★ 正確確率検定の下位検定について ★

 26 正確確率検定の下位検定について  楯 誠  2000/06/07 (水) 01:59
  27 Re: 正確確率検定の下位検定について  マンボウ  2000/06/08 (木) 00:43
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           75 Re^10: 正確確率検定の下位検定について  教えて下さい  2000/06/14 (水) 07:18
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             88 Re^12: 正確確率検定の下位検定について  マンボウ  2000/06/14 (水) 22:53
              89 Re^13: 正確確率検定の下位検定について  マンボウ  2000/06/14 (水) 22:53
               90 Re^14: 正確確率検定の下位検定について  マンボウ  2000/06/14 (水) 23:09
                91 Re^15: 正確確率検定の下位検定について  マンボウ  2000/06/14 (水) 23:18
                 92 Re^16: 正確確率検定の下位検定について  マンボウ  2000/06/14 (水) 23:35
            79 Re^11: 正確確率検定の下位検定について  出口慎二  2000/06/14 (水) 09:13


26. 正確確率検定の下位検定について  楯 誠  2000/06/07 (水) 01:59
 こんにちは。心理学を学んでいるものです。質問なのですがK×Lのセル数での正確確率検定をした場合,その下位検定はどのように行うべきなのでしょうか?カイ二乗検定では,残差分析でセル間の有意な差異を細かに検出する事が可能だと思うのですが,正確確率検定では,それに該当するような手段は存在するのでしょうか?
 どなたか御存知でしたら教えていただけるとありがたいです。それではよろしくお願いします。

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27. Re: 正確確率検定の下位検定について  マンボウ  2000/06/08 (木) 00:43
> カイ二乗検定では,残差分析でセル間の有意な差異を細かに検出する事が可能だと思うのですが,正確確率検定では,それに該当するような手段は存在するのでしょうか?

残差分析は,あるセルの期待値と観察値の変位が有意かどうかの検定だと理解しています。
しかし,残差分析自体,問題のある検定だと思うのです。つまり,検定ファミリーとしての危険率の設定についてはあまり考えられていないのではないか。つまり,あるセルにおいて,(観察値-期待値)/√期待値 の計算値が 1.96 を越えるかどうかってのを,全セルについて行うわけであるから,結果を総合した結論の危険率が事前に設定した有意水準を保証できないのは自明ではないか???

セル間の有意差を検定するとなると,さらにさらに,非常に面倒なことになるように思うのですが,どうなんでしょうか。

あるセルの観察値が期待値と有意に異なるかどうか((観察値-期待値)/√期待値)の正確確率検定は,二項検定になるのではないですか。
母比率=(ni./n..)(n.j/n..),観察比率=Oij/n..
二項検定はF分布を使う母比率の検定と同じです。

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30. Re^2: 正確確率検定の下位検定について  教えて下さい  2000/06/09 (金) 10:02
> しかし,残差分析自体,問題のある検定だと思うのです。つまり,検定ファミリーとしての危険率の設定についてはあまり考えられていないのではないか。つまり,あるセルにおいて,(観察値-期待値)/√期待値 の計算値が 1.96 を越えるかどうかってのを,全セルについて行うわけであるから,結果を総合した結論の危険率が事前に設定した有意水 準を保証できないのは自明ではないか???

 このような考え方に立つと,たとえば,あるクラスで10教科の試験の点数間の相関関係を知りたいときは,45組合わせの相関係数が得られるので,それも有意水準を調整して考えなければならないのですか?

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44. Re^3: 正確確率検定の下位検定について  マンボウ  2000/06/11 (日) 21:37
>  このような考え方に立つと,たとえば,あるクラスで10教科の試験の点数間の相関関係を知りたいときは,45組合わせの相関係数が得られるので,それも有意水準を調整して考えなければならないのですか?

立場(時と場合)によるでしょうね。

仮説検証的に考えるなら,当然(?),総合的な結論,つまり「●●と▲▲は有意な相関,■■と○○は有意な相関はない……」というように述べるなら,それら全体としての危険率を考えないといけないでしょう?

