No.07335 平均構造を導入した多母集団の同時分析  【ぺんた】 2008/08/09(Sat) 20:49

青木先生,以下の質問はある著書に書かれてあったものです。著者ご自身に問い合わせるべきことなのかもしれませんが,連絡先もわからず,大変失礼だということは重々承知の上,ご教授いただけないかとおもいまして,こちらへ書かせていただきます。

中学生と高校生のある教科に対する「興味」因子の因子平均に差があるかどうかを調べようとしています。

分析の手順は,中学生の因子平均・因子分散を0と1に固定して,高校生の因子平均・因子分散を自由推定,固定にそれぞれ場合分けして,因子平均に差があるかどうかをみることになるとおもいます。

4通りのモデルが可能だと思うのですが,仮に高校生の因子平均・因子分散を自由推定にしたときのAICが一番小さく,高校生の因子平均=0.28,因子分散=0.61だったとします。

このまま比較することはできないのは理解できます。効果量を求めることになると思いますが,ある著書にはこのように書かれてありました。計算の結果,効果量は-0.31でした。

「よって高校生の方が「興味」因子(平均)が0.31程度高いと解釈できます。効果量のままだとわかりにくいのですが,偏差値で言えば3の違いがあるということを意味します。したがってこの差は小さくないと考えられます。」(文言は修正してあります)

前置きが長くなりましたが,質問は次の通りです。

Q1 なぜ「偏差値で言えば3の違いがある」となるのでしょうか?どのように求めるのでしょうか?

Q2 偏差値に換算しないことも考えられると思うのですが,私の経験上,効果量が1を越えることはないと思います(5件法アンケートでしか実施したことはありま せんが)。因子平均の差もほんのわずかの場合が多いと思いますが,5件法を用いたアンケートを因子分析して,このような分析を行った場合,因子平均の差と いうのは数値的にはわずかな差になることが多いのでしょうか?

Q3 この分析の結果,因子分散も自由推定したほうがモデルの適合度はよかったということは,因子平均の議論と同時に因子分散の議論もきちんとしておく必要があるのでしょうか?つまり散らばりが中学生より小さいということですが。

よろしくお願いします。

No.07336 Re: 平均構造を導入した多母集団の同時分析  【青木繁伸】 2008/08/09(Sat) 22:15

この掲示板は私が開設しているわけですが,質問者の回答に私が答えると決まったものではありません。回答者を指定してしまうと,他の回答者はどうしたらよいのでしょうか?回答者を指定しないでください。

Q1. 効果量の定義はご存じでしょう?(平均値1−平均値2)/標準偏差
これが0.31ということは平均値の差は標準偏差の0.31倍ということですね
つぎに,偏差値の平均値と標準偏差はわかりますか?平均値は50,標準偏差は10ですね。標準偏差が10ですから,その0.31倍は?3.1ですね。3.1が偏差値の差です。(これでもまだ省略部分がありますが)

Q2. 「偏差値に換算しないことも考えられると思うのですが」
効果量のまま考える方がかえって分かりやすいでしょう(単に10倍するかしないかだけですが)
「私の経験上,効果量が1を越えることはないと思います」
な いとはいえないでしょうけど,効果量が 0.8 なら large と解釈するというようなことがあるので,まあ,1を超えることは希なのでしょうね(というか,明らかな違いがある場合には当然1を超える。なんたって,平 均値の差が標準偏差より大きければ,効果量は1以上にナなるのだから)。
「因子平均の差というのは数値的にはわずかな差になることが多いのでしょうか」
どんな場合にもそういうことになるわけではないでしょう。そうなることがまえもってわかっている(いつもそうなる)なら,研究をやろうという意欲がそがれてしまう。

Q3. は,意味がよく分からない。

No.07338 Re: 平均構造を導入した多母集団の同時分析  【ぺんた】 2008/08/09(Sat) 22:27

青木先生,回答者を指定してしまったことですが(私はそのつもりで書いたわけではありませんでしたが),大変失礼 しました。この掲示板よく拝見させていただいていますし,今回が2度目の書き込みです。今後も利用させていただきたいので,以後気をつけたいと思います。 まずはお詫びします。

そして,早速わかりやすい説明をありがとうございました。Q1およびQ2は納得しました。

Q3です が,再度説明させていただきますと,研究の興味は因子「平均」の差です。しかし分析の結果,高校生の因子平均だけでなく因子分散も自由推定にしたモデルが 良いモデルでした。論文では,因子平均に差があるわけだけら,中学生と高校生の因子平均の差について論じることは当然ですが,因子分散についても何かしら 論じるべきなのでしょうか,という質問でした。

改めましてよろしくお願いします。

No.07339 Re: 平均構造を導入した多母集団の同時分析  【青木繁伸】 2008/08/10(Sun) 08:28

前のコメントで,効果量が 0.8 なら large と書いたが,

> 偏差値で言えば3の違いがあるということを意味します。したがってこの差は小さくないと考えられます

効果量が 0.2 なら small,0.5 程度なら medium という基準から言えば,0.3 というのは,大きくはない

No.07341 Re: 平均構造を導入した多母集団の同時分析  【ぺんた】 2008/08/10(Sun) 11:22

青木先生,効果量のさらなる説明ありがとうございます。

この効果量の判断は,なにか一般化されたものが存在するのでしょうか?

また複数モデルのAICからの判断で,高校生の因子平均と因子分散を自由推定したモデルが一番適合度が良かったと言うことですから,効果量が0.2なら「small」ということですが,「小さいけれども差がある」と判断して良いのですよね(確認です)。

それから因子分散についてもコメントをいただければ幸いです。

よろしくお願いします。

No.07342 Re: 平均構造を導入した多母集団の同時分析  【青木繁伸】 2008/08/10(Sun) 12:49

> この効果量の判断は,なにか一般化されたものが存在するのでしょうか?

http://aoki2.si.gunma-u.ac.jp/lecture/mb-arc/arc007/069.html

No.07344 Re: 平均構造を導入した多母集団の同時分析  【ぺんた】 2008/08/10(Sun) 18:06

青木先生,リンクいただいた内容,拝見しました。ありがとうございました。

No.07358 Re: 平均構造を導入した多母集団の同時分析  【ぺんた】 2008/08/11(Mon) 18:05

何度もすみません。気になることがあり,追加させていただきます。

>Q1. 効果量の定義はご存じでしょう?(平均値1−平均値2)/標準偏差
>これが0.31ということは平均値の差は標準偏差の0.31倍ということですね
>つぎに,偏差値の平均値と標準偏差はわかりますか?平均値は50,標準偏差は10です>ね。標準偏差が10ですから,その0.31倍は?3.1ですね。3.1が偏差値の差です。(こ>れでもまだ省略部分がありますが)

これでもまだ省略部分があるということですが,教えていただけませんか?

No.07361 Re: 平均構造を導入した多母集団の同時分析  【青木繁伸】 2008/08/11(Mon) 21:22

省略部分があっても,分かってもらえればそれでいいんです(いくら細かく説明しても分かってもらえないときはあり ますからね。一を聞いて十を知るなら,何の問題もありません。もし,分かりにくいところがあったら,そこを指定してもらえれば説明のしようもあるというこ とです)。

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