★ 母比率の検定 正規近似 vs F分布 ★

 154 母比率の検定 正規近似 vs F分布  SE6  2001/11/09 (金) 16:35
  155 Re: 母比率の検定 正規近似 vs F分布  青木繁伸  2001/11/09 (金) 17:29
   156 Re^2: 母比率の検定 正規近似 vs F分布  SE6  2001/11/09 (金) 19:31
    157 Re^3: 母比率の検定 正規近似 vs F分布  青木繁伸  2001/11/09 (金) 20:42


154. 母比率の検定 正規近似 vs F分布  SE6  2001/11/09 (金) 16:35
初めまして.こんなサイトがあるなんて感動しました.
色々参考になり,勉強させて頂きたいと思います.

さっそくで恐縮ですが,統計学自習ノートの検定・推定にある「母比率
の検定」に関する記述について質問があります.ケース数 n が少ない
とき,統計量の分布に正規近似を用いてはいけないことの判定基準に
”min[n*p0, n*(1-p0)]が 5 以上”と記述されていますが,この根拠
を教えて頂けないでしょうか?色々な教科書に n が小さい時,正規近似
を用いてはいけないと書いてありますが,このような明確な基準を与え
ているものを見かけたことがありません.説明が面倒なようでしたら,
参考文献を紹介して頂けるだけでも助かります.よろしくお願いいたし
ます.

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155. Re: 母比率の検定 正規近似 vs F分布  青木繁伸  2001/11/09 (金) 17:29
要するに,ポアソン分布ではないことを保証しておきたいわけです。

いろいろな教科書に書いてありますが,その大本がどこなのかはなかなか調べるのが難しそうです。

岩原信九郎,教育と心理のための推計学,日本文化科学社,pp.160-161
 信頼限界についての節ですが,nP>5 で n がかなり大きいときに近似して良いとの記述

で,どうしてこの基準について書いてある本が少ないかというと,基準を書くということは,この基準を満たさない場合についての検定手法について書かざるを得ないことになる。しかし,その代替手法(F分布を用いる)は,計算が大変ということで入門的な教科書には書きづらいということがあるわけでしょう。

現在ではコンピュータで簡単に計算できるので,正確な方法(F分布を用いる方法)を常に採用すればいいのです。
同じようなことが,独立性の検定におけるカイ二乗検定とフィッシャーの正確確率検定,積極限法による生命表とカプラン・メイヤーによる生命表,主因子法による因子分析と最尤法による因子分析のような対比で見られます。

昔は,とにかく計算が大変だったので,少々精度は悪いが近似計算(近似的な解を求めること)しかできなかったのです。

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156. Re^2: 母比率の検定 正規近似 vs F分布  SE6  2001/11/09 (金) 19:31
さっそく丁寧な解説有り難うございました.

> 要するに,ポアソン分布ではないことを保証しておきたいわけです。

2項分布が非対称かどうかの判定に”min[n*p0, n*(1-p0)]が 5 以上”
を使うのだと理解していいのでしょうか?もしそうだとしても,なぜ
5以上なのかがよくわかりません.ご紹介頂いた本を探して勉強したいと
思います.

色々な場面で使える正規近似に魅力を感じていましたが,近似に頼らな
くても正確に出来る方法が沢山あるのですね.勉強になりました.

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157. Re^3: 母比率の検定 正規近似 vs F分布  青木繁伸  2001/11/09 (金) 20:42
> を使うのだと理解していいのでしょうか?もしそうだとしても,なぜ
> 5以上なのかがよくわかりません.

物事は連続的に移り変わるので,一つの数字を基準にすることの意味はほとんどないでしょう。絶対的な基準というのではないと思いますし,それがなにがしかの理論から導かれているものでもないです。

なお,件の本は,絶版品切れかと思います。

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