個々の相関関係のみを独立に考察するなら,それは「多重比較ではない」から,有意水準の調整など不要です。

なお,因子分析などの多変量解析に先立つ分析の場合には,そもそも有意水準なんて関係ないですけどね。

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50. Re^4: 正確確率検定の下位検定について  教えて下さい  2000/06/12 (月) 13:50
> 仮説検証的に考えるなら,当然(?),総合的な結論,つまり「●●と▲▲は有意な相関,■■と○○は有意な相関はない……」というように述べるなら,それら全体としての危険率を考えないといけないでしょう?


 相関係数の取り扱いについて,このように明瞭な考え方を聞いたのは初めてなのですが,これは統計処理結果の記述方法としては一般的なことなのですか? 具体的には,論文投稿などにあたっても,このような書き方が求められているのですか?

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51. Re^5: 正確確率検定の下位検定について  青木繁伸  2000/06/12 (月) 16:34
>  相関係数の取り扱いについて,このように明瞭な考え方を聞いたのは初めてなのですが,これは統計処理結果の記述方法としては一般的なことなのですか? 具体的には, 論文投稿などにあたっても,このような書き方が求められているのですか?

考え方は正当なものでしょう。
実際的には,そのようなことが望まれることはあまりないかもしれません。
しかし,望まれることがないということと,そのようにしなくても良いというのは別問題でしょう。

別のスレッドに出てきた blind fishing というのとも関連します。

相関係数行列の解釈の場合には安易に考えがちですが,たとえば「態度に関する10個の質問項目があったとき,全ての項目間で独立性の検定を行うと 45 通りの検定結果が出てきます」というのと同じになります。

そのうち一つでも間違えている「危険率」は有意水準5%で行ったとすれば 1-0.95^45= 0.900559743 にもなります。

後者の場合にはそれが何か困ったことがおきているという認識が生まれる可能性がありますが,前者の場合にはうっかり見過ごす(重要視していない)ということがいえると思います。

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53. Re^6: 正確確率検定の下位検定について  教えて下さい  2000/06/12 (月) 22:11
> 考え方は正当なものでしょう。

 具体的な処理方法としては,相関係数の場合には,どのような方法があるのでしょうか,あるいはどのような方法が推奨されているのでしょうか.
 たとえば,10項目の相関係数が45個得られたとき,どのように処理して論議すればよいのでしょう?

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57. Re^7: 正確確率検定の下位検定について  マンボウ  2000/06/13 (火) 00:02
http://aoki2.si.gunma-u.ac.jp/lecture/mb-arc/arc002/132.html
のようなスレッドがあったのですね。どこかで見たようなと思ってました。

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55. Re^7: 正確確率検定の下位検定について  マンボウ  2000/06/12 (月) 23:27
> > 考え方は正当なものでしょう。
>
>  具体的な処理方法としては,相関係数の場合には,どのような方法があるのでしょうか,あるいはどのような方法が推奨されているのでしょうか.
>  たとえば,10項目の相関係数が45個得られたとき,どのように処理して論議すればよいのでしょう?

よく見かける論文では,有意な相関係数が認められた項目対を列挙することが行われていますね。
レフェリーはそれに対して異議申し立てをしていないというのが現状でしょう。

要求される統計学のレベルは,学会誌のレベルでもあるので,その学会誌の前例に従うと良いでしょう。
はっきり言ってしまうと,いい加減な学会誌ではあんまり厳密に考える必要はないということです。
日本の学会誌で,多重比較についていろいろ注文がつくようになったのはそんなに前のことではないということです。
その前には,和文誌の感覚で欧文誌に投稿したところ,多重比較とやらについて査読者が何か言っているのだけど,何をいわれているのか分からないという質問がよくあったようです。

日本の学会のレベルは欧米の学会のレベルに比べて若干(?)タイムラグがあるようです。

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49. Re^4: 正確確率検定の下位検定について  教えて下さい  2000/06/12 (月) 13:47
> 立場(時と場合)によるでしょうね。


 今回のご回答によれば,最初の方の質問の分割表の解析の残差分析についても,「立場(時と場合)による」ということになるのでしょうか?

