母相関係数が 0 以外の特定の値であるかどうかの検定

          Last modified: Nov 07, 2002


例題

 「標本の大きさが 24,ピアソンの積率相関係数が 0.476 のとき,母相関係数が 0.3 であるかどうか検定しなさい。」


検定手順

  1. 前提

  2. 標本の大きさ(データの組数)を $n$,標本相関係数を $r$ とする。

    例題では,$n = 24$,$r = 0.476$,$\rho = 0.3$ である。

  3. 標本相関係数および母相関係数の $Z$ 変換値を $\xi_{r}$ ,$\xi_{\rho}$ とする。
    $Z$ 変換値は,次式によって求める(この変換は,フィッシャーの $Z$ 変換と呼ばれる)。 \[ Z = f(r) =\frac{1}{2}\ln \left( \frac{1+r}{1-r} \right) \] 例題では,$\xi_{r} = 0.51780$,$\xi_{\rho} = 0.30952$ となる。

  4. 次式により,検定統計量 $Z_{0}$ を求める。$Z_{0}$ は,正規分布に従う。 \[ Z_0 = \frac{\left |\ \xi_r-\xi_\rho \ \right |} {1\ /\ \sqrt{n-3}} \] 例題では,$Z_{0} = 0.95446$ になる。

  5. 有意確率を $P = \Pr\{|\,Z\,| \geqq Z_{0}\}$ とする。
    正規分布表,または正規分布の両側確率の計算を参照すること。

    例題では,$\Pr\{|\,Z\,|\geqq 1.96\}= 0.05$ なので,$P = \Pr\{|\,Z\,|\geqq 0.95446\}\gt 0.05$ である(正確な有意確率:$P = 0.33985$)。

  6. 帰無仮説の採否を決める。

    例題では,有意水準 $5\%$ で検定を行うとすれば($\alpha = 0.05$),$P \gt \alpha$ であるから,帰無仮説は棄却できない。すなわち,「母相関係数は $0.3$ でないとはいえない」。


演習問題

 「12 匹の魚について体長と体重の相関係数を求めたところ 0.341 であった。母相関係数が 0.2 ではないといえるかどうか検定しなさい。」


問題1 帰無仮説はどれか。a,b のいずれかを解答欄に記入し,送信ボタンをクリックしなさい。

選択肢 a:母相関係数は 0.2 である b:母相関係数は 0.2 ではない
解答欄:    

問題2 標本相関係数に対するフィッシャーの $Z$ 変換値 $\xi_{r}$ を求めなさい。答えは小数点以下 4 桁目で四捨五入した値を解答欄に記入し,送信ボタンをクリックしなさい。

解答欄:    

問題3 検定統計量 $Z_{0}$ を求めなさい。答えは小数点以下 4 桁目で四捨五入した値を解答欄に記入し,送信ボタンをクリックしなさい。

解答欄:    

問題4 有意確率は 0.05 より大きいか小さいか。a,b のいずれかを解答欄に記入し,送信ボタンをクリックしなさい。

選択肢 a:0.05 より大きい b:0.05 より小さい
解答欄:    

問題5 有意水準 $5\%$ で検定を行うとき,帰無仮説は棄却できるかできないか。a,b のいずれかを解答欄に記入し,送信ボタンをクリックしなさい。

選択肢 a:棄却できる b:棄却できない
解答欄:    

問題6 最終的な結論はどうなるか。a,b のいずれかを解答欄に記入し,送信ボタンをクリックしなさい。

選択肢 a:母相関係数が 0.2 でないとはいえない b:母相関係数は 0.2 ではない
解答欄:    

応用問題


・ 計算プログラム [R] [Python]
・ 直前のページへ戻る  ・ E-mail to Shigenobu AOKI