体に関心がないのかもしれません。

だから,

> t 値か T 値かを間違う人が多いのはなぜだろうかと,ずいぶん長く不審に思っていましたが,T 値と書くのは SPSS がそう書いているからなのではないかと,つい最近気づきました。

という事実に対しても,「SPSSでそのように表示されるのだから間違いのワケない」というくらいの認識なのかもしれません。

も しかしたら,折笠先生のページにあった「2. P値を不等号で書いたり,NSと表現するより実際の値を書くことが望ましい。」という指摘があるのにもかかわらずp値を表記しないのは,実はp値の意味は 良く分からないが,とりあえず「差が認められた」という事実だけ分かればいいや,という感じがあるのかも,,,と。(チョッと言い過ぎですが)

No.10044 Re: 論文における分析結果の表記の仕方について  【MAGI】 2009/06/12(Fri) 06:59

いつも対応ありがとうございます.resありがとうございます.愚かな質問と思いますが,Kruskal- Wallis 検定は,「A群<B群<C群」を検定しないとのこと.中央値は,「A群<B群<C群」となっていて,Kruskal-Wallis 検定を行ったら有意差ありという結果でした.A群とB群,B群とC群,A群とC群を多重比較によってA群とB群,B群とC群,A群とC群すべて組み合わせ で有意差が認められれば,順序関係を結論として述べていいのでしょうか.また,ヨンキー検定は,パッケージソフト化されていないようで,Rの取り組みを始 めましたがなかなかうまくいきません.また,当方が取り扱える例数は今後も100〜200あるいは数百というのは望めません.従って,ノンパラメトリック な多重比較の方法を検索したところ,Tukey法に対応するのノンパラメトリックな方法はSteel-Dwass法との記述がネット上にありまし た.StatView5.0には分散分析後のTukey-Kramer法等がありますが,Steel-Dwassはありません.Rを使いこなせていない現 状で,締め切りの時間も迫り,難渋しています.ネット上でデータ入力をして計算する方法もあるようですが,論文に結果として使用する前提はパッケージソフ トを使用していることが重要でしょうか.

No.10045 Re: 論文における分析結果の表記の仕方について  【青木繁伸】 2009/06/12(Fri) 08:09

> 論文に結果として使用する前提はパッケージソフトを使用していることが重要でしょうか

まあ,学会誌にもよりますよね。
自分で,電卓で計算したらなぜいけないか。正確かどうかわからないからといわれてもねえ。コンピュータがなかったときは,自分で計算していたはずなんですけどね。

No.10049 Re: 論文における分析結果の表記の仕方について  【にゃんちゅう】 2009/06/12(Fri) 15:12

この件は,
http://aoki2.si.gunma-u.ac.jp/lecture/mb-arc/arc001/250.html
にも議論があります。

No.10050 Re: 論文における分析結果の表記の仕方について  【後医は名医】 2009/06/12(Fri) 21:39

>論文に結果として使用する前提はパッケージソフトを使用していることが重要でしょうか.
必須では ないと思います。いくつかの(医学系の)学会雑誌に投稿していますが,投稿規定にソフトの記載を義務つけている雑誌は私の投稿したなかにはありませんでし た。自主的に?ソフト名を記載している論文もありますが,私は今まで一度もソフト名を記載したことはありませんが,査読者からクレームが来たことはありま せん。要は論文の内容が大事?

No.10052 Re: 論文における分析結果の表記の仕方について  【surg】 2009/06/13(Sat) 09:55

> 論文に結果として使用する前提はパッケージソフトを使用していることが重要でしょうか.

投稿先によると思いますが,Excel等だと査読ではねられるところもあります.

> いくつかの(医学系の)学会雑誌に投稿していますが,投稿規定にソフトの記載を義務つけている雑誌は私の投稿したなかにはありませんでした。

そうとも限りません.
少なくとも Lancet の投稿規定には,"Specify the computer software used." と明記されています.
http://www.download.thelancet.com/flatcontentassets/authors/icmje.pdf
p.13, IV. A. 6. c. Statistics

まず,投稿先の投稿規定をチェックするべきでは?

No.10053 Re: 論文における分析結果の表記の仕方について  【後医は名医】 2009/06/13(Sat) 15:26

surgさんへ
> いくつかの(医学系の)学会雑誌に投稿していますが,投稿規定にソフトの記載を義務つけている雑誌は私の投稿したなかにはありませんでした。
>そうとも限りません. >Lancet の投稿規定には,(中略)
失礼しました。一流英文雑誌では必要なようですね。ただ,私の領域に関連する和文雑誌ではみたこともなかったので。やはり投稿規定をチェックですね。

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