No.01603 アンケート調査のサンプル数  【水本】 2006/11/17(Fri) 22:30

始めまして。水本という者です。現在大学院に在籍しております。
ある職業の人(分母100程度)を対象としたアンケート調査を行いたいと考えているのですが,統計的に意義のある数字を得るには最低限どの程度のサンプル数が必要なのでしょうか。

http://www.wound-treatment.jp/title_sonota.htm にある『世論調査に見る統計計算のカラクリ』 等のサイトを参考にすると,分母100に対して分子94というアンケート調査では非現実的なサンプル数が必要となってしまいます。

このような分母が非常に少ない集団を対象としたアンケート調査で統計的に意義ある結論を得ることは不可能なのでしょうか。統計の初心者ですが,よろしくアドバイスを願いします。

No.01604 Re: アンケート調査のサンプル数  【青木繁伸】 2006/11/17(Fri) 22:48

参照URLが若干不適切なようで。

http://www.wound-treatment.jp/next/wound225.htm
ですね。。

> 残りの3つの変数が何ともいかがわしい。

(^_^;)

> P(想定する調査結果)と言うのは何だ? 何で初めから50%に決めておくんだろう? それなら,最初から変数でなく定数にしておけばいいのに・・・。

P は母比率でしょう。誤差が一番多くなるのが 50% のときだからですね。最悪の時に必要なサンプルサイズを知っておけば,それより多くは必要ないと言えるからですね。
(理解できないのを棚に上げて,不平をいってはいけませんね。。。)

> k(信頼度係数=1.96)というのも信頼度を最初から95%にしておくのなら,これも定数じゃないのか?

そうですよ。それを,「あなたが決めなければならないのです」

> 「サンプリング数が母集団より大きくなる」と言うマヌケな状況に

有限母種団の場合(標本サイズが母集団サイズに比べて無視できなくなる状況)になると,別の式が必要です。

> 統計処理と言うと,いかにも厳密な数学理論と計算によって結果の正誤を判断できる,と信じてしまうが,少なくともこの「世論調査に必要なサンプリング数を求める統計計算」だけはインチキ臭いのである。

インチキ臭くはないです。

> こういう数字のカラクリを見てしまうと,新聞紙面に踊る「小泉政権を指示する人の割合は57.2%と過半数を超えており,国民に支持されている事がわかる」なんて記事がなんだかすごく嘘っぽいのである。

からくりではありません。
10円硬貨を,数千回投げるというのを数万セット行うと,理解できるでしょう。
そんな気力がなければ,コンピュータでシミュレーションしてもいいですが。
しかし,理論的に正しいことを,シミュレーションで確かめても何の感動もないでしょうけど。

なお,この推論の前提は,標本が無作為に採られているということが前提であることだけは指摘しておかねばなりません。

統計学的な手法を確認するには,
http://aoki2.si.gunma-u.ac.jp/lecture/Kentei/sample-size.html
をご覧になるのがよろしいでしょう。

統計学は,うさんくさいものではありません。
うさんくさい人が使うとうさんくさくなるだけです。(^_^;)

No.01605 Re: アンケート調査のサンプル数  【青木繁伸】 2006/11/17(Fri) 22:58

若干,質問の意図を読み違えていたのだと思いますが,

> ある職業の人(分母100程度)を対象としたアンケート調査を行いたいと考えているのですが,統計的に意義のある数字を得るには最低限どの程度のサンプル数が必要なのでしょうか。

「母集団が100人ほどしかいないのだが」,という意味ですか。
このように小さい集団は母集団という名前にもふさわしくないのですけど。。。
全数調査が可能なサイズですので,可能な限り調査対象を増やし100%に近づける努力をすればよいだけです。

近代統計学は,件のリンクにもありましたが,調査しようにもしきれないほど巨大な母集団であっても,その中から無作為に2000人ほどの標本を得て,それを分析すれば母集団の様子はほとんど正確に分かるということです。

100人の母集団について標本調査をどのようにするか悩むのは,鶏をさばくのに牛刀を用いることに相当するでしょう。

母集団が巨大でも小さくても,全数調査すれば,母集団の姿は正確に分かります。
母集団が巨大なら,全数調査は不可能だが,
母集団が数十,数百なら全数調査は不可能ではない。不可能ではないことを行ったとすれば正確に分かる。全数調査でなくてもほとんどの対象を調査できれば,その結果はかなり正確である。

簡単のために,100人からなる母集団があるとします。
調査の結果,80人の回答が得られ,ある質問に対して60人が賛成,20人が反対と答えました。
さて,全体の100人の中で何人が賛成でしょうというとき,統計学的推測をしてもいいですが,回答が得られなかった20人が全員賛成のときには60+20の合計80人が賛成,20人が全員反対の時には60人が賛成のまま。結局賛成は全体の60%〜80%でしょう。
回 答が得られなかった20人も,たぶん回答が得られた80人と同じ割合(60/80)で賛成すると考えると20×(60/80)=15人が賛成。60人の賛 成とあわせて60+15=75人(75%)が賛成(これは,80人中の60人という割合(60/80)と同じになる)と考えるのが尤もらしい。

この推論は,統計学を使ってはいないが,いかにも尤もらしい(尤もらしいけどうさんくさいという意味ではないですよ。文字通り,尤もありそうなことであるということ)。

No.01608 Re: アンケート調査のサンプル数  【水本】 2006/11/18(Sat) 00:26

青木様へ

素早いお返事を頂き大変感謝しております。

>「母集団が100人ほどしかいないのだが」,という意味ですか。
>全数調査が可能なサイズですので,可能な限り調査対象を増やし100%に近づける努力をすればよいだけです。

先 生の言われる通り,物理的な意味では全数調査可能です。極力100%に近づける努力を行うことに疑問はありません。ただ,現実問題として全数調査をしたく とも協力してくれる人は限定されてきます。つまり全員を対象にアンケート調査を行っても,回収率40%であれば,使えるサンプルは40となってしまいま す。

このような調査で得られたデータを定量分析・検定を行うことに統計的意義があるのか,このような調査を行うこと自体がナンセンスなのか知りたく質問させて頂きました。わかりにくい文章で申し訳ございません。

No.01609 Re: アンケート調査のサンプル数  【青木繁伸】 2006/11/18(Sat) 08:24

「有限母集団修正」というのをキーワードにして調べてください

とりあえずは,
http://econom01.cc.sophia.ac.jp/sda/ratioest.htm
を見るとよいかも

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