★ 同一対象に対する検定方法 ★

2026. 同一対象に対する検定方法 Kazu 2004/01/26 (月) 21:51
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2026. 同一対象に対する検定方法 Kazu  2004/01/26 (月) 21:51
例えば,複数の患者がいる場合,患者に薬を投与した前と後の反応に差があるかどうかを調べるには患者各々の薬投与前と後の反応を関連付けてpaired t testを行いますが,
同一患者に対して薬投与前と後の反応を何度もとった場合(前と後のサンプル数は同じとは限らないし,対応関係も無いとする)投与前と後に差があるかどうかは,paired tと独立2群のt testのどちらを使えばいいのでしょうか。

この場合投与前と後のサンプル数は同じとは限らないし,対応関係も無いので独立2群のt testを使って検定すると思うのですが,同じ事を調べるのに一人の場合と,複数の場合とで検定方法が異なってしまい釈然としません。それとも私の考えが間違っているのでしょうか。ご教授お願いします。

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2027. Re: 同一対象に対する検定方法 青木繁伸  2004/01/26 (月) 22:19
> 前と後のサンプル数は同じとは限らないし,対応関係も無いとする

同じになるとは限らないというのもわかりにくいのですが,「対応関係もない」とはどういうことでしょう?

患者1前1 患者1前2 投与 患者1後1 患者1後2 患者1後3
患者2前1 患者2前2 投与 患者2後1 患者1後2

のようなデータがあったとき,患者2については前と後が同じ数だが,患者1では違うから対応はどうやってもとれないということでしょうか?
しかし,患者2についても,
患者2前1 -- 患者2後1
患者2前2 -- 患者1後2
とでも対応つけるのでしょうか?
それは,おかしなことになります。

そもそも,そのようなデータを取るような実験計画をたてることが変だと思います。

投与前はともかく,投与後の効果を見る時期は,患者ごとに異なっていてよいとは思いません。また,投与前についても,時期にあまり大きな違いが合った場合には,その間の予後の変遷などを考えると困るのではないでしょうか。

投与および測定計画というのは,事前にきちんと決め,それに従ってデータが取られるべきでしょう。

もうデータを採ってしまったのなら,後からでもいいから規則をつくって,それになるべく近いデータを対応させればいいとは思います。

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2028. Re^2: 同一対象に対する検定方法 Kazu  2004/01/26 (月) 23:18
丁寧なご返事ありがとうございました。
paired t test の例でよく薬の投与の例があるのでそれを例としたのですが,例が不適切でした。

実際はある動物1頭に対してA,B二つの方法で反応をとり,両者に差があるかどうかを調べる方法を探しています。

つまり,   方法A  計測値1  計測値2  計測値3 
方法B  計測値1  計測値2  
というデータをとり,計測値の平均に差があるかどうか調べたいのです。この場合,独立2群のt testを使って検定できると思います。

しかし,これと同じ事を複数の動物で調べた場合,
動物1    方法A  計測値1  計測値2  計測値3 
方法B  計測値1  計測値2  

動物2    方法A  計測値1  計測値2 
方法B  計測値1  計測値2  計測値3  
を取ったデータをとすると,その後データをまとめて
動物1  方法A  平均     動物2  方法A 平均
方法B  平均          方法B 平均   とした場合,各々の動物に対して方法AとBは対応付けられるためpaired t になるのではないかと考えました。そのため,対象が1つ場合と複数の場合とで検定方法が異なると思ったわけです。

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2030. Re^3: 同一対象に対する検定方法 青木繁伸  2004/01/27 (火) 00:15
> つまり,   方法A  計測値1  計測値2  計測値3 
> 方法B  計測値1  計測値2  
> というデータをとり,計測値の平均に差があるかどうか調べたいのです。この場合,独立2群のt testを使って検定できると思います。