 解析の仕方によっては,残差分析も有効である,ということでしょうか?

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52. Re^5: 正確確率検定の下位検定について  青木繁伸  2000/06/12 (月) 16:44
>  今回のご回答によれば,最初の方の質問の分割表の解析の残差分析についても,「立場(時と場合)による」ということになるのでしょうか?

私は,残差分析についての原著論文を見ていないので何ともいえませんが(だったら黙っていればいいか),残差分析は行わない方がいいと思います。
二変数が独立ならば独立性の検定は有意でないということになっても,個々の残差分析の結果は独立なので(同じ独立という言葉になってしまうがこちらは,従属でないということ)各検定のうち,いくつかが有意になることは十分おこりうる。そのようなものに注目しても,ミスリードの危険性が大きいのではないか?

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54. Re^6: 正確確率検定の下位検定について  教えて下さい  2000/06/12 (月) 22:18
残差分析は行わない方がいいと思います。
> 二変数が独立ならば独立性の検定は有意でないということになっても,個々の残差分析の結果は独立なので(同じ独立という言葉になってしまうがこちらは,従属でないということ)各検定のうち,いくつかが有意になることは十分おこりうる。

これは最初の方の質問や,残差分析の通常の使い方とは,論点が少しずれていると思います.というのは,全体の分割表の有意性が確認された後,残差分析を用いることが普通だからです.
 期待値より明らかに離れているようなセルに注目して残差分析をおこなう場合が普通ではないでしょうか.
 最初の方の質問が「下位検定」となっているのは,たぶんこのような意味ではないでしょうか.

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56. Re^7: 正確確率検定の下位検定について  マンボウ  2000/06/12 (月) 23:45
> これは最初の方の質問や,残差分析の通常の使い方とは,論点が少しずれていると思います.

私もそう思います。
平均値の多重比較において,従来は「全体として平均値の差が見られたときのみに,下位検定を行う」という手順だったのですが,近年,必ずしも「全体として平均値の差が有意であった」という条件はなくても良いというようなことになったようで,そのようなことが青木さんが言うことと関連しているのかもしれないのかな。

しかし,やはり下位検定の多重性は考える必要はあると思います。結果として期待値から大きく外れているセルを発見して,それが統計学的に有意であることを示してという流れになりますが,これは BLIND FISHING になりかねない...のではないかな〜〜と危惧するのですが。どうなんでしょう?

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質問で〜す

BLIND FISHING という用語の出典をお教えいただけるとうれしいです(^_^)

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66. Re^8: 正確確率検定の下位検定について  sb812109  2000/06/13 (火) 21:49
> BLIND FISHING という用語の出典をお教えいただけるとうれしいです(^_^)

どこかで見たか聞いたかしたのですが,どうしても思い出しません。獲物(仮説)は問わず,食い付く魚(統計学的に有意な説明変数)は何でも手当たり次第という雰囲気が出ていてうまいこと云うなと思い印象に残っています。意味するところは,data dredgingと同じです。こちらは色んな文献,教科書に顔を出します。

例えば,
PRACTICAL STATISTICS FOR MEDICAL RESEARCH
by Douglas G. Altman (CHAPMAN & HALL) p120-121

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69. Re^9: 正確確率検定の下位検定について  マンボウ  2000/06/13 (火) 23:28
> どこかで見たか聞いたかしたのですが,どうしても思い出しません。獲物(仮説)は問わず,食い付く魚(統計学的に有意な説明変数)は何でも手当たり次第という雰囲気が出ていてうまいこと云うなと思い印象に残っています。意味するところは,data dredgingと同じです。こちらは色んな文献,教科書に顔を出します。

了解しました。いや,BLIND FISING という言葉の素性があやしいとかいう意図ではなく,「うまいこというな〜」という感じでのコメントなので気にしないでください(あまりにもうまい表現なので,検索エンジンで引いたけど,結果が思わしくなかったというだけです)。

