★ ANOVAにおける"a-priori test"とはどういうものでしょうか? ★

 37 ANOVAにおける"a-priori test"とはどういうものでしょうか?  横田  1999/09/09 (木) 18:33
  42 Re: ANOVAにおける  幸水  1999/09/11 (土) 10:35
   43 Re^2: ANOVAにおける  幸水  1999/09/11 (土) 18:19
  40 Re: ANOVAにおける  堀 啓造  1999/09/10 (金) 19:17
   51 Re^2: ANOVAにおける  ?  1999/09/15 (水) 10:04
    55 Re^3: ANOVAにおける  堀 啓造  1999/09/16 (木) 14:23
     62 Re^4: ANOVAにおける  ?  1999/09/17 (金) 12:31
      74 Re^5: ANOVAにおける  堀 啓造  1999/09/20 (月) 07:42
       75 Re^6: ANOVAにおける 続き  堀 啓造  1999/09/20 (月) 07:48
        76 Re^7: ANOVAにおける 続き(文献)  堀 啓造  1999/09/20 (月) 07:49
         78 Re^8: ANOVAにおける 続き(文献 追加)  堀 啓造  1999/09/20 (月) 09:59
      68 Re^5: ANOVAにおける  堀 啓造  1999/09/18 (土) 08:59
       70 Re^6: ANOVAにおける  ?  1999/09/18 (土) 18:49
        77 Re^7: ANOVAにおける  堀 啓造  1999/09/20 (月) 08:09


37. ANOVAにおける"a-priori test"とはどういうものでしょうか?  横田  1999/09/09 (木) 18:33
生物を使った毒性試験をやっている者ですが,質問があります。薬物の投与量と生物の体重との関係をANOVA及びダンネットの多重検定によって統計処理を行い,その実験結果をある雑誌に投稿したところ,レフリーから「a-priori test(a-priori contrast statements)を用いなさい」というコメントがありました。このa-priori testとはどのようなものなのでしょうか?

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42. Re: ANOVAにおける  幸水  1999/09/11 (土) 10:35
>レフリーから「a-priori test(a-priori contrast statements)を用いなさい」

 これは,処理の分散成分を分割したANOVAを行いなさいという意味であろうと思います。
たとえば,処理区が「対照,薬品A,薬品B,薬品C,薬品(A+B)」という5種類ならば下記のようなANOVAが考えられます。(ただし,6反復完全乱配置)
--------------------------------------
変動因            自由度
--------------------------------------
処理               4
 対照   vs. 薬品       1
 薬品混合 vs. 単一薬品     1
 単一薬品内          2  
誤差               25
--------------------------------------
 単に平均値の多重比較を行っただけの議論を好まないレフリーだろうと思います。

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43. Re^2: ANOVAにおける  幸水  1999/09/11 (土) 18:19
> >レフリーから「a-priori test(a-priori contrast statements)を用いなさい」
>

 あるいは,対比(contrast)を行いなさい,ということかもしれません。

 ”(a-priori contrast statements)”は,SASのコマンドのことでしょうか?

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40. Re: ANOVAにおける  堀 啓造  1999/09/10 (金) 19:17
a priori とか pre-planned comparisonとかは post hoc comparisons(事後比較 a posteriori comparison) に対して事前比較,事前計画比較とか言っています。
そのまま,ア・プリオリな比較,ア・ポステリオな比較とかもいうようです。

私は,事前比較,事後比較(検定)というようにしています。

分散分析や多重比較の本ではたいてい説明されています。

分散分析が有意になったときに多重比較の検定を行うのが事後比較です。心理学ではちゃんとした仮説なしに実験することが多いので事後比較が普通です。

事前比較は分散分析とは関係なく,前もって比較するものを決めているものです

ダネットの方法もこのタイプの検定です。もし,一元分散分析をしてからダネットの方法を使っているなら,一元分散分析をせずにダネットの方法を使えばいいのです。

もちろん,対応する仮説があるということが前提ですが,ダネットの方法の場合当然ながら対応する仮説を持っています。

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51. Re^2: ANOVAにおける  ?  1999/09/15 (水) 10:04

> ダネットの方法もこのタイプの検定です。もし,一元分散分析をしてからダネットの方法を使っているなら,一元分散分析をせずにダネットの方法を使えばいいのです。

 ANOVAを行わずに多重比較を行えば"a-priori test"になる? 本当ですか?