この場合であっても,独立2群の t 検定はできません。

だって,計測値はそれぞれ,独立ではありませんから,独立2群ではないです。

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2031. Re^4: 同一対象に対する検定方法 Kazu  2004/01/27 (火) 01:38
以前の掲示板の回答も参照し,
>統計学は,データの個数が重要
ということが理解でき,始めの疑問は解決しました。
しかし
> つまり,   方法A  計測値1  計測値2  計測値3 
> 方法B  計測値1  計測値2  
> というデータをとり,計測値の平均に差があるかどうか調べたいのです。この場合,独立2群のt testを使って検定>できると思います。
>この場合であっても,独立2群の t 検定はできません。
>だって,計測値はそれぞれ,独立ではありませんから,独立2群ではないです。

はなぜでしょうか。
ある動物1匹に対して1)痛みを与える 2)音楽を聞かせる という操作を何度かしたときの血圧を測り,両者に対する血圧の変動に差があるかどうか検定したい場合,痛みを与えることと音楽を聞かせることは独立と考えられますし,先に採った計測値が後で採った計測値に影響を与えるとは考えられないので独立2群の t 検定を行うことができると思うのですが。

何度も申し訳ございませんがご教授お願いします。

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2033. Re^5: 同一対象に対する検定方法 青木繁伸  2004/01/27 (火) 08:02
以下の文章は,使用する記号に注意して読んでください。

ある動物(1個体)について,方法 A と方法 B により1回ずつ測定したとき,その二つの値は対応がありますね。

ある動物(1個体)について,方法 X により2回測定したとき,その二つの値は対応がありますね。

ある動物 n 個体について方法 Y により測定した n 個のデータと,「別の」動物 m 個体について方法 Z により測定した m 個のデータなら,独立ですね(n に含まれる動物は,m に含まれない。逆も同じく)。

ある動物 n 個体について方法 Y により測定した N 個のデータがあるとき,N > n のとき(すなわち,たとえ N = n+1 であってもそれは n 個体から重複してデータが採られていることになる),そのデータは独立ではないですね。

そういうことではないですか?

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2038. Re^6: 同一対象に対する検定方法 Kazu  2004/01/27 (火) 16:06
ご返事ありごとうございました。


>ある動物 n 個体について方法 Y により測定した N 個のデータ>があるとき,N > n のとき(すなわち,たとえ N = n+1 であ>ってもそれは n 個体から重複してデータが採られていることに>なる),そのデータは独立ではないですね。

 n-1個体からデータを1つずつとって,最後の1個体からデータを2つとったとします。この場合,合計n+1のデータの平均を取ると,これは各個体それぞれのデータに着目しているのも関わらず,1個体から取った2つのデータをが2個体から取ったものとして扱っているから独立ではないと分かります。
 
 
 しかし,動物1個体の反応に着目した場合
 
 >ある動物(1個体)について,方法 A と方法 B により1回ず >つ測定したとき,その二つの値は対応がありますね。
 >ある動物(1個体)について,方法 X により2回測定したと  >き,その二つの値は対応がありますね。

 
 とは考えれません。
 
 なぜなら,以前の例と同様に方法A)動物に痛みを与える,方      法B)音楽を聞かせる という操作のあと血圧
      を測ったとします。
 
 この時,音楽を聞かせた時の血圧変動が,痛みを与えた時の変動に影響を与えるとは考えられないからです。また,先に与えた痛みが,後に与えた痛みの反応に影響を与えるとも考えられません。
 
 とすると,ある動物(1個体)について,方法 A と方法 B により1回ずつ測定したときの方法Aと方法Bの測定値は独立であるし,
      
  ある動物(1個体)について,方法 X により2回測定したとき  の測定値もそれぞれ独立
      
 と考えられると思うのですが。
 
      
 それとも,同じ個体から複数測定するということは,どの測定 値も同じ個体から得られているので測定値がいくらあってもそ の値はそれぞれ対応関係にあり,またお互い関係の無い2通りの 方法で測定した場合でも,その測定値は同一個体から得られた ものなので,その測定値は対応関係にあるため,どうやっても1 個体がある刺激に対して示す平均的な反応というものは定義で きないのでしょうか。         
            
