有意水準 $\alpha$,検出力 $1-\beta$ で二つの相関係数の差の検定を行うときに必要な標本の大きさを求める。
例えば,相関係数が $r_{1}$ と $r_{2}$ くらいであると考えられるとき,この相関係数の違いを片側検定,有意水準 $\alpha$,検出力($1-\beta$)で検出するのに必要な標本の大きさ $n$ の見積もりは,次式で求めることができる。
\[ n = \left [ \frac{2(Z_\alpha+Z_\beta)}{\ln\displaystyle\frac{1+r_1}{1-r_1}-\ln\frac{1+r_2}{1-r_2}} \right ]^{ 2}+3 \] この式で,$Z_{\alpha}$,$Z_{\beta}$ は標準正規分布のパーセント点である。
$Z_{\alpha} = Z_{0.05} = 1.6449$$Z_{\beta} = Z_{0.20} = 0.8416$ など
両側検定の場合の $n$ の見積もりは,上の式で $Z_{\alpha / 2}$ とすればよい。
例:$r_{1} = 0.3$,$r_{2}=0.4$,$\alpha = 0.05$,$\beta = 0.20$ で両側検定のときの $n$ は,
$\ln\displaystyle\frac{1.3}{0.7} = 0.619039208$,$\ln\displaystyle\frac{1.4}{0.6} = 0.84729786$ ゆえ,
$n = \left [\displaystyle\frac{2\times (1.96+0.8416)}{0.619039208-0.84729786}\right ]^{2}+3=605.5842171$
参考文献
Stephen B. Hulley, Steven R. Cummings:Designing Clinical Research - An Epidemiologic Approach -
木原正博監訳:「医学的研究のデザイン」,メディカル・サイエンス・インターナショナル