ベイズの定理     Last modified: Aug 27, 2015

 2 つの事象 $A$,$B$ があるとき, \[ \Pr\{B\ |\ A\} = \frac{\Pr\{A\cap B\}}{\Pr\{A\}} = \frac{\Pr\{B\}\times \Pr\{A\ |\ B\}}{\Pr\{B\}\times\Pr\{A\ |\ B\}+\Pr\{\bar{B}\}\times\Pr\{A\ |\ \bar{B}\}} \] を ベイズの定理 という。

 一般的には,$B$ が $r$ 個の排反事象に分かれるとき,観察された事象 $A$ の原因が $B$i である確率は, \[ \Pr\{B_i\ |\ A\} = \frac{\Pr\{A\cap B_i\}}{\Pr\{A\}} = \frac{\Pr\{B_i\}\times \Pr\{A\ |\ B_i\}}{\displaystyle \sum_{j=1}^r \Pr\{B_j\}\times\Pr\{A\ |\ B_j\}} \] となる。$\Pr\{B_i\}$ は 事前確率,$\Pr\{B_i\ |\ A\}$ は 事後確率 と呼ばれる。

 例えば,$A$ が女性であること,$B_i$ が学年( $i = 1,2,3,4$ )としたとき,$\Pr\{B_i\ |\ A\}$ は,ランダムに抽出した学生が女子学生であるとわかったとき,その学生が $B_i$ 学年である確率を表す。

表 1.ベイズの定理の導き方
学年 男子 女子 合計 女子の割合 学年の割合 ベイズ確率
$\Pr\{A\ |\ B_i\}$ $\Pr\{B_i\cap A\}$ $\Pr\{B_i\}$ $\Pr\{B_i\ |\ A\}$
$B_1$ 90 36 126 36/126 36/510 126/510 0.2209
$B_2$ 76 45 121 45/121 45/510 121/510 0.2761
$B_3$ 87 43 130 43/130 43/510 130/510 0.2638
$B_4$ 94 39 133 39/133 39/510 133/510 0.2393
合計 347 163 510 $\Pr\{A\}$=163/510

 事前にわかっている確率は $\Pr\{B_i\}$, $\Pr\{A\ |\ B_i\}$ だけでよい。

 事後にわかった事実 “女子である” ということから,事後確率 $\Pr\{B_i\ |\ A\}$ を得ようとするのが問題の趣旨である。

 2 年生の女子である確率 $\Pr\{B_2 \cap A\} = 45\ /\ 510$ は,2 年生である確率 $\Pr\{B_2\} = 121\ /\ 510$ と 2 年生であるという条件付きでの女子である確率 $\Pr\{A\ |\ B_2\} = 45\ /\ 121$ を用いて乗法定理の ( 2 ) 式から,

\[ \begin{align*} \Pr\{B_2 \cap A\} &= \Pr\{B_2\} \times \Pr\{A\ |\ B_2\} \\[5pt] &= \frac{121}{510} \times \frac{45}{121} \\[5pt] &= \frac{45}{510} \tag{4} \end{align*} \] である。

 女子であるという条件付きでの 2 年生である確率 $\Pr\{B_2\ |\ A\}$ は,乗法定理の ( 1 ) 式から,

\[ \Pr\{B_2\ |\ A\} = \frac{\Pr\{B_2 \cap A\}}{\Pr\{A\}} \] であり,( 4 )式および,

\[ \begin{align*} \Pr\{A\} &= \Pr\{B_1 \cap A\} + \Pr\{B_2 \cap A\} + \Pr\{B_3 \cap A\} + \Pr\{B_4 \cap A\} \\[5pt] &= \frac{36}{510} + \frac{45}{510} + \frac{43}{510} + \frac{39}{510} \\[5pt] &= \frac{163}{510} \end{align*} \] であるから,

\[ \begin{align*} \Pr\{B_2\ |\ A\} &= \frac{\Pr\{B_2\} \times \Pr\{A\ |\ B_2\}}{\Pr\{A\}} \\[5pt] &= \frac{\displaystyle \frac{121}{510} \times \displaystyle \frac{45}{121}}{\displaystyle \frac{163}{510}} \\[5pt] &= 0.2761 \end{align*} \] となる。


演習問題

 日本人の成人男子が,ある病気にかかる割合は血液型により異なり,O 型では 3%,A 型では 6%,B 型では 10%,AB 型では 7% であるとする。
 日本人の血液型は男女で差がなく,O 型は 30%,A 型は 38%,B 型は 22%,AB 型は 10% であるとする。
 この病気にかかった成人男子が O 型である確率を求めなさい。

 以下では,血液型が O,A,B,AB 型であるという事象を$O$,$A$,$B$,$AB$ とし,病気であるという事象を $X$ とする。


問題1 $\Pr\{X\ |\ O\}$ の値を解答欄に記入し,送信ボタンをクリックしなさい。

解答欄:    

問題2 $\Pr\{O \cap X\}$ の値を解答欄に記入し,送信ボタンをクリックしなさい。

解答欄:    

問題3 $\Pr\{X\}$ を求めなさい。答えは小数点以下 5 桁目で四捨五入した値を解答欄に記入し,送信ボタンをクリックしなさい。

解答欄:    

問題4 $\Pr\{O\ |\ X\}$ を求めなさい。答えは小数点以下 4 桁目で四捨五入した値を解答欄に記入し,送信ボタンをクリックしなさい。

解答欄:    
★この問題の図による説明


応用問題


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