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58. Re^8: 正確確率検定の下位検定について  教えて下さい  2000/06/13 (火) 08:07
> 平均値の多重比較において,従来は「全体として平均値の差が見られたときのみに,下位検定を行う」という手順だったのですが,近年,必ずしも「全体として平均値の差が有意であった」という条件はなくても良いというようなことになったようで,

 いつ,どこで,このようになったのでしょうか?私の狭い範囲の理解ですが,むしろ,多重比較法を安易に用いることの方が,いましめられる傾向にあるのではないかと思います.
 全体の有意性を確認せずに多重比較をおこなえば良いといのは,研究データではなく,商品比較のような定型的な業務に統計処理を用いる場合ではないでしょうか.
 分散分析が有意でなくても危険率を一定に保証する多重比較法が存在することは事実でしょうが,あなたがおっしゃるような手順が一般に推奨されている分野があるならば教えてください.

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70. Re^9: 正確確率検定の下位検定について  マンボウ  2000/06/13 (火) 23:38
>  分散分析が有意でなくても危険率を一定に保証する多重比較法が存在することは事実でしょうが,あなたがおっしゃるような手順が一般に推奨されている分野があるならば教えてください.

ちょっと,言葉足らずだったことをお詫びします(どこかの国の首相みたいだけど)。

他の方から既にコメントがついているので(ありがとうございます),それ以上のコメントはありません。
あえて付け加えるとすれば,「そのような手順が推奨されている分野*は*ないでしょう」ということです。
統計学(多重比較)を用いる場合には,どのような場合・分野であっても,従わなければならない基準だと思っております(時と場合に応じて適用されるものではなく,常に適用されるべきものであるということです)。
第一種の過誤も,第二種の過誤(検出力)も,ある分野では考慮しなくてもいいなどという評価基準はありえません(と,私は思っています)。

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71. Re^10: 正確確率検定の下位検定について  マンボウ  2000/06/13 (火) 23:49
ちょっと過激な意見を(^_^)

ある一つの論文で,いろんな(相互に独立な)検定が100個あったとします。
その論文の結論(必ずしも検定結果のみから導かれているわけではないでしょうが)全体として,有意水準はどのように保証されるべきでしょうか。

現実的(常識的)に考えると何の問題もないと思いますが,多重比較の文脈で考えると問題ありということになるのでしょうかね?

私の見解としては,そんなに厳密に考えなくても良いのではないかということです。

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61. Re^9: 正確確率検定の下位検定について(2)  出口慎二  2000/06/13 (火) 11:39
下記では,多重比較の紹介にあたって,「理論的には分散分析などをせずに,これ独自で用いるべきものであるが」実際は分散分析後に用いられることが多い,といった記載があります(57頁).

毒性・薬効データの統計解析,吉村功,1987,サイエンティスト社

こうした考えが見られる分野と言うのは,多分,第1種の過誤よりも第2種の過誤を重視すべき分野なのでしょう.例えば,「臨床試験のための統計的原則」の「6.4 統計的評価」には,「仮説検定を用いる場合,第1種の過誤を勘案して多重性を統計的に調整することは適切ではあるが,通常は第2種の過誤により注意を払うべきである.」という記載があります.このような類のことは,例えば下記文献でも紹介されています(133頁).

らくらく生物統計学,足立堅一,1998,中山書店

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60. Re^9: 正確確率検定の下位検定について(1)  出口慎二  2000/06/13 (火) 11:39
> > 平均値の多重比較において,
> (中略)
> > 近年,必ずしも「全体として平均値の差が有意であった」という条件はなくても良いというようなことになったようで,
>
>  いつ,どこで,このようになったのでしょうか?
> (中略)
>  ...,あなたがおっしゃるような手順が一般に推奨されている分野があるならば教えてください.

とりあえず,毒性試験の分野ではそのような考え方もあるようです.