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55. Re^3: ANOVAにおける  堀 啓造  1999/09/16 (木) 14:23
>
> > ダネットの方法もこのタイプの検定です。もし,一元分散分析をしてからダネットの方法を使っているなら,一元分散分析をせずにダネットの方法を使えばいいのです。
>
>  ANOVAを行わずに多重比較を行えば"a-priori test"になる? 本当ですか?

正確な言い方では事前に比較することを決定している場合はアプリオリになるということです。
ANOVA,おそらくone-way だと思うのですが,が有意であった場合のみ検定するのは事後検定です。

麻雀をやるなら,完全先付けがアプリオリつまり事前検定です。後付ありが事後検定です。

もともと,ダネット法は事前検定の方法です。事後検定型は全部の対を比較するTukey のHSD法や,結果として最小,最大の平均値を比較していくライアン法などです。

つまり,なんでもone-way をせずに検定すればアプリオリとはいえません。事前の仮説と関係しています。事前の仮説がないなら事後検定と考えるべきでしょう。


もし,それが英語の本で書いているANOVA(つまり2元以上)だとアプリオリの設定には無理があるでしょう。

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62. Re^4: ANOVAにおける  ?  1999/09/17 (金) 12:31
>正確な言い方では事前に比較することを決定している場合はアプリオリになるということです。

 この定義に従うと,全平均値対を比較する場合でも,それが事前に計画されたものならば"a priori"な検定と言える,ということになりませんか。

 つまり,HSD検定でも,最初から全平均値を比較するということが計画されていたならば,"a priori"な検定ということになります。

>もともと,ダネット法は事前検定の方法です。

 分散分析を行わずにダネット検定結果を示すことは,"a priori"な検定とは言えないと思います。

 ダネット検定を用いる典型的な例は,k個の新しい薬剤の効果を従来の薬剤と比較して単純にスクリーニングしたいような場合です。これは,効果を見たい処理群には何も構造がなく,全ての新薬と対照薬剤との対比較を行っているだけです。

 処理群がある構造を持っているときに,その構造に基づいて比較する対が事前に決まっている場合に行うのが,"a priori"な検定であると思います。例えば,薬剤群が単一物質群と混合物質群で構成されており,それらの群間や群内について検定したい場合です。

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74. Re^5: ANOVAにおける  堀 啓造  1999/09/20 (月) 07:42
前の回答のときに停電があったので,電気が消えたときにとっさに送信してしまいました。

こちらに書く予定の分は最初から別メッセージにするつもりのものです。

>  処理群がある構造を持っているときに,その構造に基づいて比較する対が事前に決まっている場合に行うのが,"a priori"な検定であると思います。

仮説の意味を考えるとたしかにそのほうがいい仮説であり,望ましいでしょう。

しかし,処理群が新薬であったなら,それはそれでグループの意味はあります。
また,処理数としても絞っているといえます。この絞っているといえるのは,全ての対を比較するという事後検定において想定する対比較と比べてです。
もちろん,平均が3つ(コントロールが含まれる)しかない場合はそれほどのものでもないです。
全ての対(3),コントロールとの比較数(2)
平均が4つになると
全ての対(6),コントロールとの比較数(3)

Keppel(1991; p166)は実験パラダイムによって制約はあるが,事前計画比較はおおよそ処理の自由度(dfA=a-1)の少し上か下の範囲という目安を挙げている。
そういう意味ではDunnet 法はその範囲である。

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75. Re^6: ANOVAにおける 続き  堀 啓造  1999/09/20 (月) 07:48
続きです。


但し,Keppel(p175-177)は Dunnet 法を事後比較に入れている。
それは(1)コントロール群と実験群の平均値との比較をする。
(2)付加的に,実験群の中での差を見るため実験群内のオムニバスF検定をする。
(3)最後に,コントロール群と実験群のそれぞれとを比較する。
という面倒なやりかたをすることを前提にしている。

それで,本のチェックをしてみました。
(1)事前になっているもの(a priori comparison)
Kirk(1982; p112, 1995; p127 p134)
Winer,Brown,Michels(1991; p169)(おそらく)

(2)事後になっているもの(post hoc comparison)
Howell(1997; p380)
Keppel(1991; p175)
Klockars and Sax(1986; p57)
森・吉田(1990; p174) おそらく

というように,両方あります。
しかし,事後のほうが多いですね。ただし,Keppel の場合は上に書いたような処理として考えています。

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76. Re^7: ANOVAにおける 続き(文献)  堀 啓造  1999/09/20 (月) 07:49
チェックした本をリストしておきます。

