★ パーセント変換した時の統計(2群比較) ★

1584. パーセント変換した時の統計(2群比較) 悩み者 2004/01/04 (日) 18:13
└1586. Re: パーセント変換した時の統計(2群比較) 青木繁伸 2004/01/04 (日) 19:36
 ├1590. Re^2: パーセント変換した時の統計(2群比較) くち 2004/01/04 (日) 21:58
 │└1592. Re^3: パーセント変換した時の統計(2群比較) 青木繁伸 2004/01/04 (日) 22:17
 └1589. Re^2: パーセント変換した時の統計(2群比較) 青木繁伸 2004/01/04 (日) 20:40


1584. パーセント変換した時の統計(2群比較) 悩み者  2004/01/04 (日) 18:13
動物実験にて薬剤投与前と投与後での差を検定について質問させて頂きます。
調べるパラメータは個体間でばらつきが多いために,それを補正する意味で各個体にて投与前の値を100とし,投与後の値は投与前の値に対する相対値としました。
投与前と投与後での差をpaired t testで検定しようと思うのですが,上記のような補正をすると投与前の値は全て100であり何だかおかしな感じがしますが,特に問題はございませんでしょうか?
不適当であればこのような場合どのような検定が好ましいのかお教え頂ければと思います。
ちなみに例数は6です。
どうぞ宜しくお願い致します。

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1586. Re: パーセント変換した時の統計(2群比較) 青木繁伸  2004/01/04 (日) 19:36
> 調べるパラメータは個体間でばらつきが多いために,それを補正する意味で各個体にて投与前の値を100とし,投与後の値は投与前の値に対する相対値としました。

それは,「パーセント変換」というものではありません。
対応するデータの比が1であるかどうかの検定をすることになるんですね。

投与前,投与後のデータが正規分布するとして,通常の「対応のある平均値の差の検定(t検定)」では,対応のあるデータの差(これが検定に使われる)が正規分布に従う訳ですが,正規分布データの比(100倍して100を引こうと何しようと,線形変換ですから無関係)は,正規分布に従いません。検定理論的には妥当な選択とは思えません。

先例はないのでしょうか。

なお,6例とのことですが,仕方ないとはいえ,そっちの方が問題でしょうね。

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1590. Re^2: パーセント変換した時の統計(2群比較) くち  2004/01/04 (日) 21:58
早速のご回答どうもありがとうございました。
結論としまして,述べさせて頂いた方法は適当ではないとうことですね。
下記ご確認させて下さい。

> 投与前,投与後のデータが正規分布するとして,通常の「対応のある平均値の差の検定(t検定)」では,対応のあるデータの差(これが検定に使われる)が正規分布に従う訳ですが,正規分布データの比(100倍して100を引こうと何しようと,線形変換ですから無関係)は,正規分布に従いません。検定理論的には妥当な選択とは思えません。

「正規分布のデータの比は正規分布しない」=「データの比の差も正規分布しない」ということで宜しいでしょうか?

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1592. Re^3: パーセント変換した時の統計(2群比較) 青木繁伸  2004/01/04 (日) 22:17
> 「正規分布のデータの比は正規分布しない」=「データの比の差も正規分布しない」ということで宜しいでしょうか?

あなたがやろうとしている検定の対象となるデータは「データの比の差」ではなくて,「データの比」です。

対応のある平均値の差の検定と,母平均の検定は同じなのです。両者の関係を考えれば,回答が導けます。

コメントに書きましたように,
x = 100
y = 投与後の値/投与前の値*100
として,対応のある平均値の差を検定すると言うことは,
x-y = 100-投与後の値/投与前の値*100
  = 100*(1-投与後の値/投与前の値) の母平均が「0」になるかを検定することになるのですが,この場合にデータの線形変換は検定手順には無関係(定数項は検定する母数として関与)ですから,投与後の値/投与前の値(母平均)が「1」になるかどうかの検定になります。

したがって,正規分布する二変数の比は正規分布にならない(検定の対象となるデータの母分布が正規分布ではない)でしょうということです。

元のデータ(投与前後)の比と差では,違った答えが出て当然で,違い方に問題があるというのが,R のシミュレーションの結果です。

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1589. Re^2: パーセント変換した時の統計(2群比較) 青木繁伸  2004/01/04 (日) 20:40
R で,シミュレーションしてみました。
μ=0, σ=1,δ=0.2,α=0.05,β=0.80 では n = 198 となります(power.t.test にて)

以下,ちょっと冗長なプログラムですが,そのまま掲載します。
普通の対応のある平均値の差の検定
> sim <- function(loop = 1000)
+ {
+     n <- 198
+     delta <- 0
+     k <- 0
+     for (i in 1:loop) {
+         x1 <- rnorm(n)
+         x2 <- rnorm(n, mean = delta)
+         p <- t.test(x1, x2, paired = TRUE)$p.value
+         if (p < 0.05) {
+             k <- k+1
+         }
+     }
+     k
+ }
> sim(loop=10000)
[1] 493        まずまず妥当ですね。

投与前=1,投与後=投与後/投与前 として,対応のある平均値の差の検定
> sim2 <- function(loop = 1000)
+ {
+     n <- 198
+     delta <- 0
+     k <- 0
+     for (i in 1:loop) {
+         x1 <- rnorm(n)
+         x2 <- rnorm(n, mean = delta)
+         x2 <- x2/x1
+         x1 <- rep(1, n)
+         p <- t.test(x1, x2, paired = TRUE)$p.value
+         if (p < 0.05) {
+             k <- k+1
+         }
+     }
+     k
+ }
> sim2(loop=10000)
[1] 2129        第一種の過誤が大きすぎますね。

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