No.04261 比重の推定値  【エヌ氏】 2007/08/28(Tue) 10:19

ある液体の比重を計算するために,
その重量(質量の方が正しいかもしれません)と
体積を3回ずつ測定したところ,以下のようだったとします。
3回の値が異なるような秤は信用できないということはさておきます。
重量:W1, W2, W3
体積:V1, V2, V3
比重の値は以下の9通りが出てきます。
W1/V1, W1/V2, W1/V3,
W2/V1, W2/V2, W2/V3,
W3/V1, W3/V2, W3/V3,
真の比重の不偏推定量はこれら9つの値の平均値で
いいのでしょうか?
また真の比重の95%信頼区間は上記平均値±1.96SDで
いいのでしょうか?

以下の議論が参考にはなるように思いましたが
やや状況が違う気もしました。

http://aoki2.si.gunma-u.ac.jp/lecture/mb-arc/arc016/187.html

No.04262 Re: 比重の推定値  【青木繁伸】 2007/08/28(Tue) 11:29

以下のような R プログラムでシミュレーションしてみました。
set.seed(12345) # 乱数の初期値設定(再現性確保のため)
loop <- 100000 # 試行回数
x <- gendat2(loop*2, 0.9) # データ生成(母集団サイズは実際は無限母集団となる)
w <- x[,1]*0.3+140 # 平均値140,標準偏差0.3
v <- x[,2]*0.2+70 # 平均値70,標準偏差0.2
sim1 <- function(w, v) {
x <- outer(w, v, "/")
mean(x) # w, v の全ての組み合わせで比重を求めその平均値を返す
}
sim2 <- function(w, v) {
mean(w/v) # w, v に便宜的に測定値を対応付けて比重を求めその平均値を返す
}
sim3 <- function(w, v) {
mean(w)/mean(v) # w,v それぞれの平均値から比重を求めその平均値を返す
}
output <- function(x) { # 平均値と標準偏差を表示
str <- deparse(substitute(x))
cat(sprintf("%s: mean = %.15g, sd = %.15g\n", str, mean(x), sd(x)))
}
n <- 3
w1 <- matrix(sample(w, n*loop, replace=TRUE), loop) # n個のwをloopセット復元抽出
v1 <- matrix(sample(v, n*loop, replace=TRUE), loop) # n個のvをloopセット復元抽出
result1 <- sapply(1:loop, function(i) sim1(w1[i,], v1[i,])) # sim1で解析
result2 <- sapply(1:loop, function(i) sim2(w1[i,], v1[i,])) # sim2で解析
result3 <- sapply(1:loop, function(i) sim3(w1[i,], v1[i,])) # sim3で解析
output(result1) # それぞれ結果を表示
output(result2)
output(result3)
やや意外な結果となりました。
result1: mean = 1.99999433381713, sd = 0.00411718276908669
result2: mean = 1.99999434514443, sd = 0.0041171747206635
result3: mean = 1.99998345332055, sd = 0.00411715598489566
わざわざ全ての組み合わせで9通りの比重を出さなくても,便宜的に順序づけた3通りの比重で良さそう。さすがに平均値から比重を求めるのは少し劣るが,それでもそんなに大きな違いはない。
10回測定したとして(n=10)やってみると以下の通り
result1: mean = 2.0000068983649, sd = 0.00226272103526129
result2: mean = 2.00000689759157, sd = 0.00226273550382908
result3: mean = 1.99999221571126, sd = 0.00226264148136657
なお,母集団は復元抽出したので無限母集団,比重の真値は2

No.04278 Re: 比重の推定値  【エヌ氏】 2007/08/29(Wed) 10:00

ありがとうございました。
標本サイズnを増やすと真値(母平均)の推定信頼性が増す,つまり標準誤差が(1/√n)になりますが,3通りのW,Vの組合せを変えて9通りにしても標準誤差は減っていないということのようですね。

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