Howell,D.C.(1997). Statistical methods for psychology(4th ed.). Duxbury.
Keppel,G.(1991). Design and analysis; a researcher's handbook (3rd ed.). Prentice-Hall.
Kirk,R.E.(1982). Experimental design; procedures for the behavioral sciences (2nd ed.). Brooks/Cole.
Klockars,A.J. and Sax,G.(1986). Multiple comparisons. Sage.
森敏昭・吉田寿夫編著(1990)『心理学のためのデータ解析テクニカルブック』北大路書房

Hays,W.L.(1988). Statistics(4th ed.). Holt. Dunnet に関する記述なし。
Hochberg,Y. and Tamhane,A.C.(1987). Multiple comparison procedures. Wiley. 個別の手法に対して,事前・事後の言及なし。例外はScheffe の方法

岩原信九郎(1965)『教育と心理のための推計学(新訂版)』日本文化科学社 事前,事後の記述なし

Zar,J,H.(1999). Biostatistical analysis (4th ed.). Prentice-Hall. 事前,事後の記述なし

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78. Re^8: ANOVAにおける 続き(文献 追加)  堀 啓造  1999/09/20 (月) 09:59
Hsu,J.C.(1996). Multiple comparisons: theory and methods. Chapman & Hall.
p179
この本で論じられている方法はScheffe 法以外はすべてpre-planned 比較のためのものであるとしている。

ちょっとこれは広すぎるようだが,Dunnett 法も p44, p60, p63 と複数の箇所で取り上げられている。

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68. Re^5: ANOVAにおける  堀 啓造  1999/09/18 (土) 08:59
> > 正確な言い方では事前に比較することを決定している場合はアプリオリになるということです。
>
>  この定義に従うと,全平均値対を比較する場合でも,それが事前に計画されたものならば"a priori"な検定と言える,ということになりませんか。
>
>  つまり,HSD検定でも,最初から全平均値を比較するということが計画されていたならば,"a priori"な検定ということになります。

そういう仮説を斉合性と誠意をもってつくることができますかね。

もし,そういう仮説が事前につくられたとしたら,革新的でない検定を使えばいいのでは。

まあ,そういう仮説がつくることができるのは事前計画をつくるほど頭が良くないというほうを先に疑ったほうがいいでしょう。
どれかに差があるでしょうなんてのは,多重比較の事前計画ではないですから。

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70. Re^6: ANOVAにおける  ?  1999/09/18 (土) 18:49
 このような御返答では,実りある議論になりそうもないので,これで止めます。残念な結末でした。

 一つ気にかかるのですが,下記の用語は,なかなか理解できませんでした。

> もし,そういう仮説が事前につくられたとしたら,革新的でない検定を使えばいいのでは。

 これまでの文脈から推測すると,「革新的でない検定」というのは,「保守的な検定」とされるHSDなどに対して使われているようです。「革新的な検定」というのは,おそらくLSDやDMRTなどをさすのでしょう。

 多重比較法の統計学で「保守的」という言葉は,実際の最大FWEが有意水準αを越えない検定法に対して使用されます。それに対置する言葉として「革新的」というのは,日本語の意味から考えて不自然です。

 おそらく筆がすべられたのでしょうが,言葉尻をとらえたようで申しわけありません。

> どれかに差があるでしょうなんてのは,多重比較の事前計画ではないですから。

 平均と分散も未知のControlを想定して,他の「どれかに差があるでしょう」というのがDunnet検定だと思います。

 字数が尽きました。これまでの御返答ありがとうございました。

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77. Re^7: ANOVAにおける  堀 啓造  1999/09/20 (月) 08:09
>  多重比較法の統計学で「保守的」という言葉は,実際の最大FWEが有意水準αを越えない検定法に対して使用されます。それに対置する言葉として「革新的」というのは,日本語の意味から考えて不自然です。

「保守的」というのはあくまで「保守的」なのであって,「正確な」場合を排除しています。また,条件によって「保守的」であってもある場合にはわたしのいっている「革新的」な場合もあります。
ですから,「保守的」といってしまっては間違いなのです。overestimate というべきだったのでしょうか。

> > どれかに差があるでしょうなんてのは,多重比較の事前計画ではないですから。
>
>  平均と分散も未知のControlを想定して,他の「どれかに差があるでしょう」というのがDunnet検定だと思います。

ことば尻でご返事すると,この場合は「どれかと差があるでしょう」じゃないですか。つまり,私のだしている例は全ての対比較を想定した言い方です。Dunnet 検定はそれに比べれば大幅に比較数を減らしています。

そこは配慮しないのですね。

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