★ 「有意確率」と「関連の大きさ」について ★

7345. 「有意確率」と「関連の大きさ」について 郡家 2005/08/02 (火) 21:06
└7346. Re: 「有意確率」と「関連の大きさ」について 青木繁伸 2005/08/02 (火) 21:30
 ├7348. Re^2: 「有意確率」と「関連の大きさ」について 郡家 2005/08/02 (火) 22:13
 │└7349. Re^3: 「有意確率」と「関連の大きさ」について 青木繁伸 2005/08/02 (火) 22:27
 └7347. Re^2: 「有意確率」と「関連の大きさ」について 青木繁伸 2005/08/02 (火) 21:37


7345. 「有意確率」と「関連の大きさ」について 郡家  2005/08/02 (火) 21:06
 始めまして。
 実は,とあるインターネット上の掲示板において,統計の考え方について論争があり,どうしても決着がつかないものだから,きちんとした専門の研究者に裁定をお願いしようということになり,ここで質問をさせていただいた次第です。

 最大の論点は,「有意確率」をどのようなものとして受け止めるのか,ということにあります。

 裁定をしていただくために,双方が自らの主張を簡潔にまとめました。以下がそのまとめです。

私(郡家)
 有意確率は関連の大きさの指標ではない

論争相手(北の狼)
  有意確率がみている「関連の大きさ」とは,「サンプル調査結果」と「偶然(逆に言うと必然)」との間の「関連の大きさ」です。
 対して,相関係数や偏回帰係数がみている「関連の大きさ」とは,「サンプル調査結果内部」における変数間の「関連の大きさ」です。
 そして,両者は関連しています。
 1)「独立性の検定」には「相関分析」は使えない。
 2)(性差以外の条件を同じにして)有意確率がより低い場合,その「関係」
   はより強いということになる。

 問題となった掲示板のアドレスは以下の通りです。
http://www.azaq-net.com/bbs/bbs.cgi?tani6010
 「統計について」と題するスレッドに,これまでの経緯は記録されています。

 大変レベルの低い質問で恐縮ですが,どうか「有意確率」と「関連の強さ」の関係について,統計学の常識を教えていただきますようお願いいたします。

     [このページのトップへ]


7346. Re: 「有意確率」と「関連の大きさ」について 青木繁伸  2005/08/02 (火) 21:30
検定の有意確率は,関連の大きさとともに標本の大きさにも左右されます。
統計量が同じで(たとえばカイ二乗値,とかピアソンの積率相関係数という意味),また,標本の大きさも同じであれば,関連が強いほど有意確率は小さくなります。


実例を示す前に,二変数がともに二値変数(たとえば0/1)ならば,2×2分割表から計算されるφ係数は二変数を使って普通に公式に従って計算するピアソンの積率相関係数と一致します。
φ係数は sqrt(カイ二乗値 / 標本の大きさ)で求まります(カイ二乗値は連続性の補正をしないもの)。

さて,2×2分割表
10 5
4 11
のφ係数(ピアソンの積率相関係数)は 0.4008919 になります。そして,母相関=0の検定結果のP値は0.02813 です。
各セルを2倍したもの
20 10
8 22
のφ係数(ピアソンの積率相関係数)は 0.4008919 で変わりません。しかし,母相関=0の検定結果のP値は 0.001502 です。

セルの数が何倍になろうとも,相関は変わらないのにP値はどんどん小さくなります。

つまり,標本の大きさを考えずにP値が小さいほど相関が強いということはいえません。

一 方,標本の大きさが同じなら,P値が小さいほど相関が強いということになりますね。ある一つの研究の中で(つまりある調査データの解析をする中で)の話な らば,標本の大きさは(欠損値がある場合を除き)等しい(ほぼ等しい)ので,A vs. B と A vs. C の相関の検定をすれば,P値が小さいほど相関が強い(相関が強いほどP値が小さい)ということがあるので,このあたりが混乱の元なんでしょう。

論争相手さんの書かれていることは,ちょっとよく分からないところがあります。

     [このページのトップへ]


7348. Re^2: 「有意確率」と「関連の大きさ」について 郡家  2005/08/02 (火) 22:13
 すばやい回答をありがとうございます。

 実はそのあたりのことも,説明はしたのですが,納得してもらえませんでした。

>ある一つの研究の中で(つまりある調査データの解析をする中
>で)の話ならば,標本の大きさは(欠損値がある場合を除き)
>等しい(ほぼ等しい)ので,A vs. B と A vs. C の相関の検
>定をすれば,P値が小さいほど相関が強い(相関が強いほどP値
>が小さい)ということがあるので,このあたりが混乱の元なん
>でしょう。

 私もそう思います(混乱の元)。

 だから,「P値」で相関の大きさ(関連の大きさ)を評価してはいけない,と言い切ってしまったほうが,誤解は少ないと思うのですが,いかがでしょうか。

     [このページのトップへ]


7349. Re^3: 「有意確率」と「関連の大きさ」について 青木繁伸  2005/08/02 (火) 22:27
>  実はそのあたりのことも,説明はしたのですが,納得してもらえませんでした。

そこまで説明して,分からないようなら,仕方ないですね。
議論にならないです。

>  だから,「P値」で相関の大きさ(関連の大きさ)を評価してはいけない,と言い切ってしまったほうが,誤解は少ないと思うのですが,いかがでしょうか。

正しいことに間違いないのですから,言い切ろうが,懇々と説明しようが同じで,相手が理解したくないと言うのですから,ほうっておくよりしかたない。

     [このページのトップへ]


7347. Re^2: 「有意確率」と「関連の大きさ」について 青木繁伸  2005/08/02 (火) 21:37
このあたりのことは,このサイトのあちこちに書いてあります。
http://aoki2.si.gunma-u.ac.jp/Hanasi/StatTalk/jissainoimi.html
http://aoki2.si.gunma-u.ac.jp/lecture/Cross/comment1.html
掲示板にも何回かあった。

     [このページのトップへ]


● 「統計学関連なんでもあり」の過去ログ--- 034 の目次へジャンプ
● 「統計学関連なんでもあり」の目次へジャンプ
● 直前のページへ戻る