ですが,分野にかかわらず,検定手法として考えても,一元配置分散分析と多重比較の両方を行うこと自体,検定の多重性の問題を引き起こしますし,ちゃんと全体としての有意水準が保たれるようにして行われた多重比較において有意とされるものが,分散分析で(全体が)有意とならないために見落とされるであれば,これは,第2種の過誤でしょう.

この掲示板でたびたび挙げられる下記文献でも,一元配置分散分析後に多重比較という考え方が「一般には正しくない」という記載があります(34頁).

統計的多重比較法の基礎,永田/吉田,1997,サイエンティスト社

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74. Re^10: 正確確率検定の下位検定について(1)  教えて下さい  2000/06/14 (水) 07:14

> > がおっしゃるような手順が一般に推奨されている分野があるならば教えてください.

> とりあえず,毒性試験の分野ではそのような考え方もあるようです.

 毒性試験の分野では,かなりの人がそのように考えているのですか?

 あなたがあげている「統計的多重比較法の基礎,永田/吉田,1997,サイエンティスト社」の中で,毒性試験には多重比較法自体が好ましくないという記述があったはずです.著者の一人の永田氏は,学会でも,そのような見解を述べています.

 また,分散分析結果の誤差分散の大きさを検討することは,実験の精度の上で重要です.毒性試験のような場合は,特に誤差が重要ではありませんか?

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78. Re^11: 正確確率検定の下位検定について(1)  出口慎二  2000/06/14 (水) 09:13
>  毒性試験の分野では,かなりの人がそのように考えているのですか?

どの程度かは存じません.
この分野では,無投与群と,いくつかの設定された用量を投与された群それぞれとの比較に関心が向きます.この場合,多重比較の手法のなかではダネットが用いられるかと思いますが,分散分析で有意とならなくても,ダネットの方法による多重比較では有意差を検出する場合もあります.ダネット自身,この点は指摘しているそうです.
毒性があるのに「毒性なし」と結論付けてしまう(第2種の過誤)ことを避けようとするならば,分散分析を用いないことは有効でしょう.

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76. Re^11: 正確確率検定の下位検定について(1)  出口慎二  2000/06/14 (水) 09:12
>  あなたがあげている「統計的多重比較法の基礎,永田/吉田,1997,サイエンティスト社」の中で,毒性試験には多重比較法自体が好ましくないという記述があったはずです.著者の一人の永田氏は,学会でも,そのような見解を述べています.

これは,多重比較は,全体としての第1種の過誤を一定内に収める変わりに,検出力が犠牲になるという文脈かと理解しています.従って,極端に言うならば,有意水準の調整などせずに,2群の差の検定をそのまま繰り返せば良い,という方向の指摘でしょう.
尚,実験を行う容量の設定等の恣意性の方の問題は,方向が異なりますので割愛.

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73. Re^10: 正確確率検定の下位検定について(1)  教えて下さい  2000/06/14 (水) 07:10
>
> ですが,分野にかかわらず,検定手法として考えても,一元配置分散分析と多重比較の両方を行うこと自体,検定の多重性の問題を引き起こしますし,ちゃんと全体としての有意水準が保たれるようにして行われた多重比較において有意とされるものが,分散分析で(全体が)有意とならないために見落とされるであれば,これは,第2種の過誤でしょう.
>

 前回述べたように,定型的なスクリーニングのようなデータならば,場合によってはよいかもしれません.
 しかし,全体のF検定で有意にならないような実験には,誤差の制御に問題があった,反復数が少なすぎた,というような原因が考えられます.結論を保留し,計画を再考した上で再実験すべきだと思います.

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72. Re^10: 正確確率検定の下位検定について(1)  教えて下さい  2000/06/14 (水) 07:08

> ですが,分野にかかわらず,検定手法として考えても,一元配置分散分析と多重比較の両方を行うこと自体,検定の多重性の問題を引き起こしますし,ちゃんと全体としての有意水準が保たれるようにして行われた多重比較において有意とされるものが,分散分析で(全体が)有意とならないために見落とされるであれば,これは,第2種の過誤でしょう.
>


「検定の多重性」の意味を,私とは逆に理解しているのではないでしょうか?

