No.00907 発現率が0%の場合の信頼区間  【YO】 2006/08/16(Wed) 12:23

臨床試験において,有害事象の発現率の両側信頼区間を算出することが多々あると思います.そこで,発現率が0%であった場 合,下限は絶対に0%となることは確定することになります.信頼度を保つためには,上限を算出する場合には,片側信頼区間と同様の算出方法で算出した方が 良いのでしょうか.
ご意見を伺えたら幸いです.

No.00909 Re: 発現率が0%の場合の信頼区間  【青木繁伸】 2006/08/16(Wed) 20:43

http://aoki2.si.gunma-u.ac.jp/R/p-conf.html
の後半を参照してみてください。

No.00937 Re: 発現率が0%の場合の信頼区間  【マスオ】 2006/08/23(Wed) 23:10

> http://aoki2.si.gunma-u.ac.jp/R/p-conf.html
> の後半を参照してみてください。

教科書にも載っている方法かと思いますが,ほんとにこれでよいのでしょうか?
試しに母比率 p=0.26,サイズ n=10の標本を,信頼確率 conf=0.95で 10000回ほど試行してみると,観察される確率は 0.95未満(0.9268前後)ではありませんか?
両側信頼区間は標本比率 0または 1の場合も両側確率に基づいた方がよいと思うのですが.

> p <- 0.26
> n <- 10
> nn <- 10000
> x <- rbinom(nn, n, p)
> cia <- sapply(x, prop.conf, n=n, conf=0.95)
> sum(cia[1,]<=p & cia[2,]>=p)/nn
[1] 0.9224
> cib <- sapply(x, function(x) binom.test(x, n, conf.level=0.95)$conf.int)
> sum(cib[1,]<=p & cib[2,]>=p)/nn
[1] 0.973

No.00938 Re: 発現率が0%の場合の信頼区間  【青木繁伸】 2006/08/23(Wed) 23:56

ちょっと,気になっていたところで,夕方 R に binom パッケージが加わっていたのにも気づいたところです。

p <- 0.26
で, 発生された二項乱数は,当然ながら0〜10の範囲の整数値を取るわけで,問題となるのは0の場合の区間推定値です。prop.conf では [0, 0.2588656] ですから p はこの信頼区間の外になりますね。binom.test では [0, 0.3084971] なので p は常にこの信頼区間に含まれます。

p <- 0.2588655
とすると,[0, 0.2588656] に含まれるので,以下のようになります。
> p <- 0.2588655
> n <- 10
> nn <- 10000
> set.seed(12345)
> x <- rbinom(nn, n, p)
> cia <- sapply(x, prop.conf, n=n, conf=0.95)
> sum(cia[1,]<=p & cia[2,]>=p)/nn
[1] 0.9767
> cib <- sapply(x, function(x) binom.test(x, n, conf.level=0.95)$conf.int)
> sum(cib[1,]<=p & cib[2,]>=p)/nn
[1] 0.9767

同じ結果になります(当然なのですが)。
しかし,この確認法は観察値が0であるときの計算方法の確認にはならないと思います。

あれこれ考察中。。。

No.00944 Re: 発現率が0%の場合の信頼区間  【青木繁伸】 2006/08/24(Thu) 00:55

分布が左右非対称なものだから,両側から2.5%の点というのがとれないことが一つの問題。
だから, 95%信頼区間は片側だけで5%を削って95%をとるしかない。両側を考えて,片側で2.5%削ろうと思っても,じゃあ反対側の2.5%はどこにあるの? ということになるとそんなものはなくて,結局97.5%信頼区間を求めたことになってしまっているのではないかな?
> prop.conf(0,10,conf=0.975)
$lower.p
[1] 0

$upper.p
[1] 0.3084971

> binom.test(0,10,conf.level=0.95)

Exact binomial test

data: 0 and 10
number of successes = 0, number of trials = 10, p-value =
0.001953
alternative hypothesis: true probability of success is not equal to 0.5
95 percent confidence interval:
0.0000000 0.3084971
sample estimates:
probability of success
0

No.00948 Re: 発現率が0%の場合の信頼区間  【青木繁伸】 2006/08/24(Thu) 13:12

いろいろ調べている途中ですが,
http://www.graphpad.com/articles/AnalyzingData.pdf
の,130ページに "The meaning of "95% confidence" when the numerator is zero" というのがあり,大意は以下の通り。
--begin quote--
母比率が0,1のときに 95% の信頼区間を求めると,実際には 97.5% の信頼区間が表示されるのは,それ以外の場合との一貫性をとるからであり,その立場に従わないなら 90% 信頼区間を求めれば実質的な 95% 信頼区間が求まる。
--end quote--

No.00963 Re: 発現率が0%の場合の信頼区間  【マスオ】 2006/08/25(Fri) 00:25

いろいろありがとうございます.

> 教科書にも載っている方法かと思いますが

すみません.見直したら x=0のとき 1-(alpha/2)^(1/n)で両側確率でしたので,これは取り消します.

> prop.conf では [0, 0.2588656] ですから p はこの信頼区間の外になりますね。binom.test では [0, 0.3084971] なので p は常にこの信頼区間に含まれます。

違いがあるとすれば,この間の母比率の場合だろうということで,p=0.26でやってみたわけです.

> 両側を考えて,片側で2.5%削ろうと思っても,じゃあ反対側の2.5%はどこにあるの?ということになるとそんなものはなくて,結局97.5%信頼区間を求めたことになってしまっているのではないかな?

これもそのとおりでしょう.
だからといって,(片側確率を使って)x=0の場合を削ると

> dbinom(0, 10, 0.26)
[1] 0.0492399

も削ることになり,今度はおよそ 92.6%になってしまうということではないでしょうか.

おつりのない相手に 95円払うとして,10円玉しかないとき,100円払うか,90円にまけてもらうか.
90円にまけてもらった方が,
> 90% 信頼区間を求めれば実質的な 95% 信頼区間が求まる。
ということなんですかね?

それでも,ほんの一部の母比率の場合のみとはいえ,公称の 95%を下回ることがあるのはどうかと思うのですが.

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