No.03334 正の値をまさしく正の値であると証明したい  【けんちち】 2007/05/10(Thu) 20:21

お世話になります。
タイトルのようなことを言う人がいます。
被検者内で2条件の実験を実施し, paired T testにより第1条件下の平均値は第2条件下の平均値よりも1%の有意水準で大きいということが分かりました。従属変数は試行前後の顔表面温度の変化で 負の値もとりえますが,その人によると第1条件下で正の値をとる(温度が上がる)ことがことのほか意味があるらしく,第1条件の平均値がまさに「正の値で ある」ことを証明したいというのです。実際には第1条件の平均値はれっきとした正の値であり,25人の被験者のうち負の値をとったのは二人だけでした。第 2条件における個々のデータは正負こもごもで,平均値はわずかに正の値をとっています。
彼が言うには,「たとえ平均値が正の値をとってもばらつきが大きければその平均値が必ず正の値をとるとはいえないだろう。それを証明できなければ有意差検定もへったくれもない」とのことです。
どうすれば「いつでもこの条件下のデータは正の値になるよ(温度は上がるよ)」と証明してあげることができるでしょうか。

No.03335 Re: 正の値をまさしく正の値であると証明したい  【ごう】 2007/05/10(Thu) 20:43

http://aoki2.si.gunma-u.ac.jp/lecture/Average/Mean2.html

信頼区間はいかがでしょう?

No.03336 Re: 正の値をまさしく正の値であると証明したい  【青木繁伸】 2007/05/10(Thu) 22:03

第一条件下の母平均が正の値であるという(μ>0)母平均の片側検定を行えばよいだけではないでしょうか。
第二条件下のデータなんかは,アウトオブ眼中ということでしょ?

No.03352 Re: 正の値をまさしく正の値であると証明したい  【けんちち】 2007/05/11(Fri) 16:28

ごう様,青木繁伸様

早速のご回答ありがとうございました。
(この掲示板のことは伏せて)彼の人に伝えたところ,「どっちにしても個々の条件下でt検定することでしょう? だったら検定の多重性の問題があるじゃない。」とのご不興をいただきました。
第2条件のデータはアウトオブ眼中にもかかわらず,このような反応に対して何を言ってあげられるでしょうか。私は「SPSSでもパッケージで計算されるんだから問題ないんです!」と言いそうになってやめております。

No.03353 Re: 正の値をまさしく正の値であると証明したい  【青木繁伸】 2007/05/11(Fri) 16:55

> だったら検定の多重性の問題があるじゃない

だったら,多重性を考慮すればよいだけじゃない?

あるいは,2つの検定結果を統合する(一応,二つの検定は独立と仮定して)

ベストの対処は「ほっておく」こと

No.03357 いっそのこと  【ヤマ】 2007/05/11(Fri) 19:50

ご本人様ではないので,言葉の行き違いなどがある可能性もありますが,
「必ずこの条件下のデータは正の値になる(温度は上がる)なんて証明できないですよ,だって負の値になった人が2人もいるんですから!」って言ってみては?

自分でやるなら,青木先生のおっしゃるように多重性を考慮すればよいだけじゃない?と思いますが。

No.03358 Re: 正の値をまさしく正の値であると証明したい  【けんちち】 2007/05/11(Fri) 20:36

回答をいただきました皆様のご示唆を十分に参考にさせていただきながら,静観の方向で対処したいと思います。四方山話的味わいで質問させていただいたため分かりにくい文章だったかと思いますがお許しください。
これまで私が統計を用いるときは被検者(または被験体)が生み出すデータをあるがままに引き受けて実験条件の影響の大小を導き出すというスタンスだったものですから,「このデータはこういうものでなくてはならない」というスタンスはちょっと衝撃的でした。
でも一方でデータの有り様(母平均の意味)を再確認でき個人的には良い勉強となりました。ありがとうございました。

No.03370 ちょっと嫌味だったので反省  【ヤマ】 2007/05/14(Mon) 13:26

「統計学的有意差」と「生物学的に意味のある差」は別もので,後者は統計学で決める問題ではない…のですが,現場 ではどの程度差があれば「生物学的に意味がある」(と自分以外の人も納得してくれる)のかがはっきりせず,「統計的に有意差があればいいのではないか」と いう話になって堂々巡りしてしまうことは結構あります。

今回の場合,どの程度の温度差があれば「意味がある」かはわからないが,第2条件では正負どちらの値もとる(平均するとほぼゼロ?)ものが第1条件では「全ての値が正になる」ことには明らかに「意味がある」のかもしれません。
値の差を問題としているわけでは無いという意味で第2条件は「アウトオブ眼中」なのでしょうが,そうはいっても,第2条件では「正負どちらの値も」とり,かつ第1条件では…(略)でなければならないのかな,と。
もしかしたら正の値を取る例数を検定する方法もあるかもしれませんが,「差の大きさ」にも意味がなくはないのでしょうね。

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