 同一の標本に検定を繰り返すことによって第1種の過誤が増加することが,「検定の多重性の問題」だと,私は理解しています.

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77. Re^11: 正確確率検定の下位検定について(1)  出口慎二  2000/06/14 (水) 09:12
> 「検定の多重性」の意味を,私とは逆に理解しているのではないでしょうか?
>
>  同一の標本に検定を繰り返すことによって第1種の過誤が増加することが,「検定の多重性の問題」だと,私は理解しています.

補足します.前半の,一元配置分散分析と多重比較という検定の繰り返しが検定の多重性の問題.後半は,分散分析と多重比較両方で有意の時のみ有意と考えることが,保守的となる場合の指摘.

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59. Re^9: 正確確率検定の下位検定について  青木繁伸  2000/06/13 (火) 10:41
> > 近年,必ずしも「全体として平均値の差が有意であった」という条件はなくても良いというようなことになったようで,
>
>  いつ,どこで,このようになったのでしょうか?

私にも責任があるようなので,一言追加。

この掲示板で頻繁に取り上げられる
永田靖,吉田道弘「統計的多重比較法の基礎」サイエンティスト社
の34ページに

「多重比較法を適用する際には,前もって一元配置分散分析により母平均の一様性の帰無仮説についての検定を行い,有意になった場合にのみ多重比較を行う・と述べられることがある。しかし,これは一般的には正しくない。というのは,一元配置分散分析で用いている検定統計量が多重比較法の手順の中に含まれていない場合には,「一元配置分散分析」と「多重比較」の二つの検定を行うことになり,ここにまた検定の多重性が生じるためである。したがって,『多重比較法と通常の一元配置分散分析とは別物であり,多重比較法を適用するときは,その手順の中に示されていない限りは,F検定による一元配置分散分析を併用すべきではない』と考えておいてほしい。

というのがあります。

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75. Re^10: 正確確率検定の下位検定について  教えて下さい  2000/06/14 (水) 07:18
>
> 私にも責任があるようなので,一言追加。
>
> この掲示板で頻繁に取り上げられる
> 永田靖,吉田道弘「統計的多重比較法の基礎」サイエンティスト社
> の34ページに
>
 最近,この本の記述を単純に解釈している人がいることには驚かされます.

 この本は,各種の多重比較の計算方法と統計学的な意味を丁寧に説明した良い本だと思います.また,多重比較法を適用すべき場面と適用すべきではない場面についても説明されています.この本の価値は,むしろ後者にあると私は思います.
 多群ならばいつも多重比較という簡単な図式を描いてはならない,ということがどこかに書いてあったはずです.(手元にないのでページはわかりませんが.)
 定型的なスクリーニング以外には多重比較を用いるべきではないという指摘は重要である,というようなことも書いてあるはずです.

 多重比較法は適用の限界をよく考えた上で使用すべきです.分散分析結果の誤差分散を検討することは,実験の精度を考える上で重要だと思います.また,誤差分散を読者に示すことは,同様に実験の精度を明らかにするために重要であると私は思います.

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87. Re^11: 正確確率検定の下位検定について  マンボウ  2000/06/14 (水) 22:52
>  最近,この本の記述を単純に解釈している人がいることには驚かされます.

「単純に解釈している」という評価は慎重にお願いしたいです。
どのような手法にしろ,その手法を適用すべきか適用すべきではないかは自ずと制限はあるはず。
あなたのコメントに対する回答がそういうことであったということでしょう。
つまり,「一元配置分散分析の結果によって多重比較を適用するかどうかを決めるものではない」という点を指摘しただけであって,一元配置分散分析をとるか多重比較をとるかという単純な選択の問題について議論していたわけではないと思います。