      
独立ということに関する疑問があとすこしで解けそうなので,もうしばらくご教授お願いします。
      

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2039. Re^7: 同一対象に対する検定方法 青木繁伸  2004/01/27 (火) 16:27
> 以前の例と同様に方法A)動物に痛みを与える,方法B)音楽を聞かせるという操作のあと血圧を測ったとします。この時,音楽を聞かせた時の血圧変動が,痛みを与えた時の変動に影響を与えるとは考えられないからです。また,先に与えた痛みが,後に与えた痛みの反応に影響を与えるとも考えられません。

独立か従属かというのは,影響のあるなしだけではないです。
たとえば,方法(A)であっても測定間に十分な時間をおけば前の測定の影響はないことは保証できるでしょう。しかし,痛みに敏感な人はいつも敏感に反応し,敏感でない人はあまり反応しないということがあるでしょう。だからこそ,対応のあるデータとして分析するのです。また,あげられた例では,痛みと音楽ということで全く異なった刺激と理解できますが,それにしても,「血圧に影響を与える刺激」という意味では同じですね。「刺激に対する血圧の反応」という観点からは対応のあるデータということになるでしょう。二重の意味で対応がある(従属である)ということでしょう。

> ある動物(1個体)について,方法 A と方法 B により1回ずつ測定したときの方法Aと方法Bの測定値は独立であるし,ある動物(1個体)について,方法 X により2回測定したときの測定値もそれぞれ独立と考えられると思うのですが。

これは明らかに従属でしょう。対応のあるデータです。
2回の測定のときは対応のあるt検定,3回以上の測定のときは乱塊法やフリードマン検定を適用するようなデータです。
一般的には2回の測定値は,それこそ薬の投与前後というように差の出そうなものを対象にします。たとえば血圧を下げる薬などの場合,血圧の高い人も低い人も一律にある一定値まで下げるのではなく,下げる幅(割合)が一定値ということもあるでしょう。このような場合には対を作る方が有効なのです。別に2回の測定が異なった条件の下でなくてもいいわけで,たとえばある測定値に日間変動(日によって変動する)があるかどうかを調べたいとき,一日一回(定時に)数日間測定して,乱塊法や対応のあるt検定を使ってもいいわけです。

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2041. Re^8: 同一対象に対する検定方法 青木繁伸  2004/01/27 (火) 16:30
> それとも,同じ個体から複数測定するということは,どの測定 値も同じ個体から得られているので測定値がいくらあってもその値はそれぞれ対応関係にあり,またお互い関係の無い2通りの方法で測定した場合でも,その測定値は同一個体から得られたものなので,その測定値は対応関係にあるため,どうやっても1個体がある刺激に対して示す平均的な反応というものは定義できないのでしょうか。         

平均的な反応が定義できるかどうかということではなくて,高めの反応をする人はどんな刺激によっても高めに反応する,低めの反応をする人は。。。(以下同様)ということでしょう。
もっとも,ある刺激には強く反応し,別の刺激には弱く反応するというような,人・刺激もあるでしょう。しかし,その見極めは難しい(境界領域のものについて特に)。

# 投稿するときは,スペースキーで見かけの改行をするのをさけてください。この掲示板はワープロソフトと同じく,改行はソフトリターンです。

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2043. Re^9: 同一対象に対する検定方法 青木繁伸  2004/01/27 (火) 16:50
★ 対応のある二標本データ
     ある変数の測定値
被検者  条件1 条件2
青山    ○○  ○○
赤木    ○○  ○○
白川    ○○  ○○
黒田    ○○  ○○

要点:同じ被検者に必ず条件1と条件2の下で,一回ずつ。
   同じ被検者が何回も測定されることはない。
   条件は3種類以上あってもよい。

================

★ 対応のないデータ(独立二標本データ)

第一群          第二群
被検者  測定値     被検者  測定値
青山    ○○     南田    ○○
赤木    ○○     北山    ○○
白川    ○○     西川    ○○
黒田    ○○     東野    ○○
緑川    ○○

要点:被検者は第一群と第二群では重複がない。
   同じ群内でも,被検者は一回のみ測定。

================

上は要因が一つの場合。
二元配置分散分析の場合には,

  第一の要因  第二の要因
1: 対応あり   対応あり
2: 対応なし   対応あり
3: 対応あり   対応なし
4: 対応なし   対応なし

の,4通りある。ただし2番目と3番目は同じこと(どちらを第一とするかだけの違い故)。つまり,実質的には3通りある。

================
普通のデータ範疇にはいらないデータ(分析手法が用意されていないデータ)は,分析する術がない。

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2073. Re^10: 同一対象に対する検定方法 Kazu  2004/01/29 (木) 00:50
 回答に対する返事が遅れて申し訳ございませんでした。

質問に対する回答を読み直し

1個体から特定の反応を,複数の測定条件のもとで何度か計測を行った場合,仮に各々の測定条件が影響を与え合わないとしても,同一個体から計測していることから,各々の条件は独立ではなく,その測定値は対応関係にある。また,各条件でとった複数の測定値も独立ではない。

それゆえ1個体において,各々の条件のもとでとった測定値の平均の差を検定することはできない。

ある2測定条件のもとで検定するためには,「被検者は第1群と第2群とで重複がなく同じ群内でも,被検者は1回のみ測定」という条件を満たさなくてはならない。これにより,各条件内でとった測定値は独立となる。また2測定条件が,例えば共に「血圧に影響を与える刺激」であったとして測定はそれぞれ別の個体で行われるので2測定条件は独立と考えられる。
 
 もし,「1被検者からの反応を,複数の測定条件のもとで何度か計測を行った場合」の平均の検定を行いたいのならば,
 「ある人に1−3まで乱数発生器,1−10までの乱数発生器を何度も使わせて両者の平均に差があるか検定」
するというように,計測条件とその条件における計測値の両者が独立でなければならない。

と理解しましたが,正しいでしょうか。検定において独立がどういった意味で使われるのかが理解できたつもりなのですが。

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2203. Re^11: 同一対象に対する検定方法 TY  2004/02/03 (火) 20:37
以前の投稿を読み返したところ,かなり意味不明だったので削除しました。

1. 個体内の複数測定と検定
自分の最新の健康診断結果が異常かどうかを判定するとき,自分の過去の健康診断結果(複数)と比較することはありえると思います。

2. 同一個体で複数の測定がある場合という状況は,個体をランダム効果とする線形混合モデルに帰着できる場合もありそうに思います。ご検討ください。

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2029. Re^3: 同一対象に対する検定方法 青木繁伸  2004/01/27 (火) 00:12
例を挙げるときにはよく考えないと。
不適切な例だとよけいに分からなくなります。
たとえがたとえになっていない。
検定手法の説明で架空例を考えるのも結構難しいんですよ。

それはおいといて,,

要するに,方法 A,B で何回ずつかの測定をする。そして,前後それぞれの平均値を計算する。このようなことを複数の個体について行うと言うことですね。そして,前後における二つの平均値が対応のあるデータであると見なして,対応のある場合の平均値の差の検定を行うと。

しばらく前のこの掲示板にも,また,今までにも何回か出てくる質問ですが,いくつかのデータをまとめて(平均値などを取って),その計算値を一つのデータと見なして検定を行いたいがよいか?というものでしょうか。

答えは,駄目です。
統計学は,データの個数が重要なんです。
方法 A での測定値5個の平均値と測定値2個の平均値を同じように一つのデータと扱うようなやり方は,誤りです。この二つの平均値の精度がまるで違います。また,この場合だと7個の測定データが2つの(平均値)データになってしまうというのですから,変ですね。

今回示された,あなたのデータの場合も,前と同じです。
なぜ,方法ごとに,また対象ごとに測定回数が違うのか,そのことに必然性(理由)がない限り,そのようなデータの取り方はすべきではなかったのではないですか。統一基準を定めて方法ごとに一つの測定値を選び,対応のあるデータの平均値の差の検定を行えばいいことだと思います。

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