つづく

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88. Re^12: 正確確率検定の下位検定について  マンボウ  2000/06/14 (水) 22:53
なお,毒性試験の評価において多重比較を用いるべきではないというのは,自明といえば自明すぎます。
つまり,反応を観察するときに,コントロールと比べて有意な反応が初めて観察される用量以下を無作用量とするというときには,対照群と特定の群において有意であるかどうかが問題になります。そして,それらの検定は「独立に」評価されるべきでしょう。多重比較の考え方はこの場合にはありえません。多重比較は「全体としての危険率の調整」ですから。
このような考え方は,スネデカー・コクランの時点で既に解決済みです。すなわち,「前もって比較すべき対象が決まっている場合には,t検定なりを繰り返すだけでよい」  要するに,個々の検定は「独立」なので,それらの検定結果を総合したときの危険率などというものが存在しないのです。

つづく

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89. Re^13: 正確確率検定の下位検定について  マンボウ  2000/06/14 (水) 22:53
>  分散分析結果の誤差分散を検討することは,実験の精度を考える上で重要だと思います.また,誤差分散を読者に示すことは,同様に実験の精度を明らかにするために重要であると私は思います.

このことは,多重比較法を採用するかどうかということと全く無関係です。必要な情報は示されて当然でしょう。しかし,検定結果として述べる必要はない。誤差分散だけを示せばいいです。あるいは,分散分析表を示したとしても,それについて検定という立場から言及しなければいいだけです。

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90. Re^14: 正確確率検定の下位検定について  マンボウ  2000/06/14 (水) 23:09
そもそも,無作用量を統計学が提示できるかどうかということについては,大きな議論があると思います。

# いわずもがな

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91. Re^15: 正確確率検定の下位検定について  マンボウ  2000/06/14 (水) 23:18
blind fishing という用語が別のスレッドで出ていますが,この用語は多重比較と関連があるだろう。

仮説がはっきりしているとき(仮説検証型)
  多重比較など必要ない(一元配置分散分析だって必要ない)
  ねらい打ちしてんだから,前に撃ったのと今度撃つのは別だからね

仮説がはっきりしていないとき(仮説探索型)
  多重比較法を使わないと,危険だよ〜〜〜
  下手なテッポウも数打ちゃ当たるんだから

あなたはどちらの立場でデータ解析してるの?
それが一番大事!

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92. Re^16: 正確確率検定の下位検定について  マンボウ  2000/06/14 (水) 23:35
それにしても,多重比較の議論で取り上げられるのは平均値の場合がほとんどなんだよね。

その他の統計量については,「ボンフェローニ法でもやってなさい」ということなんだろうか。
統計学者ももう少し,いろいろな面に解答を与えてほしいよね。
相関係数の多重比較,比率の多重比較,ノンパラメトリック法における多重比較。
一部分については解答が提示されているけど,十分とは言えないね。

統計学者からすれば,研究として面白い部分とそうでもない部分というのが当然あるんだろうけど。
ユーザの側からすれば,「どうにかしてよ〜〜」という気にもなる。

だって,一時期もてはやされた(?)(原著論文としても出た)Duncanの方法がどうしてだめだったかなど,ちゃんとフォローしてくれないとこまるんですよね,ユーザとしては。ある日突然,「いや〜,あの方法はだめなんですよ,ハッハッハ」っていわれてもね。

周辺和を固定するフィッシャーの直接確率法だって,イエーツの補正についてだって,未だに賛否両論あるんだもの。統計学のユーザとしては「一体何を信じればいいの」ってとこです。「そんなの,自分で判断しなさい!」ってのが統計学者の答えだとすると,幻滅だな。

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79. Re^11: 正確確率検定の下位検定について  出口慎二  2000/06/14 (水) 09:13
>> > 永田靖,吉田道弘「統計的多重比較法の基礎」サイエンティスト社
> > の34ページに
> >
>  最近,この本の記述を単純に解釈している人がいることには驚かされます.
>
>  (中略)
>  多群ならばいつも多重比較という簡単な図式を描いてはならない,ということがどこかに書いてあったはずです.(手元にないのでページはわかりませんが.)

基本的には,検出力低下の問題の指摘なのでは?(具体例は「and」と「or」の話ですが[p28])

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